ルイス・ハミルトン、全仏オープン棄権の大坂なおみを擁護「メンタルヘルスはジョークじゃない」
7度のF1ワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が、試合後の取材のあり方を巡って全仏オープン棄権を表明した世界ランキング2位のテニスプレーヤー、大坂なおみを擁護した。
大坂なおみは全仏オープンを前に「アスリートのメンタルヘルスを考慮していない」などして試合後のメディアインタビューに応じない意向を示し、30日の1回戦で2対0のストレート勝ちを収めた後、記者会見を拒否した事で1万5000ドル(約164万円)の罰金を科せられた。
一連の対応に対して四大大会の主催者は連名で、記者会見は「選手としての責任」であり、今後も会見に応じない場合、4大大会出場停止の可能性があると警告。大坂なおみは「大会や他の選手、自身にとって去る事が最善の選択だと考えた」などとして、2回戦を前にローラン・ギャロスでの大会を棄権する事を明らかにした。
大坂なおみはその後、2018年の全米オープンで初めてグランドスラムを獲得して以来、「長い間、うつ状態に悩まされてきた」「もともと人前で話すのが得意なタイプではなく、世界中のメディアの前で話す事に大きな不安を抱えるようになっていた」と告白。今後は当面の間、試合から離れるつもりだと語った。
— NaomiOsaka大坂なおみ (@naomiosaka) May 31, 2021
超一流のプロスポーツ選手が、メディアインタビューに応じるより競技の棄権を選択したという事実は、テニスというカテゴリーを超えたスポーツ全般に対する問題提起となった。
これまで度々、精神状態を維持する事への苦悩を口にしてきたルイス・ハミルトンは大坂なおみの告白を受け、彼女を擁護する旨のメッセージをソーシャルメディアに投稿し、同じような問題を抱えている可能性がある身近な人々を気にかけて欲しいとファンに促した。
「僕らだってただの人間なんだ」
「メンタルヘルスはジョークではなく現実であり深刻な問題で、これ(告白)は凄く勇気が必要な事だ。同じような問題を抱えているのがナオミだけじゃない事をみんなで確認したい」
「今日はあなたの友人や愛する人の近況を確認し、彼らが一人ではない事を伝えるための良い機会だ。簡単なメールを送るだけでいい」
メンタルヘルスとは精神面における健康状態を指す言葉で、厚生労働省によると日本国内でこころの病気を抱えている患者は300万人以上に及んでいるという。
メンタルヘルスという用語を軽々しく使ったりする事は「決してない」とする大坂なおみは、会見拒否によって罰金が科せられる可能性に触れて、もしそうなった場合はメンタルヘルスの慈善団体に役立てて欲しいと述べていた。