決勝レーススタート前のアルバート・パーク・サーキットのグリッドの様子、2019年F1オーストラリアGP
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F1、オーストラリアGPの中止を正式発表…開幕2時間前 新型コロナウイルスの影響で断念

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F1と国際自動車連盟(FIA)、そしてオーストラリアGPコーポレーション(AGPC)は13日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大を受け、オーストラリアGPの開催中止を決定した。フリー走行1開始2時間前の土壇場での発表だった。FIA-F1世界選手権の2020年シーズンは伝統の開幕戦開催を断念する。

初日イベントを翌日に控えた3月12日(木)夜に、チームスタッフの一人が新型コロナウイルス感染症の検査で陽性反応となった事を受け、マクラーレン・レーシングが参戦取り止めを決定。開催向けた一連の流れが大きく揺らいだ。他の8名のF1関係者は陰性だった。

F1及びFIA、現地プロモーターのAGPC、そしてマクラーレンを除くF1チームの代表者9名は、12日深夜から13日朝にかけて協議を行い、初日イベントを2時間後に控えてようやくグランプリの延期を発表した。レース週末には35万人の人手が予想されていた。

F1は声明の中で「チーム側の大多数は中止すべきとの見解であった。この意向を受けてF1とFIAは、AGPCの全面的な支持を得て、オーストラリアでの全てのイベントをキャンセルする決断を下した」と説明した。チケットの所有者は全額払い戻しとなる。

開催か、それとも中止か。情報が錯綜した。遅々として正式アナウンスがない中、マクラーレンの参戦取り止め発表から3時間半が経過したところで、F1公式テレビ局とも言うべきポジションのSky Sportsが強行開催の見通しを伝えた。だがその33分後に、今度はBBCが中止の見通しを伝えた。英国を代表する2つの大手メディアの中でも混乱が生じた。

いずれも確定情報以外は報じないと広く期待されるメディアであるだけに、主催者側内部で情報が錯綜、あるいは利害関係者の意見のすり合わせが上手く行かず、結論が二転三転するなどしていた可能性もある。Sky Sportsも後に放送の中で中止の見通しを伝えた。BBCの報道では、中止の決定が下されたのは12日(木)現地24時だったとしており、正式発表までには8時間もの開きがあった。

出鼻を挫かれた事で、オーストラリアGPだけでなくシーズン全体も危ぶまれる。現時点ではオーストラリア以外に中止が決定しているのは上海での中国GPだけだが、「チーム関係者1名が発症すれば中止」という前例が今後の意思決定に大きな影響を与えるのは避けられない見通しだ。

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