ニキ・ラウダに追悼の意を表した赤いハロを装着するメルセデスW10
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ハミルトン、故ラウダに捧ぐ今季2度目のポール、ホンダは3番手 / F1モナコGP《予選》結果とダイジェスト

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2019年FIA F1世界選手権 第6戦モナコGP公式予選が5月25日(土)にモンテカルロ市街地コースで行われ、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが1分10秒166のコースレコードを記録。今季2度目、キャリア通算85回目のポールポジションを獲得した。

2番手はバルテリ・ボッタス。優勝候補筆頭のシルバーアローが圧倒的な速さでライバルを寄せ付けず、先日他界した非常勤会長のニキ・ラウダにフロントロウを捧げた。メルセデスのフロントロウ独占は通算62回目。フェラーリとウィリアムズ、そしてマクラーレンが持つ記録に並んだ。

セカンドロウ3番手はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。スクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテルを0.306秒という大差で打ち負かし、メルセデスの背後につけた。

ホンダエンジン勢はフェルスタッペンを含めた全4台がQ3へと進出。レッドブルのピエール・ガスリーは5番手、スクーデリア・トロロッソはダニール・クビアトが8番手、アレックス・アルボンが10番手を獲得した。

午前のFP3に引き続き現地モナコは青空に恵まれ、決勝のスタートグリッドを決する争いは気温21℃、路面43℃、湿度64%のドライコンディションでスタートした。過去65回のレースの内、29回がポール・トゥ・ウインと、予選ポジションが決定的に重要なF1モナコGP。熾烈なバトルが繰り広げられた。

公式タイヤサプライヤーのピレリは、ハードにC3、ミディアムにC4、ソフトにC5コンパウンドを投入。Q3進出者に追加提供されるコンパウンドはソフトタイヤが指定された。

予選Q1:波乱…母国GPのルクレールがノックアウト

エントリーした全20台で争われる予選第一ラウンドのQ1は、マクラーレンのランド・ノリスが先陣を切る形でスタート。全車が数珠つなぎにコースへと向かった。フェラーリはメカニック達が迅速に作業に取り組み、FP3でクラッシュを喫したベッテルのマシンを修復。無事にコースへと送り出した。

全車1回目のアタックを終えてノックアウトゾーンに沈んだのは、レーシングポイントの2台とウィリアムズの2台、これにルノーのニコ・ヒュルケンベルグを加えた5名。2度目のアタックで、フェラーリにまさかの悲劇が襲いかかる。

1セット目のアタックを終えたフェラーリはルクレールが7番手、ベッテルが11番手。ピットはベッテルを2度目のラップに送り出したものの、Q1突破に十分なタイムが得られたと判断し、ルクレールをガレージに待機させたが、これが大きな誤りだった。

2セット目のソフトタイヤに履き替えてタイム計測に向かったベッテルは、プールサイドシケイン手前のガードレールにリアを接触。緊急ピットインを強いられた。この間に、路面の改善を味方につけた中団チーム勢がタイムを大幅に更新。ベッテルは17番手のノックアウトゾーンに沈んだ。

後がないベッテルは急ぎコースへと戻り、セッション終了ギリギリ15秒前にスタートラインを通過。セクター1で全体ベストを刻んだ4度のF1ワールドチャンピオンは、その後も底意地を見せトップタイムを記録し、無事にQ1突破を果たした。

一方のルクレールは、ライバルが軒並みベストタイムを更新する中、為すべもなくズルズルとポジションダウン。カットオフラインを見誤ったために、1000分の52秒という僅差で16番手に後退。母国グランプリの晴れ舞台でまさかのQ1敗退を喫した。

「2度目のランに出なくて大丈夫か尋ねたけど、彼らはダイジョブだって言ったんだ。時間も燃料もあったのに。納得のできる説明がほしい」とルクレール。チームへの不信感を募らせた。

予選後、フェラーリは異例の会見を開き、予選での判断ミスを認めて釈明した。

ノックアウト

  • シャルル・ルクレール
  • セルジオ・ペレス
  • ランス・ストロール
  • ジョージ・ラッセル
  • ロバート・クビサ

予選Q2:ガスリー走行妨害、グロージャンが敗退

5台が脱落し、残る15台のマシンが挑んだQ2では、メルセデス、レッドブル、トロロッソの各2台が順当にQ3進出を果たした一方、期待の高かったハースの一台がトラフィックの悲劇によって消滅。ルノー、マクラーレンはチーム内で明暗が分かれた。

トップタイム通過はフェルスタッペン。アルボンは最後のラップでコンマ数秒を絞り出し、全セクター自己ベストを繋いで7番手。シニアチームのガスリーを8番手に押さえてノックアウトゾーンから脱出した。

ラストアタックに全てをかけたハースのケビン・マグヌッセン。チェッカー後にフィニッシュラインを駆け抜け5番手に巻き返した。これによって、ヒュルケンベルグが押し出され11番手でノックアウトを喫した。

ロマン・グロージャンはミラボー(ターン5)の手前でスローラン中のガスリーにスタック。タイム計測叶わず13番手でQ2敗退を喫した。グロージャンは放送禁止用語を連発して怒りをあらわにした。

一件は審議の対象となり、セッション終了後にガスリーに3グリッド降格ペナルティが科される事となった。チームがガスリーに対して警告を怠ったためであった。アントニオ・ジョビナッツィもまた、ニコ・ヒュルケンベルグの走行を妨害したとして、3グリッド降格ペナルティが科された。

ノックアウト

  • ニコ・ヒュルケンベルグ
  • ランド・ノリス
  • ロマン・グロージャン
  • キミ・ライコネン
  • アントニオ・ジョビナッツィ

予選Q3:ハミルトンが雄叫び、圧巻のポールラップ

トップ10グリッドを決する予選最終ラウンドのQ3。1セット目のアタックを終えてボッタス、ハミルトン、フェルスタッペンが暫定トップ3に並び、これにベッテル、ガスリー、マグヌッセンの順で続く展開となった。ハミルトンはヌーベルシケインのブレーキングでミス。ボッタスが挨拶代わりと言わんばかりに、1分10秒252のコースレコードを記録して暫定トップを刻んだ。

残り2分を切ったところで全車コースイン。先陣を切ったベッテルは、タバココーナーで壁に軽く接触。自己ベストを更新できずに4番手が確定した。その後ろからは、ハミルトンがセクター1でファステストを刻み、ボッタスを1000分の86秒上回り最速を奪取した。

ボッタスとフェルスタッペンは、アウトラップをクリーンに走れずタイヤの熱入れに失敗。共に途中で計測を諦めた。無線でP1の報を聞いたハミルトンは雄叫びを上げてその喜びを表現した。

シーズン6戦目のF1モナコグランプリ決勝レースは、日本時間5月26日(日)22時10分からスタート。1周3340mのモンテカルロ市街地コースを78周する事でチャンピオンシップを争う。

2019年F1第6戦モナコGP予選リザルト

Pos No Driver Team Q1 Q2 Q3 Laps
1 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:11.542 1:10.835 1:10.166 28
2 77 バルテリ・ボッタス メルセデス 1:11.562 1:10.701 1:10.252 27
3 33 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:11.597 1:10.618 1:10.641 19
4 5 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 1:11.434 1:11.227 1:10.947 27
5 10 ピエール・ガスリー レッドブル・ホンダ 1:11.740 1:11.457 1:11.041 24
6 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 1:11.865 1:11.363 1:11.109 24
7 3 ダニエル・リカルド ルノー 1:11.767 1:11.543 1:11.218 25
8 26 ダニール・クビアト トロロッソ・ホンダ 1:11.602 1:11.412 1:11.271 30
9 55 カルロス・サインツ マクラーレン・ルノー 1:11.872 1:11.608 1:11.417 30
10 23 アレックス・アルボン トロロッソ・ホンダ 1:12.007 1:11.429 1:11.653 31
11 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノー 1:12.097 1:11.670 20
12 4 ランド・ノリス マクラーレン・ルノー 1:11.845 1:11.724 22
13 8 ロマン・グロージャン ハース・フェラーリ 1:11.837 1:12.027 21
14 7 キミ・ライコネン アルファロメオ 1:11.993 1:12.115 21
15 99 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ 1:11.976 1:12.185 22
16 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:12.149 8
17 11 セルジオ・ペレス レーシングポイント 1:12.233 11
18 18 ランス・ストロール レーシングポイント 1:12.846 11
19 63 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 1:13.477 13
20 88 ロバート・クビサ ウィリアムズ・メルセデス 1:13.751 13

コンディション

天気晴れ
気温21℃
路面温度43℃

セッション概要

グランプリ名 F1モナコGP
セッション種別 予選
セッション開始日時

サーキット

名称 モンテカルロ市街地コース
設立 1929年
全長 3340m
コーナー数 18
周回方向 時計回り

F1モナコGP特集