
タイ政府、2028年からのF1開催に向け1,780億円規模の招致計画を承認―バンコク市街地でのグランプリが現実味
2028年に首都バンコクでF1を開催するための、総額約400億バーツ(約1,780億円)規模の招致計画がタイ政府により正式に承認された。F1タイGPの新規開催に向け、大きな一歩を踏み出した形だ。
この計画がF1に正式承認されれば、2028年から2033年までの5年間契約のもと、バンコク・チャトゥチャック公園周辺に建設が計画されている新たな市街地コースでグランプリレースが開催される見通しだ。
ここ数か月にわたり、タイ政府とF1の間では継続的な協議が進められており、ペートンタン・シナワット党首をはじめとする政府高官らは、F1のステファノ・ドメニカリCEOと複数回にわたり会談を行ってきた。ドメニカリは2024年にも前政権下の首相と面会しており、政権を超えた政府レベルで協議が進められてきた形だ。
アレックス・アルボン(ウィリアムズ)もまた、1950年代のプリンス・ビラ以来となるタイ人F1ドライバーとして、今年4月に首相と会談。「彼らは真剣に取り組んでいるし、イベントとしても非常に魅力的なものになりそうだ。計画を見たけど、良い印象を持った」と述べ、母国でのグランプリ開催に強い賛意を示している。
なお、タイ東北部のブリーラム県には、FIA公認サーキットであり、MotoGPの開催でも知られるチャーン・インターナショナル・サーキットが存在するが、今回の計画はあくまでバンコク市街地でのレース開催を前提としている。
creativeCommons David Darricau
タイの首都バンコクにあるチャトゥチャック公園付近、2018年3月17日
タイ国内メディアの報道によれば、政府とF1はすでに基本合意書に署名を交わしており、レース開催に必要な資金の大半は、民間からの出資を想定。ただし、政府による財政的なバックアップも用意されているという。
F1誘致の主な狙いは、国家戦略として推進されている観光産業の強化にある。レース週末(3日間)で約30万人の観客を見込んでおり、年間で140億バーツの経済効果、14億バーツの税収、70億バーツにおよぶ新規投資、そしておよそ8,000人の雇用創出が期待されている。政府は、初年度から公共投資の回収が可能との見通しを示している。