フェルスタッペン、執拗な質問攻めに「ここは幼稚園じゃない」物議ハミルトンとのターン4の一件で
F1サンパウロGPでの48周目の一件についてレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、テッド・クラヴィッツからの重ね重ねの質問に対して「幼稚園じゃないんだから」と述べ、単なる激しいレースの一貫として起きた事だと強調した。
インテルラゴスでの48周目、フェルスタッペンはターン4でイン側に踏み止まった後、膨らむようにコーナーに進入していった事でアウト側にいたハミルトン共々、ランオフエリアに飛び出した。
F1カタールGPの開幕を前に行われた記者会見の中でフェルスタッペンは、ブレーキングを遅らせた事に加えてタイヤが摩耗していたために、仮にステアリングを急にコーナーイン側に切っていればスピンしていたはずだとして、再び同じような状況になれば、また同じことをするだろうと述べ、その上で自身がペナルティを受ける可能性については「考えてもいない」と付け加えた。
またフェルスタッペンはイギリスのSky Sportsのインタビューに答え、メルセデスが国際自動車連盟(FIA)に再審査請求を行ったのはDRS規制違反によってハミルトンが予選失格になった事が動機だと主張した。
レッドブル陣営はメルセデスが再審査を請求した展開に不意を突かれたようだが、フェルスタッペンはマスクの下に笑みを浮かべながら「彼らは失格になった後、あらゆる事に文句をつけると言っていた」として「想定済み」と語った。
ハミルトン駆る44号車はF1サンパウロGP予選で最速タイムを記録した後、DRS稼働時のメインプレーンと上部フラップとの隙間寸法の検査で不合格となった。ウイングの中央部分と左側部分の隙間は最大既定値85mmの範囲内であったが、右側部分は0.2mm超過していた。
メルセデスのトト・ウォルフ代表はFIAの裁定が下った事を受け「今後はもっと厳しい目で他人を見る必要があるだろう。これからは全ての事に懐疑的な目を向ける事になるだろう。たとえ以前は紳士協定なるものがあったとしても、今はそんなものは存在しない」と語っていた。
これは、W12のリアウイング・エレメントが時速260kmから”たわみ”始めると考えているレッドブルが、大量の資料と映像証拠を持って予選1時間前にこれをFIAに指摘しに行った件に触れての発言だと考えられる。
トト・ウォルフはレッドブルのこの動きが予選後のリアウィング検査に繋がった可能性があると考えているようで「他のステークホルダーからの圧力」と言う表現を使って、スチュワードが外部からの働きかけを受けた可能性があると仄めかして不満をあらわにした。
インタビューアーは英国出身のF1ピットレーポーター、テッド・クラヴィッツだった。クラヴィッツはF1イギリスGPでの一件を引き合いに出した。
シルバーストン・サーキットで行われた決勝でフェルスタッペンは、高速のコプスでイン側のハミルトンと接触し、アウト側のウォールに弾き飛ばされた。レッドブルはレース後、ハミルトンへの10秒ペナルティは軽微であるとしてスチュワードに再審査を求めたが却下された。
フェルスタッペンは「ちょっとした違いがある」として両者を比較するのは筋違いだと主張した。
「あの時は僕が壁にぶつかった一方、彼はレースに勝ったわけで、この2件は同じではない。さっきも言ったように、失格になったために彼らは取り乱してるんだよ」
また、今後も僅差の戦いが続くと思うか? ブラジルでのターン4のような戦い方を追求していくのか?と問われると、オーバーテイクやディフェンスというものは各々の状況によって全く異なるわけで、そうした話するのは無意味だと退けた。
更にクラヴィッツは、仮にカタールやサウジアラビア、アブダビの今後3戦でハミルトンが同じ様な形で自身をコース外に追いやったら受け入れるのか?と問いただそうとした。
フェルスタッペンは質問を遮って「いいかい、もしブラジルで逆の立場だったら、全く同じ展開になっていただろう」と述べ、もし立場が逆であればハミルトンも同じ様にしただろうとの見方を示して「あれはハードなレースだった」と付け加えた。
「僕らはチャンピオンシップを懸けて戦っているんだ。分かるでしょ?ここは幼稚園じゃないんだよ」
そしてフェルスタッペンはインタビューがこれで終わりと判断すると一つ笑顔をみせ、クラヴィッツが話を続ける中、足早に去っていった。