メルセデスのバルテリ・ボッタスを追うレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2020年F1イギリスGP決勝レースにてcopyright Getty Images / Red Bull Content Pool

最終周にドラマ…ハミルトン、”片足引きずり”ながら勝利、裏目に出た?レッドブルの戦略 / F1イギリスGP《決勝》結果とダイジェスト

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2020シーズンFIA-F1世界選手権 第4戦イギリスGP決勝レースが8月2日に行われ、ファイナルラップに左フロントタイヤをパンクしながらも、執念でフィニッシュラインまで走りきったメルセデスAMGのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウインを飾った。

序盤に2度のセーフティーカー導入があったものの、オーバーテイクが困難なシルバーストーンでのレース中盤は目立った動きもなく淡々としていた。だが、ドラマは最終盤に待っていた。

残り4周というタイミングで、順調に2番手を走っていたバルテリ・ボッタスの左フロントタイヤが突如パンク。シルバーアローのガレージに激震が走った。

3番手を走行していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、これを交わして2番手に浮上すると、後続とのギャップが甚大でフリーストップが得られた事から、その足でピットへと向かいソフトタイヤに履き替え、同じ2番手のままでコースに復帰した。結果的にこのファステストラップポイント狙いが、後のハミルトンの優勝に繋がった可能性がある。

シルバーストーンはスパ・フランコルシャンとバクー市街地サーキットに続いて全長が長い。手負いのマシンで長距離を走らざるを得なかったボッタスはソフトタイヤに履き替えてコースに戻ると、10ポジションダウンの12番手にまで後退した。驚きの光景は続く。

同じトラブルが、なんと、ファイナルラップを走行していたラップリーダーのハミルトンと5番手を走行していたカルロス・サインツ(マクラーレン)にも発生したのだ。だが、フェルスタッペンが”不要”なピットインに動いたおかげで、ハミルトンは5.856秒差でフェルスタッペンを2位に退けた。3位表彰台には粘り勝ちのシャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)が滑り込んだ。

一方のサインツは天国から地獄へと引きずり落とされる結果となり13位でフィニッシュ。これによりボッタスはポジションを一つ上げて11位でクルマを降りた。

ポディウムインタビューに臨んだフェルスタッペンは「残り10周でタイヤの調子が悪化し始めた。ファステストラップ狙いでピットに入ったけど、まさかその後にルイスもパンクするなんて思ってもみなかったよ!でもP2は僕らにとって良い結果だし満足だよ」と語った。メルセデスには歯が立たず、かと言って後続は遥か彼方。孤独なレースを続けていたフェルスタッペンは、レース中にエンジニアに冗談を飛ばして時間を潰していた。

チーム曰く、最終盤のピットの狙いがファステストラップにあった事は確かだが、この時履いていたフェルスタッペンのハードタイヤがカットされていたとの事で、予防措置的な意味合いもあったのだという。つまり、ピット戦略が裏目に出たと言えばそれまでだが、ここで交換していなければフェルスタッペンがパンクに見舞われていた可能性もある。

公式タイヤサプライヤーのピレリは今回、最も硬いレンジのC1からC3までのコンパウンドを投入している。来週末に同じシルバーストーンで開催される第5戦F1-70周年GPでは、より柔らかいレンジのコンパウンドが投入される計画だが、果たして。。

最終盤にもドラマがあったが、レース前にもドラマがあった。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したセルジオ・ペレスの後任として、13番グリッドからレースに臨む予定であったニコ・ヒュルケンベルグが出走を断念した。レコノサンスラップに向かおうとしたところ、パワーユニットに問題が発見され、修復の時間なく出走を取り止めた。

決勝は、日本時間2日(日)22時10分にブラックアウトを迎え、1周5,891mのコースを52周する事で争われた。現地ノーサンプトンシャー州は晴天に恵まれ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温21℃、路面42.8℃、湿度43.6%のドライコンディションで開始された。

注目のオープニングラップでは、最終コーナーでイン側にいたアレックス・アルボン(レッドブル・ホンダ)の左フロントタイヤとケビン・マグヌッセン(ハース)の右リアタイヤが接触。アウト側を走行していたマグヌッセンがグラベルへと弾き飛ばされた。マグヌッセンは自力でコックピットから降り、事故処理のためにセーフティーカーが導入された。

アルボンは走行を続行したが、マグヌッセンはリタイヤを強いられた。一件は審議の対象となり、スチュワードはアルボンの非を認めて5秒ペナルティーの裁定を下した。レースは6周目に再開された。

2度目のクラッシュは11周目だった。ギアボックス交換に伴うグリッド降格のために19番手グリッドからスタートしながらも、一気にポジションを挙げて12番手を走行していたダニール・クビアト(アルファタウリ)が、マゴッツからベケッツへと続く超高速コーナーでコントロールを失いバリアに激突した。

非常に高い速度域での事故であった事もあり車体は大きく損傷したが、クビアトは自力でコックピットから抜け出し無事が確認された。クラッシュについてクビアトは、無線で謝罪の言葉を口にしており自身のミスだと考えているが、状況から考えると右リアタイヤのパンクの可能性も疑われる。

これにより再びセーフティーカーが導入され、ロマン・グロージャンを除く全車が一斉にピットストップに動き、ハードタイヤに履き替えた。アントニオ・ジョビナッツィにはセーフティーカー関連の規約違反があったとして、セッション後に5秒ペナルティーが科された。

5秒ペナルティーを受けていたアルボンは、31周目にピットへと入りこれを消化。ミディアムタイヤに履き替えることで反撃の下地を作った。アルボンはフレッシュタイヤの優位性を活かしてあっという間にミッドフィールドを駆け抜け、8位入賞で週末を締め括った。

クビアトが去った事でファエンツァのチームの期待を一手に背負ったピエール・ガスリーは、38周目に真っ向勝負でセバスチャン・ベッテルを交わして入賞圏内に足を踏み入れると、残り4周でランス・ストロール(レーシングポイント)を交わし、パンクによって転落したボッタスとサインツを追い抜いて7位フィニッシュの大活躍を示した。

トップ10の内、ダブル入賞を果たしたのはフェラーリとレッドブル・ホンダ、そしてルノーの3チームだった。セバスチャン・ベッテルは苦しい週末を10位で終えた。ダニエル・リカルドは4位、エステバン・オコンは6位と、エンストンのチームにとっては大満足の結果となった。

珍しくもレースでは2名に対して、ブラック&ホワイトフラッグが振られた。16位でレースを終えたグロージャンと、高い戦闘力を誇りながらも9位に終わったストロールには、スポーツマンシップに反するようなレーシングラインの変更があったとして、スチュワードが警告を発した。

キャリア初の5戦連続Q3敗退と最悪の流れの中でレースに臨んだキミ・ライコネン(アルファロメオ)は、49周目のコーナリング中にフロントウイングが脱落するハプニングに見舞われ最後尾でフィニッシュした。

順位とタイム

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 52 1:28:01.283 25
2 33 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 52 +5.856s 19
3 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 52 +18.474s 15
4 3 ダニエル・リカルド ルノー 52 +19.650s 12
5 4 ランド・ノリス マクラーレン・ルノー 52 +22.277s 10
6 31 エステバン・オコン ルノー 52 +26.937s 8
7 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 52 +31.188s 6
8 23 アレックス・アルボン レッドブル・ホンダ 52 +32.670s 4
9 18 ランス・ストロール レーシングポイント 52 +37.311s 2
10 5 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 52 +41.857s 1
11 77 バルテリ・ボッタス メルセデス 52 +42.167s 0
12 63 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 52 +52.004s 0
13 55 カルロス・サインツ マクラーレン・ルノー 52 +53.370s 0
14 99 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ 52 +54.205s 0
15 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 52 +54.549s 0
16 8 ロマン・グロージャン ハース・フェラーリ 52 +55.050s 0
17 7 キミ・ライコネン アルファロメオ 51 +1 lap 0
NC 26 ダニール・クビアト アルファタウリ・ホンダ 11 DNF 0
NC 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 1 DNF 0
NC 27 ニコ・ヒュルケンベルグ レーシングポイント 0 DNS 0

コンディション

天気
晴れ
気温
21℃
路面温度
42.8℃
周回数
52

レース概要

グランプリ名
F1イギリスGP
レース種別
決勝
レース開始日時

サーキット

名称
シルバーストーン・サーキット
設立
1947年
全長
5891m
コーナー数
18
周回方向
時計回り

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