シャルル・ルクレール(フェラーリ)に続いてグリッドに向かうマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP決勝レース(ラスベガス市街地コース)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

ラッセルのミスが演出したF1ラスベガスGPでの優勝争いのドラマ

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第1回F1ラスベガスGPのハイライトの一つ、ファイナルラップでのシャルル・ルクレール(フェラーリ)によるセルジオ・ペレス(レッドブル)へのオーバーテイクは計画的、かつ確信的なものだった。

ストリップに面したロングストレートの終端、ターン14でのビッグブレーキングでの追い越しについてルクレールは「かなりの確信があった。一旦やってみて、これなら上手くやれるぞってね。基本的にあそこは、オーバーテイクを狙える唯一の場所なんだ」と振り返った。

「それに、4・5周前のあの場所で僅かにミスをしたチェコがブレーキングで少し慎重になっているのが分かってたんだ」

「それで最終ラップに照準を合わせて、その2周前のラップでバッテリーをチャージし始めた。上手くいったよ。かなりタイトだったけど、本当に満足しているし、バトルを楽しめた」

表彰台の上で2位トロフィーを掲げるシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP(ラスベガス市街地コース)Courtesy Of Ferrari S.p.A.

表彰台の上で2位トロフィーを掲げるシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP(ラスベガス市街地コース)

ファイナルラップでの攻略により高揚感を感じていたにも関わらず、ルクレールの心中は複雑だった。

「テーブルに何も残さなかったと思うし、今日のパフォーマンスには本当に満足している。最終ラップの最終コーナーまで全力を尽くして、なんとか2位をもぎ取る事ができた。でもその一方でガッカリしているのも確かだ」とルクレールは語った。

ルクレールは25周目まで自身の勝利を確信していた。だがそれは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が自身に「完全な責任」があると認めたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)との接触事故により疑念へと変わった。

ラッセルはフェルスタッペンがターン12に飛び込んでくるのを予期せず、また見ていなかったため、イン側にレッドブルがいるにも関わらずターンインした。

接触によりフェルスタッペンはフロントウイングの翼端板を失ったが、その代わりにセーフティーカー(SC)の導入によってトラックポジションを維持したままフレッシュなタイヤを手に入れた。大きなアドバンテージだった。

事故についてフェルスタッペンは「彼は僕を見てなかったんだろうね」と振り返り、ダメージによるパフォーマンスへの影響について「理想的とは言えないけど構造は無事だった。アンダーステアが増えたけど、運が良い事にレースには勝てた」と語った。

SCが導入されるまでレースの主導権を握っていたのはルクレールだった。

予選に向けてリアウィングのダウンフォースレベルを落としたフェルスタッペンは、ランド・ノリス(マクラーレン)のクラッシュに伴うSCからのリスタートを含め、ミディアムでの第1スティント中の2度のスタートで共に苦戦した。

そしてトップを走りながらも16周という早い段階でタイヤを交換した。ルクレールはダーティーエアーを受けながらも上手くタイヤをマネジメントし、21周目までスティントを引っ張りトップでコースに復帰した。

フェルスタッペンは「ミディアムでは右フロントが上手く機能しなかった。理由は分からない。金曜は問題なかったのに」と語った。

隊列を先導するメルセデスのF1セーフティーカー、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP決勝レース(ラスベガス市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

隊列を先導するメルセデスのF1セーフティーカー、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP決勝レース(ラスベガス市街地コース)

この事故はトップ3のみならず、他のドライバーほぼ全てのレース結果を決定づけた。

SC導入の直前にピットインしたピエール・ガスリー(アルピーヌ)やウィリアムズ勢、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は大きくポジションを下げた。逆にエステバン・オコン(アルピーヌ)やランス・ストロール(アストンマーチン)にとってはポイント圏外からの上位入賞に繋がった。

「セーフティーカーがなければ優勝は僕らのものだったはずだった」とルクレールは語る。

「ミディアムを履いた最初のスティントを上手くやったことで、僕のハードタイヤはマックスより5周分フレッシュだった」

「でも残念な事にセーフティーカーが入ってしまった。マックスとチェコはピットストップを行い、僕は5周の中古ハードのままステイアウトした」

「5周というのはさほど大きなものではないけど、問題はセーフティーカーの導入によって冷えてしまった中古タイヤでリスタートするのが信じられないくらいに大変だってことなんだ。そして僕らはレースに負けてしまった」

タイヤは周回を重ねた分だけ摩耗してゴムが薄くなる。ブレーキングやウェービングによって動かせるゴムの総量が減るために熱入れが難しくなる。

レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、SCが勝利の「決定的な鍵」になったかどうかは判断が難しいと述べた。

それでもラッセルのミスによりSCが導入されなければ、フェルスタッペン、ペレス、ルクレールによる5回のリードチェンジはあり得なかった。

メルセデスのトト・ウォルフ代表はラスベガスGPに「大成功」の判を押した。ただ、ラッセルのミスがなければその印象は少なからず違ったものになったかもしれない。

ルクレールがポールポジションから優勝逃すのはこれで12回目だ。この残念な記録の世界記録保持者は1978年から1989年にかけてルノーやフェラーリで活躍したルネ・アルヌーで、ルクレールはあと1回で彼に並ぶ事になる。

表彰台でシャンパンシャワーを楽しむマックス・フェルスタッペン(レッドブル、優勝)、シャルル・ルクレール(フェラーリ、2位)、セルジオ・ペレス(レッドブル、3位)、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP(ラスベガス市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台でシャンパンシャワーを楽しむマックス・フェルスタッペン(レッドブル、優勝)、シャルル・ルクレール(フェラーリ、2位)、セルジオ・ペレス(レッドブル、3位)、2023年11月18日(土) F1ラスベガスGP(ラスベガス市街地コース)


11月18日(土)にラスベガス市街地コースで行われた2023年F1第22戦ラスベガスGP決勝レースでは、2番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が通算53勝目を飾った。

ヤス・マリーナ・サーキットを舞台とするシーズン最終アブダビGPは11月24日のフリー走行1で幕を開ける。

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