2020年F1バーレーンGPの表彰台に上がったルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペン、アレックス・アルボンcopyright Red Bull Content Pool

衝撃事故に始まりSCで幕閉じた激動の57周…ホンダ積むレッドブルが3年ぶりW表彰台 / F1バーレーンGP《決勝》結果とダイジェスト

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2020年FIA-F1世界選手権 第15戦バーレーンGP決勝レースが11月29日(日)にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた。壮絶なクラッシュによる長期の赤旗と2度のセーフティーカーを経て、3時間近くに渡った激動の57周を制したのはメルセデスAMGのルイス・ハミルトンだった。

89回目のポールからスタートした7度のF1ワールドチャンピオンは、混乱に巻き込まれる事もなくタイヤを堅実にマネジメントし、見事今季11勝目を挙げたが、チームメイトのバルテリ・ボッタスは序盤にスローパンクチャーに見舞わた事で後方に転落。8位まで巻き返すのが精一杯だった。

レッドブル・ホンダはマックス・フェルスタッペンが2位、アレックス・アルボンが3位でチェッカーフラッグを受け、2台が表彰台に上がった。

ミルトンキーンズのチームがダブル表彰台を獲得したのは、鈴鹿サーキットで開催された2017年のF1日本GP以来、3年ぶりで、今季コンストラクター2位を確定させた。初日にクラッシュを喫したアルボンにとっては、キャリア2度目の嬉しいポディウムとなった。

ホンダエンジン勢としては3台入賞の好結果を手にした。

結果的に完走17台中、唯一の2ストッパーとなったアルファタウリのピエール・ガスリーは終盤に5番手を走行していたものの、13周分フレッシュなタイヤを履く後続のランド・ノリス相手になす術はなく45周目に6番手に。残り6周のところでは、14周分履歴が浅いタイヤのカルロス・サインツにオーバーテイクを許し7番手に後退したが、他車のリタイヤによって最終的6位でフィニッシュした。

一方のダニール・クビアトは、レーシングポイントのランス・ストロールとの接触の責任を問われて10秒ペナルティと2点のペナルティポイントを受け、11位とポイントには一歩及ばなかった。クビアトとチーム代表のフランツ・トストはレース後、スチュワードの裁定に不満を訴えた

決勝は、日本時間29日(日)23時10分にブラックアウトを迎え、1周5412mのコースを57周する事で争われた。現地サクヒールは晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温25.4℃、路面29℃、湿度64.6%のドライコンディションで開始された。

バーレーンでのレースらしく、DRSの使用が許可されるとコース上では至るところでオーバーテイクバトルが繰り広げられた。

恐怖の大クラッシュ、グロージャンは病院に緊急搬送

オープニングラップでは、近代F1では目にする事のない非常におぞましい危険なクラッシュが発生した。グリーンフラッグから十数秒後、ハースF1チームのロマン・グロージャンがターン3のイン側バリアに時速221kmという高速で激突した。

53Gと推定される衝撃によって車体とバリアは真っ二つに裂け、グロージャンが座っていたモノコック側は裂けたガードレールの間に埋まり、エンジンやギアボックスを含むリアエンド側が切り落とされた格好となった。インパクトの直後、恐怖を感じるほどの巨大な火柱が上がり一帯は炎に包まれ赤旗が振られた。燃料に引火したものと見られる。

F1の競技部門を率いるロス・ブラウンは、ヘイローがグロージャンの命を守ったとの認識を示した。詳細に関しては国際自動車連盟(FIA)によって今後詳細な調査が行われる。

数分間に渡って事故の詳細が伝えられなかった事で最悪の事態も脳裏によぎったが、幸いにもグロージャンは燃え盛る炎から命からがら何とか逃れ、メディカルカーに乗せられた後、ヘリコプターで地元のバーレーン・ロイヤル・メディカル・サービス(バーレーン防衛病院)へと搬送された。

レントゲン写真による診断の結果、両手の甲に火傷を負ったものの骨折はなく、奇跡的に軽傷で事なきを得た。

ハースF1チームのギュンター・シュタイナー代表は「レスキュー隊の迅速な対応に感謝したい。恐怖を感じる事故だったが、マーシャルとFIAの人々は素晴らしい仕事をしてくれた」と述べ、果敢に救助活動に向かった関係者達への感謝を口にした。

ハミルトンは赤旗中に「ロマンが無事で本当に良かった。僕らが負っているリスクは冗談じゃないし、この大好きなスポーツのために命懸けでレースをしている事を忘れている人もいるだろう。安全対策に力を入れ続けているFIAに感謝する。そのおかげでロマンは無事だった」と語った。

世界のモータースポーツファンは、この日のドライバー・オブ・ザ・デイにグロージャンを選出した。

仰向けにひっくり返ったストロール

赤旗中断の際はタイヤ交換などの一部作業が許可されており、9番手ガスリーと10番手セバスチャン・ベッテル、17番手ケビン・マグヌッセンがミディアムからハードに、12番手シャルル・ルクレールと19番手ニコラス・ラティフィはハードからミディアム、クビアトはミディアムからソフトへと履き替えグリッドに着いた。

レースは再度のフォーメーションラップを経て3ラップ目にスタンディング・リスタートを迎えたが、今度はストロールがターン8でイン側のクビアトと接触し、車体が仰向けに横転するクラッシュが発生した事で黄旗が振られ、その後セーフティカーが導入された。

一件は審議の対象となり、スチュワードはクビアトに非があるとして後に10秒ペナルティを科す裁定を下した。ストロールはリタイヤを喫した。

タイヤが接触したクビアトはピットに戻ってソフトにチェンジ。4番手を走行していたボッタスはスローパンクチャーを抱えた事でハードタイヤに履き替え、隊列後方の16番手に沈んだ。

ウィートリー不在の中でピットロス

車両の撤去が終わり、レースは9周目に再び再開された。ラップリーダーのハミルトンは、2番手フェルスタッペンを1周あたりコンマ2秒ずつ引き離していったがバイブレーションを訴え、上位勢としてはいち早く20周目にピットイン。ミディアムタイヤに履き替えた。同じ周、アルボンもこれに続きミディアムに履き替え7番手でコースに戻った。

古いタイヤでコース上に留まる事は得策とは言えず、フェルスタッペンは翌周にハードタイヤに履き替え2番手に。表彰台圏内を走るセルジオ・ペレス(レーシングポイント)も同じ周にハードに履き替えた。これを見たラップリーダーのハミルトンは翌周、悠々自適にハードタイヤに履き替え、首位のままコースに復帰した。

フェルスタッペンは35周目に2回目のピットストップを行いハードタイヤに履き替えたが、作業が遅れたことで3秒近くのタイムを失った。奇しくもレッドブル・ホンダは今回、スポーティング・ディレクターのジョナサン・ウィートリーが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査で陽性となったため、最速ピットストップの立役者不在の中でレースを戦っていた。

懸命にプッシュし続けるもハミルトンとの3秒の壁は厚く対抗策を失ったフェルスタッペンは、残り10周というタイミングでフリーストップを使って3度目のピットストップを行い、ミディアムタイヤに履き替えた。直後には1分32秒014のファステストラップを叩き出し、エキストラの1ポイントを加算したが優勝には届かなかった。

レース最終盤に再びドラマ

衝撃的なクラッシュから始まった57周のレースは、最終版にもドラマを用意していた。残り4周、3番手を走行していたペレスのエンジンが白煙を吐き、その後火を吹いてコース上に止まったことで2度目のセーフティーカーが導入された。MGU-Kの故障だった。

ペレスにとっては2戦連続の表彰台をあと一歩のところで失う事となり、マクラーレン勢としてはノリスが4番手、サインツが5番手とダブル入賞で大量ポイントを稼ぎ出し、レーシングポイントを蹴落としてコンストラクター3位に浮上した。

結局黄旗が解除される事はなく、レースはセーフティーカー先導でチェッカーフラッグを迎えた。

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