
F1スペインGP 決勝直前情報: タイヤ戦略考と天気、ストロール棄権適用後のグリッド
日本時間6月1日(日)22時にスタートを迎える2025年F1第9戦スペインGP。ここでは、スターティング・グリッド、予選結果からの変動、そして予想されるタイヤ戦略や気象条件についてまとめる。
スターティンググリッド
予選14番手のランス・ストロール(アストンマーチン)が棄権したため、決勝は全19台で争われることとなった。これに伴い、予選15番手のオリバー・ベアマン(ハース)以下のグリッドが1つずつ繰り上がった。
F1競技規則第42条4項は、棄権車両が発生した場合について、当該グリッドを空席とせず、以降のドライバーのグリッドを繰り上げると定めている。
なお、最終的なグリッドは、フォーメーションラップ開始の1時間前に発表される。これ以降に出走不可の車両が出た場合には、グリッドは繰り上げられず、当該ポジションは空席のままとなる。
予選最下位の角田裕毅(レッドブル)は、パルクフェルメ下でのセットアップ変更によリ、ピットレーンからスタートする。
マクラーレンは今回、1998年以来となるバルセロナでのフロントロウ独占を果たした。オスカー・ピアストリがポールポジション、ランド・ノリスが2番グリッドに並ぶ。とは言え、その地位は決して安泰ではない。
ポールポジションからターン1のエイペックスまでの距離は約580メートルと、カレンダーの中でも屈指の長さを誇る。そのため、スタートで上手く加速できなければ、開始早々に首位が交代する可能性が高い。
Pos | Driver | Team | Qualifying |
---|---|---|---|
1 | O.ピアストリ | マクラーレン | 1(-) |
2 | L.ノリス | マクラーレン | 2(-) |
3 | M.フェルスタッペン | レッドブル | 3(-) |
4 | G.ラッセル | メルセデス | 4(-) |
5 | L.ハミルトン | フェラーリ | 5(-) |
6 | A.K.アントネッリ | メルセデス | 6(-) |
7 | C.ルクレール | フェラーリ | 7(-) |
8 | P.ガスリー | アルピーヌ | 8(-) |
9 | I.ハジャー | レーシングブルズ | 9(-) |
10 | F.アロンソ | アストンマーチン | 10(-) |
11 | A.アルボン | ウィリアムズ | 11(-) |
12 | G.ボルトレート | ザウバー | 12(-) |
13 | L.ローソン | レーシングブルズ | 13(-) |
14 | O.ベアマン | ハース | 15(+1) |
15 | N.ヒュルケンベルグ | ザウバー | 16(+1) |
16 | E.オコン | ハース | 17(+1) |
17 | C.サインツ | ウィリアムズ | 18(+1) |
18 | F.コラピント | アルピーヌ | 19(+1) |
19 | 角田裕毅 | レッドブル | 20(+1) |
レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。
例年通りのマルチストップ
カタロニア・サーキットは、F1カレンダーの中でも最もタイヤへの負荷が大きいコースのひとつであり、マルチストップレースが定番となっている。ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは、「2ストップ戦略はほぼ必須」と予想する。
ピレリのシミュレーションによれば、最速のタイヤ戦略は「ソフト→ミディアム→ソフト」の2ストップ。新品ソフトタイヤを2セット温存しているのは、エステバン・オコン(ハース)を除くQ1敗退組で、角田もこれに含まれる。
新品ソフト(C3)を持つドライバーの利点は、その高いグリップを活かして序盤から攻めの手を打てる点にある。バルセロナはデグラデーションが大きいため、アンダーカットが強力に機能する傾向にある。したがって、第1スティントにソフトを投入し、早めのピットインでポジションを大きく上げる展開も期待できる。ピットストップウインドウは12周目前後、40周目前後が見込まれている。
ただし、懸念材料もある。ソフトタイヤのデグラデーションと摩耗については、まだ不確定要素が多い。特に左フロントの摩耗は顕著で、クルマのセットアップ、タイヤマネジメント、そして路面の進化に大きく左右される。
その点、ミディアムを2セット使う2ストップ戦略が有効となる可能性もある。ただし、この戦略を採用できるのは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、オリバー・ベアマン(ハース)、そしてエステバン・オコン(ハース)の3名に限られる。
一方、昨年同様にハードタイヤは敬遠される見通しだ。イゾラ曰く「ハードは滑りやすく、オーバーヒートもしやすい。にもかかわらずグリップはミディアム以下」だという。
気になる天候は…?
日曜日の現地バルセロナは終日晴天の予報で、降水確率は0%。レースはドライ・コンディションで行われる見通しだ。
一方で、気温は30℃近くまで上昇し、路面温度も50℃近くに達する可能性がある。タイヤマネジメントがレースを左右する決定的な要素となる可能性もある。