メルセデスAMGが2014年のF1世界選手権に投入したパワーユニット「PU106A Hybrid」の拡大写真Courtesy Of Mercedes

トークン

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トークンとは、開発制限を目的として車体やF1パワーユニット(PU)用に設けられた開発単位のこと。”チケット”と表現した方がイメージが湧くかもしれない。

F1パワーユニット開発トークン

F1は2014年に熱及び運動の2つの回生エネルギーシステムを持つ先進的な1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンを導入。シーズンを経る毎にPUを段階的に凍結させる計画を立てていた。

これを実現させるための仕組みがトークン制での開発だった。

F1はパワーユニットを42分割した各パーツごとに、そのパーツのパフォーマンスへの影響度を考慮した1~3の数値を設定。42分割した全てのパーツの数値を合算すると66となる。

例えば2015年は32のトークンが割り振られており、各コンストラクターはこの32トークン分の開発を行う事が許可された。これは32/66≒0.48となり、パワーユニットのおよそ48%に手を入れることができる計算である。

そしてこのトークン数は、年を減る毎に割り当てが減っていく。これによって段階的にPU開発を凍結していく仕組みが作られた。各シーズンごとのトークン数は以下の通り。

トークン数 全体に対する開発割合
2015年 32 48%

2016年 25 38%

2017年 20 30%

2018年 15 23%

2019年 3 5%

2020年 3 5%

だが計画は破綻する。メルセデスAMGが他を圧倒する独走状態を築き上げたからだ。F1はフェラーリやルノー、ホンダらライバルメーカーがキャッチアップできるよう2016年末を以てルールを撤廃し、開発を自由化した。

マシン開発トークン

PUトークン制度の廃止から4年。F1はこの仕組みをマシン開発に転用した。

これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴い2020年シーズンのチーム財政が逼迫した事によるもので、過当競争を抑えることでチームが費やす予算に事実上の制限を設けるものだ。

次世代シャシーが2022年に導入される事も一因だった。2021年用マシンの開発は2022年に直接的に活かす事ができない。僅か1年のために膨大なコストを注ぎ込まなくてはならない状況を防ぐ事ができる、、チームは規約変更に同意した。

2021年シーズンに向けてF1と国際自動車連盟(FIA)は、開発が禁止される箇所と開発が許される箇所をリスト化。各チームにそれぞれ2つのトークンが与えた。

エアロパーツの大部分、冷却システム、サイド衝撃構造などはトークンフリーで開発できるが、モノコック、ギアボックス、ブレーキ等は開発が凍結された。だが、手持ちのトークンを使う事で制限領域の開発が認められた。

1トークンで開発できる主なパーツ

  • フロアフロント
  • ペダル
  • DRS
  • クラッチ
  • タイヤ圧センサー
  • キャリパー
  • ブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)
  • マスターシリンダー
  • 燃料系
  • 油圧計
  • ドリンクシステム
  • ピットストップ道具(ガン、ジャッキ等)

2トークンで開発できる主なパーツ

  • 前後衝撃構造
  • ギアボックス
  • ギアボックス・ケーシング
  • ドライブシャフト
  • モノコック
  • ギア
  • 前後インボードサスペンション
  • ホイール・リム
  • ドライバー無線