F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリ、2021年5月22日F1モナコGP
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F1予算上限、3チームに違反疑惑か…厳罰化に向けルール改正を主張するドメニカリCEO

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3チームに違反の疑惑があるとされる状況の中、F1のステファノ・ドメニカリCEOは予算上限違反の制裁ルールを変更し、今後はチャンピオンシップ争いに直接的に影響を与え得る競技ペナルティに一本化すべきとの考えを示した。

予算上限ルール導入2シーズン目となる昨年の年間報告書類の提出を受け国際自動車連盟(FIA)のコストキャップ委員会は現在、各チームの状況精査に取り組んでいる。レギュレーション遵守が確認されるとその旨の記した証明書が発行される。

伊「Motorsport.com」が報じたところによると、2022年シーズンのコストキャップ違反に関わる「根拠のある疑い」が生じており、全10チームの内、3チームが遵守証明書を受け取れない可能性があるという。

この憶測の真偽についてはFIAの発表を待つ他にないが、違反した際のペナルティの変更が検討されているのは確かなようだ。

ドメニカリは違反があった場合には今後、戒告処分や罰金ではなく競技的ペナルティを科すべきだと要求している事を明かした。これは事実上の厳罰化といえる。また同時に財務規定だけではなく、技術規定や競技規定に関する「如何なる違反も競技的に罰せられるべきだ」とも主張した。

予算制限ルールに違反した場合に科される競技的ペナルティとして現在規定されているのは、コンストラクター選手権からの排除、ドライバー及びコンストラクター選手権ポイントの減点、1回以上の競技会の出場停止、空力を含む何らかのテスト制限、予算上限額の削減の5種類だ。

コストキャップ規定が史上初めて導入されたは2021年は、ドライバーズ選手権を制覇したマックス・フェルスタッペン擁するレッドブルに違反が認められ、罰金700万ドル(約8億円)と空力開発テスト時間10%減の制裁が科された

だが、制裁内容を巡ってはライバルチームから十分とは言えないとして批判の声が相次いだ。罰金を支払い、マシン開発が制限されてなおレッドブルは、2023年シーズンの開幕10戦で無敗を誇る圧倒的なパフォーマンスを発揮している。

導入初年度の予算上限論争は昨年10月にまでもつれ込んだが、「憶測や誰にとっても好ましくない発言」が飛び交うことを防ぐべくドメニカリはFIAに対して、できるだけ早い時期に遵守証明書を発行するよう働きかけている事を明かした。

噂では7月末にも証明書が発行される可能性があるという。仮にサマーブレイク後になるとすれば、夏休みは違反を巡る憶測と論争が飛び交うことになるかもしれない。