フェラーリ、F1モナコ予選の失態受け緊急会見、ルクレールへの判断ミス認め原因を説明
スクーデリア・フェラーリのマッティア・ビノット代表は、F1モナコGP予選でシャルル・ルクレールに下した判断が誤りであったと認め、ミスが発生した原因を詳しく説明した。スクーデリアの一員として初めて母国レースに臨んだルクレールであったが、地元観衆の前で無残にも予選Q1敗退を喫する事となった。
予選Q3進出が確実視されたルクレールは、第一ラウンドのQ1で悲劇的なドラマの主人公を演じた。1セット目のコンパウンドでアタックを終えたルクレールは、暫定7番手タイムを記録。ピットはチームメイトのセバスチャン・ベッテルを2度目のラップに送り出した一方、Q1突破に十分なタイムが得られたと判断し、ルクレールをガレージに待機させた。
だが、モンテカルロの路面はフェラーリのピットが予想した以上に改善し、ライバルの多くが自己ベストを更新。ズルズルとポジションを落としたルクレールは、1000分の52秒という僅差で16番手に後退。母国グランプリの晴れ舞台でまさかのQ1ノックアウトとなった。
予選を終えたルクレールは答えを求めた。タイヤにも燃料にも余裕があったのに、何故チームは僕を2度目のタイム計測に向かわせなかったのか。。フェラーリは通常、予選後にチーム代表のメディアセッションを設けないが、この日ばかりは予定外に記者会見を準備。異例の釈明を行なった。
「我々にとって良い一日とは言えなかった」とビノット代表。「我々は間違いを犯した。我々がカットオフと呼んでいるラップタイムを見誤ってしまった。カットオフ・タイムは、次のセッションに進むために必要十分だと判断されたラップタイムの閾値(しきいち)だ」
「カットオフ・タイムはトラックの状況に基づいてリアルタイムで計算される。通常の場合我々は、セッション中に起こり得る出来事を想定して、不確実性に対して十分な余裕が得られるように、カットオフタイムに対してマージンを上乗せする」
「今日は、我々が適用したそのマージンが十分でなかったために起こってしまった。原因は2つあった。1つは、予選Q1の終わりに向かってトラックエボリューションが著しかった事、もう1つは推測だが、個々のドライバーのモナコに対する自信がラップタイムに与える変動性を考慮していなかった事だ」
メルセデスの5戦連続1-2フィニッシュによって、フェラーリはコンストラクターズランキングで96点ビハインドの2位に甘んじている。よもやマラネッロには、幼稚な判断ミスをしているような余裕は一切ない。ビノット代表は、本来であれば上乗せすべきマージンが十分でなかったのは、リスクを取ったが故の結果だと説明する。
「我々はチャンピオンシップでキャッチアップしなければならない状況に直面している。こういった状況ではあらゆる領域でリスクを取る必要がある。十分なマージンを設定していた場合、我々は2セット目のタイヤを使う事となり、Q2とQ3に向けて1セット分タイヤを失う事になってしまう」
「我々は今日、Q2とQ3でライバルに対して可能な限り最大限のパフォーマンスを発揮するために、幾つかのリスクを負う事にした。だが結果的にそれが大きな代償を支払う事になってしまった。最終Q3の事よりも、目先のQ2進出を優先すべきだった」
フェラーリは今回のモナコのみならず、数シーズンに渡って”失策”が目立っているが、ビノット代表はこれまでのやり方を変えるつもりも、戦略の意思決定に関わる人材を転換するつもりもないと語った上で、次のように付け加えた。
「我々には適切な人材がいるし、適切な手順を構築している。だが、ツールを改善する必要がある。自分たちが既にしてしまった事を見返して、将来それをどのように変えたら良いのかを見つめ直す事にオープンだし、次戦からその点に取り組むことになるのは間違いない」
アルファロメオのアントニオ・ジョビナッツィが3グリッド降格となるため、ルクレールのグリッドは一つ繰り上がり、日曜のレースを15番グリッドからスタートする事になる。