決勝レースに向けてグリッドで準備をすすめるマクラーレンとアルファロメオ、2022年3月27日F1サウジアラビアGP
Courtesy Of Alfa Romeo Racing

2022年のF1予算上限違反は6チーム? 警鐘を鳴らすレッドブル

  • Published:

レッドブル・レーシングの首脳陣は、計6チームが2022年の上限予算を超過し、財務規定違反となる可能性があると考えている。その背景にあるのはインフレとエネルギーコストの上昇だ。

導入初年度を経て、今季の予算上限は1億4,000万ドル(約205億3,990万円)へと引き下げられたが、需給不均衡とコロナ下における各国の財政支援策、そしてロシアによるウクライナ侵攻の影響で輸送費や光熱費が高騰している。

レッドブルやフェラーリを含めた複数のチームが予算引き上げを求めた事を受け、F1コミッションは今年7月、1チームを除く賛成多数で2022年シーズンのF1予算上限を3.1%上乗せする事を決定した。

ただそれでもなお、チームの会計は厳しい状況にあるようだ。

レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはAuto Motor und Sportとのインタビューの中で「現状では6チームが超える状況にあると思う。インフレ、特にエネルギーコストに関しては算出可能な域を超えている」と語った。

チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーも同意見で、その背景に「エネルギー価格の指数関数的な上昇」があると指摘しているが、あくまでも違反の可能性があるのはライバルチームで、レッドブルは規定遵守に自信を持っていると主張する。

ホーナーは「その多くがF1コミッションの会議で発言しているが、幾つかのチームは今年、キャップを破る可能性がある」とする一方で「我々が2022年のキャップを超える事はない。そう考えている」と語った。

レッドブルの2021年度の予算超過は186万4000ポンドと、予算上限額の1.6%であったが、143万1348ポンドの想定税額控除が適切に処理されていれば43万2652ポンド(0.37%)に留まるものだった。

それでもなお科されたペナルティは、700万ドル(約10億3,336万円)の罰金と空力開発テスト時間10%減という決して軽微なものではなかった。

これは今後の”基準”となる。2%、3%といった今回を上回る超過の場合、一体どれほど厳しい罰則が科されるのだろうか?

国際通貨基金の今年10月の発表によれば、世界のインフレ率は2021年の4.7%から2022年には8.8%に上昇する見込みで、昨年のレッドブルを超える額の違反を犯すチームが出ても不思議はない状況だ。

ホーナーは「0.37%の違反で10%が科されるなら、5%の違反はどういった内容になるのだろうか」と述べ、更なる超過があった場合に科されるペナルティの内容について疑問の声を挙げている。