メルセデスのルイス・ハミルトンとレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年11月18日F1カタールGPにて
Courtesy Of Daimler AG / Red Bull Content Pool

フェルスタッペンは罰せられるべき? 物議ターン4に関する現役F1ドライバー達の見解

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チャンピオンシップ争いをしている当事者達が関与しているという事を除けば、F1サンパウロGPでの48周目の一件を再審査するか否かという判断に日をまたぐほどの時間が必要であるとは考えにくいが、最終的にスチュワードは、メルセデスに再審請求権を認めるか否かの判断を1日延期する事を決めた。

再審理が行われれば5秒ペナルティ、あるいは3グリッド降格等の罰則が科される可能性もあるだけに、マックス・フェルスタッペンのファンは再審請求の却下を望んでいるであろうし、逆にルイス・ハミルトンのファンは新証拠を元に再度、インテルラゴスでのターン4のインシデントを調査して欲しいと願っている事だろう。

いずれにせよ、最終的な決定は少なくともF1カタールGPの当日まで下されることはない。当事者以外の現役F1ドライバー達は例のインシデントをどのように見ているのだろうか?

騒ぎ過ぎ、とライコネン&ベッテル

全く意外性はないが、”アイスマン”の愛称で親しまれるグリッド最年長キミ・ライコネン(アルファロメオ)は、一体何を騒いでいるのか分からないと言ったご様子だ。

「確かに2人共が飛び出したけど、お互いに接触しちゃいないし、特に何も言う事はない」とライコネン。

「別に何かおかしな点があったとも思ってないし。僕はあれよりもっと酷いものを見た事もあるし、実際にもっと酷い状況に巻き込まれた事もある」

「あまりにも色々な事が書かれてしまって、実際よりも悪く見えてるだけさ」

また、2019年のカナダGPでの一件で再審査請求を経験済みのセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は「僕には関係ないけど、ちょっと余計なんじゃないかと思う。ルイスは素晴らしいレースをしたし、勝ったし、速かった、それだけの事さ」と述べ、ライコネンと似たような見解を示した。

F1カタールGPの木曜記者会見に出席したアストンマーチンのセバスチャン・ベッテル、2021年11月18日ロサイル・インターナショナル・サーキットにてCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

F1カタールGPの木曜記者会見に出席したアストンマーチンのセバスチャン・ベッテル、2021年11月18日ロサイル・インターナショナル・サーキットにて

攻撃性に磨きがかかった、とリカルド

今もフェルスタッペンと仲が良い元チームメイトのダニエル・リカルド(マクラーレン)は、一件を評価する事から距離を置きつつも、キャリア初期に見られたフェルスタッペンのアグレッシブなドライビングスタイルに触れて「時間が経つにつれて確実に成熟してきているし、事件や事故に巻き込まれる事が減ってきている」と指摘した。

「彼は依然として攻撃的だけど、間違いなくそれに磨きをかけてきている。あの動きが正しかったのか間違っていたのかは分からないけど、優勝とチャンピオンシップを目指して全力を尽くしてリードを維持しようとするのは当然の事だ」

また、ハミルトンが優勝という最上位の結果を挙げた以上、スチュワードが後からペナルティを科す可能性は低いだろうとの見方を示した上で「仮にマックスがレースに勝っていたら、多分彼らは控訴を含む様々な手で、より厳しく追求しただろうね」と語った。

グラベルとスタイル変更で対処、とフェラーリ・ボーイズ

2015年にチームメイトとしてフェルスタッペンと共にF1デビューを果たしたカルロス・サインツ(フェラーリ)は、ターン4の出口にグラベルトラップを設置すれば誰も好んでコース外に出たりはしないとして、ロードレース世界選手権(MotoGP)を開催しない全てのコースのランオフエリアを砂利に変更すべきだと主張した。

「もしあそこにグラベルを作れば、スチュワードにとっても、マイケル(FIAレースディレクターを務めるマイケル・マシ)にとっても、ルイスにとっても、マックスにとっても、そして僕らにとっても問題にはならないだろう」

F1カタールGPのパドックを並んで歩くフェラーリのカルロス・サインツとシャルル・ルクレール、2021年11月18日ロサイル・インターナショナル・サーキットにてCourtesy Of Ferrari S.p.A.

F1カタールGPのパドックを並んで歩くフェラーリのカルロス・サインツとシャルル・ルクレール、2021年11月18日ロサイル・インターナショナル・サーキットにて

サインツのチームメイト、シャルル・ルクレールは、スチュワードがフェルスタッペンに制裁を加えるのであれば、自身が似たような状況に陥った場合にペナルティを科されないように今後、ドライビングスタイルを変える意向を示して「もしあれが許されるなら、今後、アウト側からオーバーテイクするのはかなり難しくなるだろうね」と指摘した。

フェルスタッペンに非がある、とラッセル

フェルスタッペンに非があると断言する者もいる。来季メルセデス移籍が決まっているジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)は、フェルスタッペンにペナルティが科されるべきだったと主張した。

「他のラップより25m遅れでブレーキングして、他のドライバーをコース外に追い出したんだからね。ハードなレースだけどフェアではない」

今は違う意見を持っている、とハミルトン

なお当事者のハミルトンは、再審査請求を含む事後の全てはチームに一任しており自身は「あまり関わっていない」とした上で、「僕は今週末に向けての準備に全力を尽くしてきたから、どういう議論が行われているか、どういう結果になるのか、全く分からない」と語った。

ハミルトンは一件について、レース中に無線で不満をぶつけるような事はなかったが、これについては「それが取るべきメンタリティだからね」と説明した。

「クルマの中で文句を言っても、それは自分の足を引っ張るだけだから、あの時は兎に角、前に進むだけだった。それに様々な角度から見ていないものを判断するのは難しい」

F1カタールGPの木曜記者会見に出席したメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年11月18日ロサイル・インターナショナル・サーキットにてCourtesy Of Daimler AG

F1カタールGPの木曜記者会見に出席したメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年11月18日ロサイル・インターナショナル・サーキットにて

詳細について説明する事は避けたが、ハミルトンはリプレイ映像を見て一件に対する見方が変わったと明かした。

「もちろん見直したし、今は違う意見を持っている。でも今はクルマのセットアップをどうするかという事にエネルギーを注いで週末に向けて集中しているから、それについては特に何も考えていない」

なおフェルスタッペンは「僕らはチャンピオンシップを懸けて戦っているのであって、ここは幼稚園じゃないんだ」と述べ、自身に非はなく、再審請求によってペナルティが科される事はないと自信を示している。

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