トップチェッカーを受けてレッドブルRB19の上に立つマックス・フェルスタッペン、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP決勝レース(ラスベガス市街地コース)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

初代勝者はフェルスタッペン、接触と懲罰乗り越え歴代3位の53勝…角田裕毅はDNF / F1ラスベガスGP《決勝》結果とダイジェスト

  • Published: Updated:

2023シーズンのFIA-F1世界選手権第22戦ラスベガスGP決勝レースが現地11月18日にラスベガス市街地コースで行われ、2番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転のトップチェッカーを受けた。

今季の18勝の中で最も厳しいレースとなった。1周目のターン1でポールシッターのシャルル・ルクレール(フェラーリ)を交わしたが、コース外に追いやったとして5秒ペナルティを受け、早期のタイヤ交換により第2スティントは隊列の中での巻き返しを強いられた。

1周目のターン1でシャルル・ルクレール(フェラーリ)のイン側に飛び込むマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP決勝レース(ラスベガス市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

1周目のターン1でシャルル・ルクレール(フェラーリ)のイン側に飛び込むマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP決勝レース(ラスベガス市街地コース)

ジョージ・ラッセル(メルセデス)に責任があるとの判断が下された接触事故により、中盤にはフロントウイングが壊れ、手負いの状態でレースを続けた。それでも残り15周でルクレールを攻略。2.070秒差をつけてキャリア通算勝利数を53に伸ばし、歴代3位のセバスチャン・ベッテルに並んだ。

セルジオ・ペレス(レッドブル)は1周目のターン1で、スピンを喫したフェルナンド・アロンソに追突したバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)と接触し、早々にピットストップを強いられたが、ラッセルとチームメイトの接触により導入されたセーフティーカー(SC)の利を得て、中盤に向けて2番手に浮上した。

その後はルクレールと激しい首位攻防戦を繰り広げ、一旦はラップリーダーの座を掴んだものの防衛できずに後退。ところがルクレールがミスをした事で、ファイナルラップに2番手で突入した。

レッドブルはペレスにトウを与えるべく、首位を走るフェルスタッペンに対してペースダウンを指示。1-2フィニッシュを目指したが、ルクレールの見事なオーバーテイクによって打ち砕かれた。それでも2016年のメルセデスの19勝を塗り替え、史上最多年間勝利記録20勝を樹立した。

パルクフェルメでガッツポーズを取る優勝者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2位シャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位セルジオ・ペレス(レッドブル)、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP決勝レース(ラスベガス市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

パルクフェルメでガッツポーズを取る優勝者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2位シャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位セルジオ・ペレス(レッドブル)、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP決勝レース(ラスベガス市街地コース)

レースは50周する事で争われ、ランド・ノリス(マクラーレン)の大クラッシュと中盤の接触事故により、2度に渡ってSCが導入される荒れた展開となった。計3台がチェッカーを受けずにレースを終えた。

角田裕毅(アルファタウリ)はソフトタイヤを履いて20番グリッドに着いた。ターン1の混乱もあって1周目に11番手にまでポジションを上げたものの、その後は徐々に後退。終始最下位を走るレースを余儀なくされた。終盤に向けてはギアボックスに問題を抱え、残り2周でリタイヤした。

対照的に、角田裕毅と同じくソフトをスタートタイヤに選んだランス・ストロール(アストンマーチン)は、1周目に19番手から9番手にまでポジションを上げると、1回目のSCを経てステイアウトではなくピットインを選択。4位エステバン・オコン(アルピーヌ)に続く5位フィニッシュを飾った。

カルロス・サインツ(フェラーリ)は路面設備の不具合による事故の影響で3基目のES(バッテリー)を開封。10グリッド降格の12番グリッドに着いたが、ルイス・ハミルトンとラッセルのメルセデス勢を従えて6位入賞を果たした。

アロンソはターン1でのスピンによって1周目に19番手にまで転げ落ちたものの9位でフィニッシュし、前日の予選でQ1敗退を喫したオスカー・ピアストリ(マクラーレン)はファステスト・ラップを刻んで10位に滑り込んだ。

僚友ノリスは3周目のターン11でリアを失い、ターン12手前の壁に激しく衝突した。幸いにも自力でクルマから降りたが、予防措置として地元病院に搬送されたが、すぐにパドックに戻った。バンプとタイヤ温度が原因と見られる。

レース概要

決勝は現地18日(土)22時にブラックアウトを迎え、1周6,201mのコースを50周する事で争われた。現地ラスベガスは晴れ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温19℃、路面20℃と、週末の中で最も暖かいドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。大多数がミディアムをスタートタイヤに選んだ。

2023年11月18日F1ラスベガスGPのドライバー別スタートタイヤCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年11月18日F1ラスベガスGPのドライバー別スタートタイヤ

F1ラスベガスGPのドライバー別タイヤ戦略、2023年11月18日Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1ラスベガスGPのドライバー別タイヤ戦略、2023年11月18日

F1ラスベガスGPの気温及び路面温度の推移、2023年11月18日Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1ラスベガスGPの気温及び路面温度の推移、2023年11月18日

オープニングラップのターン1では、隊列の中団で接触やスピンが多発した。

バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)はセルジオ・ペレス(レッドブル)に追突され、その後、単独でリアを滑らせハーフスピンを喫したアロンソと接触して停止。サインツはハミルトンの左リアと接触してスピンした。ソフトスタートの2台は大きく順位を上げ、ストロールは9番手、角田裕毅は11番手に浮上した。

ルクレールに対する動きで5秒ペナルティが科せられたと告げられたフェルスタッペンは無線を通して「ああ、それで構わない。彼ら(スチュワード)によろしく伝えてよ!」と返した。レース後にペナルティは適切だったと認めた

デブリ回収のためのバーチャル・セーフティーカー(VSC)を経て、3周目のリスタートでノリスがクラッシュを喫すると、4周目にSCが導入された。

ストロールとサインツは新品タイヤに履き替えるべくピットレーンに入った。7周目にリスタートを迎えると、フェルスタッペンは一気にリードを広げた。

25周目、ターン12でイン側に飛び込んだフェルスタッペンがラッセルと接触。両車のパーツが広範に飛び散った事でSCが導入された。首位ルクレールを除く多くがピットイン。タイヤ交換の時期が近づいていたペレスは大きなアドバンテージを得て2位に浮上した。

この事故はトップ3のみならず、他のドライバーほぼ全てのレース結果を決定づけた。

SC導入の直前にピットインしたピエール・ガスリー(アルピーヌ)やウィリアムズ勢、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は大きくポジションを下げた。逆にオコンやストロールにとってはポイント圏外からの上位入賞に繋がった。

リスタートは29周目。ペレスはこの好機を逃さず、DRSを使って32周目のターン14でルクレールを交わしてトップに立った。だが、ルクレールも引かず、3周後のターン12で奪還した。

この間にフィールドを駆け上がってきたフェルスタッペンが両車に追いつき、36周目のターン12でチームメイトを交わして2番手にカムバック。翌周にルクレールからラップリーダーの座を奪った。ルクレールはターン12で止まり切れず、43周目にペレスに2番手を許して3番手に後退した。

終盤に向けてアレックス・アルボン(ウィリアムズ)は、メルセデス勢を含む4台を抑えて8番手を死守していたが、40周目のターン4でコース外に飛び出しポイント圏外12番手に後退した。

残り3周、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)がエスケープ・ゾーンにクルマを停めた。翌周には角田裕毅がこれに続いた。両者ともパワーユニット絡みのトラブルだった。

最終ラップ、ペレスにトウを与えるべくレッドブルはフェルスタッペンに後退するよう指示したが、ルクレールはターン16でペレスを交わし、0.171秒差で2位フィニッシュした。

2023年F1第22戦ラスベガスGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 50 1:29:08.289 25
2 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 50 +2.070s 18
3 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 50 +2.241s 15
4 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 50 +18.665s 12
5 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 50 +20.067s 10
6 55 カルロス・サインツ フェラーリ 50 +20.834s 8
7 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 50 +21.755s 6
8 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 50 +23.091s 4
9 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 50 +25.964s 2
10 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 50 +29.496s 2
11 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 50 +34.270s 0
12 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 50 +43.398s 0
13 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 50 +44.825s 0
14 3 ダニエル・リカルド アルファタウリ・ホンダRBPT 50 +48.525s 0
15 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 50 +50.162s 0
16 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 50 +50.882s 0
17 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 50 +85.350s 0
18 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダRBPT 46 DNF 0
19 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 45 DNF 0
NC 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 2 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温19℃
路面温度20℃
周回数50

セッション概要

グランプリ名 F1ラスベガスGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 ラスベガス市街地コース
設立 2023年
全長 6201m
コーナー数 17
周回方向 反時計回り

F1ラスベガスGP特集