
F1オーストリアGP、2041年まで開催決定―異例の長期契約でレッドブル・リンク安泰
F1は6月29日、オーストリアGPの開催契約を2041年まで延長すると発表した。これにより、美しいシュタイアーマルク州の山々に囲まれたレッドブル・リンクでのグランプリ開催が、少なくとも今後16年間にわたって保証されることになった。
今回の契約延長で特筆すべきは、その期間の長さだ。2040年代まで開催が確約されたサーキットは、現在他にマイアミGP(2041年まで)しか存在しない。これは、F1がレッドブルリンクに対して並々ならぬ信頼を寄せていることの証明といえる。現行契約は2030年まで。11年の契約延長となった。
伝統が息づくレッドブルの本拠
オーストリアGPは1964年、ツェルトベク飛行場で初開催された。1970年に現在の開催地である旧エステルライヒリンクで復帰し、1987年まで連続開催。その後は安全面の問題により中断され、改修を経てA1リンクと名称を変えた1997年に再び復帰した。
だが2003年を最後に、F1とオーストリア政府間のたばこ広告に関する対立により再びカレンダーから姿を消したものの、レッドブルの共同創業者である故ディートリッヒ・マテシッツの投資により、2014年に復活を遂げた。
コロナ禍下の2020年と2021年には、開催できなくなった他のグランプリの代替として「シュタイアーマルクGP」も追加開催され、年間2戦を実施するという特別な扱いを受けたことも記憶に新しい。
現役ドライバーでは、マックス・フェルスタッペンが5勝(2021年のシュタイアーマルクGP含む)を記録しているほか、ルイス・ハミルトン、シャルル・ルクレール、ジョージ・ラッセルもここで勝利を挙げている。
父の遺志を受け継ぐ大株主
F1のステファノ・ドメニカリCEOは今回の契約延長について、「オーストリアは長年にわたり、F1にとって非常に特別なレースであり続けてきた」と語り、故マテシッツのビジョンと情熱がこのレースを「F1カレンダーに華々しいイベントとして復活」させたと振り返った。
「毎年、息を呑むほど美しいシュタイアーマルク州の山々に戻ってくることは、我々にとって大きな喜びだ」
一方、故マテシッツの息子であり、レッドブルの大株主でもあるマーク・マテシッツも、「父の遺志を受け継ぎ、シュタイアーマルク州とレッドブル・リンクにおけるモーターレーシングの豊かな歴史を、この地域の人々と共に、そして何よりもこの地域の人たちのために守っていく」との決意を表明した。