方を抱き合うセバスチャン・ベッテルとルイス・ハミルトン、2019年F1メキシコGP表彰台セレモニーにて
copyright Pirelli & C. S.p.A.

意気投合するベッテルとハミルトン「フェルスタッペンは分別がなく危険」F1メキシコGP会見書き起こし

  • Published:

地を這う大声援、360度何処を見ても途切れぬ地元観衆、リフターによってポディウムに上がったウィニングマシンと勝者。壮大なポディウムセレモニーを経て行われたF1メキシコGPの決勝レース後トップ3会見では、本人不在ながらも、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に関する質疑が飛び交った。

過去2年に渡ってエルマノス・ロドリゲス・サーキットを制し、今年3連覇の期待が寄せられていたフェルスタッペンは、黄旗無視の粗相のためにポールポジションを剥奪され、4番グリッドに降格。自ら、優勝への特等席を放棄する格好となった。

決勝で好スタートを切ったところまでは良かったが、オープニングラップの最初の3つのコーナーでルイス・ハミルトンと肉弾戦を演じて接触。更に、4周目にはバルテリ・ボッタスと接触してパンクを喫し、暴れん坊と呼ばれた数年前を彷彿とさせる話題性溢れるドライビングが話題を呼んだ。

フェルスタッペンは2018年のベルギーGP以降、20戦連続でトップ5以上のポジションでのフィニッシュ記録を紡いできたが、シーズン後半の幕開けを告げる今年の第13戦ベルギーGPで接触事故を引き起こしリタイヤを喫すると、以降は8位-3位-4位-DNF-6位と、精細を欠き続けており、新しく加入したアレックス・アルボンに対して、選手権ポイントで遅れを取っている。

メキシコでの表彰台に上がったメルセデスドライバーはいずれもフェルスタッペンと接触。会見では、当然の事ながら、フェルスタッペンとのインシデントに関する質問が集中した。合算して9度、F1を制したハミルトンとベッテルは共に、フェルスタッペンに対して同じ認識を共有しているようで、若きオランダ人ドライバーは「分別がなく危険」だとの考えを示した。

優勝したルイス・ハミルトン、2位セバスチャン・ベッテル、3位に表彰台に滑り込んだバルテリ・ボッタスの3名が出席したポストレースカンファレンスでのやり取りの一部を以下に紹介する。

レース開始直後の混乱について

Q: 最初の数コーナーで何が起きていたのかを教えて下さい

ルイス・ハミルトン

すごく良いスタートが切れて、シャルル(ルクレール)とセバスチャン(ベッテル)に引っ張られる形になって彼らに接近した。彼(ベッテル)が迫ってくるから、僕は彼とのクラッシュを避けるために芝生に逃げざるを得なかったんだ。たぶん僕はホワイトライン上にいたと思うんだけど、何処にも行き場がなかった。そうでもしなきゃ、大きな接触事故に至っていたかもしれない。

周りを囲まれるような状況の中で、ターン1に向かってブレーキを踏んだけど、そうしたら突然マックスが隣に現れて。僕はいつもマックスに対しては余計にスペースを空けてるんだ。一番賢い対処方法さ。でも今回は十分なスペースを与えられるような状況じゃなかった。多分マックスは、オーバーステアか何かを抱えてたんだろうね。僕のクルマの後方に激しくぶつかってきたんだ。

セバスチャン・ベッテル

当てられたの?

ルイス・ハミルトン

そう。そんで、一緒にコーナーを抜けてターン2に向かったんだけど、僕のクルマのリア側が流れちゃって、二人してまっすぐ芝生の上を走る事になったんだ。危うくレースが終わるところだったよ。思わずゾッとしちゃった。

セバスチャン・ベッテル

なるほどね。だからそんなに大きなギャップがあったのか。突然(後ろに)アルボンがいたから、一体何が起きたのかと思ってたんだよね…。

ルイス・ハミルトン

僕とマックスは一緒に芝生を通り抜けて、その間に、他のクルマが僕らの前に出た。最初は他のマシンともぶつかるかもって思ったんだけど、何とか体勢をキープして避ける事が出来た。そんな状況だったから、フェラーリについていけるなんて思ってもみなかったんだけど、上手くいって良かったよ。僕のクルマ、(フェルスタッペンとの接触で)壊れてたんだけどね。

フェルスタッペンは危険なドライバー?

Q: バルテリに質問。スタジアムでのマックスとの接触について教えて下さい。それと3人への質問ですが、マックスとレースをしている時は、彼に対して特別な対応をしますか? 最も強引なドライバーは彼だと思いますか?

バルデリ・ボッタス

僕の時は、どこからともなく突然ターン13のイン側に現れたんだ。僕に行き場がなかったのは分かるでしょ? 単純に彼が飛び込んできて接触したって事さ。そのせいで彼の方はパンクしたみたいだけど…僕としては避けようがなかったよ。僕に言わせれば自業自得だね。間違いなく。

人よりアグレッシブなドライバーもいれば、そうじゃない人もいる。人それぞれだし、全員と接戦を演じてるわけじゃないから、(フェルスタッペンが一番危険なドライバーかどうかは)僕からは何とも言えないよ。

Q: ルイスはマックスに対して、他のドライバーとは違った方法で対処してるんですよね?

ルイス・ハミルトン

うーん、、そうだね。ドライバーはそれぞれみんな少しずつ違っていて、賢いドライバーもいれば、凄く洗練されたドライバーもいるし、その一方で分別のない奴もいる。だからこそ、レース経験を通して、余計にスペースを与えるべき人や、そうする必要のない人を見極めるんだ。

みんな凄く丁寧だけど、マックスに関しては、スペースを余分に与えておかないと接触する可能性が凄く高いから、大抵、十分にスペースを取るようにしてる。でもさっきも言ったけど、今回はそんなに余計にスペースを与える事が出来なかったんだ。意図的に与えなかったわけじゃないよ。ただ…彼は(クラッシュを)引き寄せるタイプのドライバーなんだ。でもまあ今回は大事に至らなくて運が良かったよ。

Q: セバスチャンはマックスについてどう思いますか?

セバスチャン・ベッテル

そう思う。そう思うよ。

Q: もう少し詳しく教えてもらえますか?

セバスチャン・ベッテル

(ルイスの言った事をそっくりそのまま)コピペだよ。まさにそういう事。


2019年F1第18戦メキシコグランプリ決勝レースでは、3番グリッドからスタートしたメルセデスAMGのルイス・ハミルトンが通算83勝目を上げ優勝。2位はセバスチャン・ベッテル、3位はバルテリ・ボッタスという結果となった。

F1メキシコGP特集