マクラーレンのカルロス・サインツ、2020年F1ベルギーGPにて
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おぞましいほど遅いフェラーリ「サインツは移籍を不安視しているはず」とブラウン

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スパ・フランコルシャンで行われたF1ベルギーGPでは、低ダウンフォースコースにおけるスクーデリア・フェラーリSF1000の”おぞましい”遅さが露呈した。そんな跳馬への移籍が決まっているカルロス・サインツはナーバスになっているはず…F1の競技部門を率いるロス・ブラウンはそう考えている。

イタリアの伝説的F1チームはスパの予選でダブルQ1敗退の危機に見舞われ、レースは雨が降ったわけでもセーフティーカーによる致命的な不運があったわけでもないにも関わらず、カスタマーチームのアルファロメオ、キミ・ライコネンに追い抜かれセバスチャン・ベッテルが13位、シャルル・ルクレールが14位と、ノーポイントに終わってしまった。

セバスチャン・ベッテルの後任として、2021年シーズンのルクレールのチームメイトを務めるマクラーレンのカルロス・サインツは、パワーユニットのトラブルによってレース欠場を強いられたものの、MCL35の競争力はSF1000より明らかに高く、ランド・ノリスは7位でフィニッシュし、ウォーキングのチームはコンストラクター選手権で5位のフェラーリを上回る3位につけている。

かつて、黄金期のフェラーリをテクニカルディレクターとして牽引したロス・ブラウンは週末を振り返り、サインツがフェラーリ移籍への決断の妥当性に疑問をいだいているはずだと語った。

「ベルギーGPでのカルロス・サインツは明らかに運がなかった。パワーユニットの問題がエキゾースト不良をもたらしたためスタートできず、またも貧乏くじを引く事となった」とロス・ブラウン。

「これまでのところ、今年は彼にとって厳しいシーズンとなっているが、彼は非常に強いキャラクターの持ち主で、かなり前向きな男だ。彼のキャリアはこれまで、決して平坦ではなかった。私は常に彼を評価してきたし、素晴らしいドライバーだと思っている。なんとかしてこの状況を乗り切ってくれる事だろう」

「当初、来年のフェラーリへの移籍は夢に溢れるものに見えたが、今はあまり良い方向に向かっているようには見えない。彼は来シーズンの見通しに不安を感じているに違いない」

スパにおけるフェラーリの冴えないパフォーマンスの原因は、必ずしも貧弱なパワーユニットのせいだけではない。ロス・ブラウンは自身の経験から、スパでのフェラーリを次のように説明する

「私はかつて、スパでフェラーリが陥ったような状況に遭遇した事がある。タイヤが機能せず、気温が上がらず、パフォーマンスが劇的に低下するような状況だ」

「技術面のルールが明確にされた事で、人々はフェラーリエンジンがパフォーマンスを落としたと話題にするが、それだけでは1年の間に1周あたり1.3秒も遅くなった説明がつかない。彼らはただタイヤをゾーンに入れられなかったのだ。寒いコンディションも影響しただろう」

「こうした状況が起こると、パフォーマンスが劇的に低下し、おぞましいように見えるものだ。タイヤをきちんと作動させられるようになれば、パフォーマンスはすぐに戻ってくると思う。それでもなお勝利に足るものではないだろうが、今よりはまともになるはずだ」

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