
レッドブルF1のホーナー解任劇「驚きなし」とザク・ブラウン
2005年の創設時からレッドブル・レーシングを率いてきたクリスチャン・ホーナーが、チーム代表およびCEOの職を解任されたことを受け、ホーナーと対立関係にあったマクラーレンCEOのザク・ブラウンは、カナダのテレビ局TSNに対し、「驚いていない」と語った。
第13戦ベルギーGPを週末に控え、ブラウンは「驚いたとすればタイミングだけで、そうなったこと自体については驚いていない。ここ数年で多くの”ドラマ”があったし、それが収まるどころか、むしろ悪化しているように見えたからね。だからシーズン半ばの出来事とは言え、驚くことではなかった」と述べた。
ホーナーの後任としてレッドブルのチーム代表に就任したのは、姉妹チームであるレーシング・ブルズの前代表、ローラン・メキーズだが、崩壊の瀬戸際にあるチームを再建できるかどうかは未知数だ。
告発と人材流出─ホーナー退任の背景
ホーナーの解任について、レッドブルはその理由を明らかにしていない。だが、ここ1年半にわたってレッドブルには不穏な空気が漂っていた。
2024年2月、ホーナーは女性従業員からセクシャルハラスメントを含む不適切行為で告発された。ホーナーは一貫して容疑を否定し、2度にわたる内部調査でも不問とされたが、組織内に残された爪痕は深かった。
この騒動を境に、レッドブルの中核を担ってきた人材の流出が続いた。
伝説的デザイナーであるエイドリアン・ニューウェイはアストンマーチンへ移籍し、スポーティング・ディレクターのジョナサン・ウィートリーはサウバーへ。さらに、戦略責任者のウィル・コートニーはマクラーレンへの移籍が決まっている。チームを長年支えてきた“頭脳”の流出は止まらない。
成績低迷とフェルスタッペンの将来
コース上でのパフォーマンスにも陰りが見える。マックス・フェルスタッペンは昨年、4年連続となるタイトルを獲得したが、シーズン後半13戦ではわずか2勝にとどまり、チームはコンストラクターズランキング3位に後退した。
今季はさらに深刻だ。12戦を終えた時点でフェルスタッペンはドライバーズランキング3位、チームは4位に沈んでいる。加えて、フェルスタッペンが今季末でレッドブルを離脱し、メルセデスへ移籍するとの噂も絶えず、将来への不安は拭えない。
ホーナーの再登場を予測するブラウン
創設からの20年間で405戦中124勝、8度のドライバーズタイトル、6度のコンストラクターズタイトルをもたらしたホーナーは、F1史上でも屈指の実績を誇る名将だ。ブラウンは、ホーナーが再びモータースポーツ界の表舞台にカムバックすると確信している。
「彼の年齢と経歴を考えれば、この世界に戻ってこないなんてことはないと思う。ただ、どんな分野に関心があるのかは分からない。もしかしたらフットボールチームの経営に乗り出すかもしれないしね。様子を見よう」とブラウンは語った。
ホーナーは少なくとも2025年末まで“ガーデニング休暇”に入ると見られており、F1への復帰は早くとも2026年1月になる見通しだ。