
FIA、レッドブルに罰金10億円と開発テスト10%削減の制裁―2021年F1予算超過問題ついに決着
国際自動車連盟(FIA)は10月28日(金)、F1第20戦メキシコGPの開幕を数時間後に控えたメキシコシティで、レッドブル・レーシングに対し2021年の予算上限違反に関する正式な制裁を発表した。
レッドブルはFIAとの間で「違反是認(ABA)」を締結。700万ドル(約10億3,000万円)の罰金と、空力開発テスト時間10%削減のペナルティを受けることが決定した。これにより、約1年に及んだ「予算超過騒動」はようやく終結した。
1.6%の超過で「軽微違反」認定──FIAが詳細を公表
2021年シーズンから導入された財務規定により、当該年の予算上限は1億4,500万ドル(1億1,803万6,000ポンド)に設定されていた。
レッドブルの申請額は1億1,429万3,000ポンドと上限を下回っていたが、実際には本来計上すべき560万7,000ポンドが「不正確に除外または調整」されていたと判断された。
その結果、実際の支出は上限を186万4,000ポンド(約3億1,900万円)超過。比率にして1.6%の超過となり、FIAはこれを「軽微な予算超過(5%未満)」と認定した。
FIAの報告によれば、計上漏れまたは誤った除外が確認されたのは以下の13項目だった。
- ケータリング費用(第3条1項(a))
- 復職見込みのない従業員への対価(第3条1項(w))
- 人事・財務・法務関連並びに非F1活動に関する費用(第3条1項(h)(i))
- 従業員への賞与(第3条1項(k))
- 固定資産処分益に係る関連費用の過少計上
- 実習賦課金関連費用(第3条1項(q))
- 従業員の社会保障関連費用(第3条1項(h)(ⅰ)(ⅱ))
- 従業員の社会保障関連費用(第3条1項(h)(ⅰ))
- パワーユニット使用料(第4条1項(a)(i))
- 棚卸資産関連(第4条1項(a)(i))
- RBPTからの再請求費用に関する事務的ミス
- 旅費(第3条1項(r))
- メンテナンス費用(第3条1項(i))
またFIAは、143万1,348ポンドの想定税額控除を適切に反映していれば、実際の超過額は43万2,652ポンド(0.37%)に留まっていた可能性があると補足した。
ABA締結により制裁確定─罰金と風洞制限
FIAは財務規定第6条28項に基づき、2022年10月26日付でレッドブルおよびアストンマーチンとABA(違反容認同意書)を締結。これにより、レッドブルは30日以内に700万ドルの罰金を支払う義務を負うことになった。
加えて、競技規則付則7第6条に基づき、制限付き風洞試験(RWTT)および制限付き数値流体力学(RCFD)制限に用いられる係数「C」が10%削減される。この制裁はABA締結日から12か月間にわたり適用される。
レッドブルは2022年のコンストラクターズ選手権を制したため、翌シーズンの空力テスト割り当てはランキング7位チームの70%に制限されていた。今回の制裁により、この数値はさらに10%減の63%(70%×0.9)に引き下げられる。
アストンマーチンには45万ドルの罰金
一方でアストンマーチンは、財務手続き上の誤りにより45万ドル(約6,600万円)の罰金を科された。新本社建設費や契約金、在庫、ケータリング費などの計上ミスが指摘されている。
今回の決定により、F1史上初めて導入された財務規定の下での“予算超過問題”は一応の決着を見たが、その影響は翌シーズン以降のマシン開発に長く尾を引くことになりそうだ。