2016年F1レギュレーション
2016年のF1レギュレーション一覧
サーキットへの来場者数低下などに象徴されるF1人気低下の影響から、16年以降のレギュレーションは、よりエキサイティングなレースが行われるように、という方向性で抜本的に模索されている。しかし16年に関しては、タイヤ選択に関するものを除いては、特に大幅なレギュレーション変更はない。
- トラックリミテッド規定「正当な理由なくしてトラックを外れてはならない」
- スタート中止の原因となったドライバーはピットレーンスタート
- エンジンサウンド25%の音量アップ
- PU開発トークンは32のままもう1年継続
- ドイツGPの復活
- アゼルバイジャンGPの新設
- 「ウルトラソフト」を加えた計5種類のスリックタイヤ
エンジンサウンド25%の音量アップ
Photo by Damian Morys Photography
それまでの自然吸気エンジンから、ターボパワーユニットに変更された2014年以降、みすぼらしいエンジン音に批判が多く集まっている。これを解決すべく2016年からは、排気ガスを2つに分流させるウェイストゲート式のテールパイプを導入することになった。少なくとも2本の排気管を持たなければならないという規定だ。
ウィリアムズのチーフ・テクニカル・オフィサー(技術責任者)であるパット・シモンズは、この規定変更によってエンジンサウンドが25%アップするだろうと考えている。むろん自然吸気エンジンの甲高いエキゾーストノートが戻ってくるわけではないが。。
PU開発トークンは32のままもう1年継続
メルセデスが圧倒的な強さを誇っているV6ターボパワーユニット時代、フェラーリ、ルノー、ホンダはそのギャップを縮めるのに苦労している。何故ならば、規定によりシーズン中の自由なPU開発ができないためだ。一つのチームが圧倒的な強さを誇ることは、F1にとって決して良いことではない。
そのため、本来であれば16年シーズンに開発可能な量は25トークン分であったが、これを15年シーズンと同様の32のまま継続することになった。ルノー、特にホンダにとっては朗報である。
これに合わせて、新規参入メーカーは「参戦初年度15トークン、2年目32トークン」となった。
ドイツGPの復活
Photo by KlausNahr
15年シーズンにF1カレンダーから脱落したドイツGPが復活する。7度のワールドチャンピオンであるミハエル・シューマッハ、4度のワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルを擁し、14年・15年と圧倒的な強さでコンストラクターズタイトルを制したメルセデスの母国であるドイツであるが、年々入場者数が減少し収入が悪化、そのため開催料の支払いができない事態に陥りついには15年F1カレンダーから脱落した。
そのドイツGPが16年にホッケンハイムで復活する。
アゼルバイジャンGPの新設
Photo by teuchterlad
近年は新市場開拓のために、新たな国でのレース開催を精力的に進めているF1だが、16年ではアゼルバイジャンの首都バクーの市街地を使った公道レースが開催される。設計はもちろんヘルマン・ティルケ。
現在開催されている市街地コースであるモナコやシンガポールとは異なり、全20コーナーでトップスピードが340kmに達する高速サーキットになる予定だそうだ。
「ウルトラソフト」を加えた計5種類のスリックタイヤ
また覚えなければならないことが増える。これまでは「スーパーソフト」「ソフト」「ミディアム」「ハード」の全4種類の中から各レース毎にピレリが2種類を選び、その2種類のタイヤが各チームに供給されていた。16年シーズンでは、これに「ウルトラソフト」なる紫色のタイヤが追加され、2種類供給されていたタイヤが3種類に増える。
各ドライバーにはGP毎に全13セットのタイヤが供給されるが、この内2セットが決勝用、1セットが予選Q3用となり、これらはピレリが設定する。13セットのうちの残り10セットについては、ドライバーが3種類の中から自由にチョイスできるようになる。