2020年F1ベルギーGPの金曜記者会見に出席したホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクター
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レッドブル、話題のF1サクヒールGPでホンダと田辺TDの「オーバル経験と知識」をフル活用

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ホンダ並びに現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターが持つ経験と知識によって、レッドブル・ホンダは新たなチャレンジとなる第16戦サクヒールGPで、ライバルに対してアドバンテージを築く事になるかもしれない。

F1は今季カレンダーの最終盤に追加されたバーレーン・インターナショナル・サーキットでの第2レース「サクヒールGP」において、通常のグランプリコース(5.412km)とは大きく異るショートオーバル風のコースレイアウト「アウター・トラック」を採用する。

これは3本のロングストレートにテクニカルな高速連続コーナーを繋いだようなレイアウトで、世界三大レースのひとつであるインディアナポリス500マイルレースに代表される楕円形のオーバルコースに似ているとして、ファンや関係者の間で大きな話題となっている。

同一方向のターンのみで構成されるオーバルは北米で高い人気を誇っており、米国に存在するコースの約70%はオーバルだ。一方、F1が本拠とする欧州では、右・左と蛇行するようなコーナーを持つサーキットが主流であり、チームにとってはエンジニアリング的に大きな挑戦となる。だが、英国ミルトンキーンズのチームには有益なリソースがある。

田辺TDはホンダF1のテクニカル・ディレクターに就任する2017年以前、ホンダの米国レース拠点であるホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)のシニア・マネージャー兼レースチーム・チーフエンジニアとして活躍し、インディカーに転向した佐藤琢磨と共に第101回インディアナポリス500優勝の快挙を達成している。

更にホンダは、先週末の8月23日に開催された第104回インディ500でも佐藤琢磨と共に勝利を上げたばかりであり、トップ10リザルトの内の8台をホンダ勢が占めるという圧倒の結果だった。レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、ホンダと田辺TDが持つあらゆる経験と知識を活用するつもりだと語る。

「オーバルでのレースはF1とは全く異なるし、非常に興味深い」とホーナーは語る。

「ホンダは先週末のインディアナポリス500で優勝したばかりであり、田辺さんはオーバルレースの経験が豊富だ。彼らの経験と知識のすべてを活用させてもらうつもりだよ。インディ500でのホンダの1-2-3フィニッシュに対して賛辞を贈りたい」

「インディアナポリスのコースとは同じではないものの、オーバルタイプのレイアウトは通常のものとは異なるチャレンジだ。1周が短いから、エキサイティングなものになるはずだし、今から楽しみだよ」

隣に座っていた田辺TDは、協力を惜しまないと応えた。

「同じサーキットの異なるタイプのコースでレースが出来るのは良いことだと思います」と田辺TD。「クリスチャンからの大きなプレッシャーもありますし、新しいレイアウトでのパフォーマンス改善は我々にとって1つの挑戦となります。PUマネジメントを改善させて最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、シミュレーション作業に取り組みます」

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