シルバーストン・サーキット入りするマクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリ、2025年7月3日F1イギリスGP
Courtesy Of McLaren

ノリス対ピアストリ、再びの接触を”確信”するマクラーレンCEOブラウン

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2025年F1第12戦イギリスGPを前に、マクラーレン・レーシングのCEOザク・ブラウンは、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリが再び接触することは間違いないとの考えを示した。

ブラウンは、米スポーツ専門チャンネル『ESPN』とのインタビューで、両者が極めて高いレベルでレースをしていることから、これは「いつ起きるかの問題であって、起きるかどうかの問題ではない」と語った。

ノリスとピアストリは、今季これまでに幾度となく直接対決を繰り広げており、チームメイト同士のバトルが注目を集めている。とりわけカナダGPでは、4位争いの最中に両者が接触。これはノリスの判断ミスによるもので、本人もその責任を認めている。

一方、前戦オーストリアGPでは、トップ争いの中で緊迫した場面が生まれた。接触は回避されたものの、ピアストリがブレーキングでタイヤスモークを上げ、ノリスのリアに衝突しかけるという際どいシーンが発生。チームも「2度とやるな」と警告を発するなど、緊張感のある展開が続いている。

「それがレースだ」とブラウン

接触の再発を前提としたかのような発言について、ブラウンは「我々のクルマが、チームメイトかどうかを問わず、他のクルマと一切接触しないなどという考えは非現実的だ」と指摘する。

「それでいい。それがレースなんだ。重要なのは、如何に誠実にレースをしているかどうか、互いに敬意をもっているかどうかということだ」

ブラウンは、今後もし再び接触が起きた場合でも「モントリオールの時のように、話し合い、どちらかが手を挙げて責任を認め、そして次のレースに進めばいい。少なくとも、わざとやったなんてことは絶対にないわけだから」と述べ、今後も2人にレースをさせる考えを強調した。

対照的な性格とチームバランス

メディア対応にもその差が表れているように、ノリスとピアストリの性格は対照的だ。ノリスは外向的で感情表現が豊か、ユーモアを好む一方、ピアストリは冷静沈着で内省的、淡々とした物言いが特徴だ。

こうした個性の違いが、むしろチームにとってプラスに働いているというのが、ブラウンの見解だ。

「2人の性格が違うからこそ、いいんだ。もし似た者同士なら、理想的ではなかったかもしれない」と語り、多様性こそがモータースポーツにおいて「楽しさ」や「一体感」を生む要素だと強調した。

「正々堂々」の王座バトルへの期待

現在、ピアストリはドライバーズランキングでノリスを15ポイント上回って首位に立っており、タイトル争いは一層熾烈さを増している。両者はチームメイトでありながら、実質的にはライバルとして毎戦しのぎを削っている状況だ。

ブラウンは、2人について「フェアに、そして対等に戦って勝ちたいと思っている」と語り、「お互いに、どちらかがナンバー1で、もう一方がサポート役、という状況は望んでいない」と強調。それがゆえに、接近戦が続く中でもクリーンでフェアな争いが続いていくことを確信していると説明した。

「過去にもミスは起きたし、これからも起きるだろう。だが、彼らは正々堂々と勝ちたいと思っている。それが楽しみなんだ」と語るブラウン。その言葉には、ドライバーたちへの深い信頼と、マクラーレンのチーム文化への強い自負がにじみ出ていた。

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