アルピーヌのフェルナンド・アロンソ、2022年6月12日F1アゼルバイジャンGP決勝レースにて
Courtesy Of Alpine Racing

アロンソ、ハミルトン”馬鹿”発言を謝罪も「相手が英国人だと過剰」とメディアを牽制

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フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)はF1第14戦ベルギーGPでのルイス・ハミルトン(メルセデス)に対する「奴は知らねえ」発言について謝罪する一方、一件はメディアによって不必要に煽られたと苦言を呈した。

スパでのレース1周目、2番手争いの最中にハミルトンがレ・コーム(ターン5)でイン側のアロンソに衝突。幸いにもアロンソはレースを続行したが、宙に浮いたメルセデスW13は45Gの衝撃で地面に落ち、ハミルトンはクルマを降りた。

アロンソは無線を通して37歳のイギリス人ドライバーを「馬鹿なヤツ」と呼び、「こいつはトップからスタートする走り方しか知らねえのかよ!」と怒りを爆発させた。

これについてSky SportsのF1コメンテーターを務める英国出身のマーティン・ブランドルはコラムに「全く不正確で不公平」だと書き記した。

ポールポジションと優勝を量産し、V6ハイブリッド時代を席巻し続けてきたメルセデスとハミルトンは今年、新たな技術レギュレーションの導入と共に優勝争いの蚊帳の外に置かれている。

ザントフォールト・サーキットでのF1オランダGPの開幕を前にスペイン出身のダブルチャンピオンは、ドライバーの出身国によって扱いが違うなどとして、メディアの報道は偏っていると主張した。

F1公式サイトによるとアロンソは「繰り返しになって申し訳ないが、イギリス人ドライバーに対して何か言うとメディアは酷く大きく取り上げる」と指摘し、特にそれが「この時代のレジェンドでありチャンピオン」であるハミルトンに対するものであったため、今回の件が事更、不必要に煽られたとの考えを示した。

更に「メディアはチェコ(セルジオ・ペレス)に、カルロス(サインツ)に、そして僕について色んな事を言ってきた。ラテン系ドライバーに関する報道はどれもが少しからかうような内容だ。その他のドライバーに関するものはもうちょっと真面目なのに」とも指摘した。

アロンソはかねてより、F1に関する報道がイギリスに偏ったものになりがちだと指摘してきた。7つのチームはイギリスを拠点としており、ジャーナリストやテレビクルーの大部分も英国出身者が占める。

とは言えアロンソはスパでの一件を映像で見直した結果、レーシングアクシデントだったと結論付け、自身の発言についてハミルトンに対する謝罪を口にした。

「でもとにかく謝るよ。リプレイを見てみたら、さほど責められるような状況じゃなかった。あれは1周目のインシデントで、互いに接近していたしね」

「あの瞬間はトップ2を争っていて、アドレナリンも出ていたからカッとなってしまい、口にすべきではない事を言ってしまった」

「レース後にも言ったけど、僕としてはレーシングアクシデントだったと思ってる。無線で何かを言う時は、エンジニアと話しているつもりで喋るものなんだ」

「トップ3からスタートして最初のコーナーでチェコを交わして2番手に上がった後にあんな事が起きてしまったわけで、あの発言は仲間や同僚、エンジニアに対してのものだったんだ」

第2期マクラーレン時代にホンダの母国、鈴鹿サーキットで行われた日本GPの際に「GP2エンジン」と叫び物議を醸した事もあるアロンソは、今回の一件を経て今後、チーム無線での発言を控えるという。

「もちろん、放送される事を意識しなきゃならないわけだけど、例えばサッカーで激しいタックルをした時に、その瞬間に何かを言ったとしても(F1とは異なり)それが放送される事はないよね」

「僕はレース前やレース後に自分が思っている事を口にしたけど、無線では思ってもいない事を言ってしまったんだ。そんな風に思っていたわけじゃないのに」

「今後は静かにしているようにするつもりだ。自分が賛同できない番組にも参加しない」

その後アロンソはインタビュー中のハミルトンの元に駆け寄り話を交わした後、スパでのレース後にハミルトンがInstagramに投稿したサイン入りキャップを受け取り、肩を組んで笑顔で撮影に応じた。

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