
元ハースF1代表シュタイナー「光栄だ!」MotoGPテック3チームを買収しCEOに就任
元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーがIKON Capital主導の投資家グループと組み、ロードレース世界選手権(MotoGP)に参戦するテック3チームの全株式を買収した。カタルーニャGP初日の9月5日(金)に正式発表された。新体制は2026年より本格始動する。
シュタイナーは2年以上にわたりMotoGP参入の可能性を模索してきた。この交渉は数ヶ月前から進められており、サマーブレイク中には「契約成立」との噂も浮上したが、チームオーナーのエルヴェ・ポンシャラルはこれを否定。一方で、交渉を続けていることは認めていた。
新オーナー体制のもと、シュタイナーはCEOに就任し、リチャード・コールマンがチーム代表を務める。創設者であり現チーム代表のポンシャラルは、今シーズン終了までチームを率いた後、コンサルタントに転身し、若手育成に尽力しつつMotoGPで培った豊富な経験を伝えていく。
チームは引き続きテック3の名で参戦し、現行契約通りKTMマシンを走らせ、長年の拠点であるフランス・ボルム=レ=ミモザを維持する。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
マーベリック・ビニャーレス(KTMテック3チーム)、2025年3月15日(土) MotoGPアルゼンチンGP
シュタイナーは、ハースF1チーム創設時のチーム代表として、そして「毒舌キャラクター」で広く知られる人物だ。ラリーのエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後約40年にわたり、ジャガー・レーシングやレッドブル・レーシングの要職を歴任してきた。ポンシャラルはシュタイナーについて「とても率直な人物で、一緒に仕事をするには素晴らしい人物だと思う」と語り、前向きな評価を示していた。
「これは素晴らしい機会だ。テック3は大きな可能性と輝かしい歴史を持つチームだ。エルヴェがチームやMotoGPに与えた影響は計り知れない。その土台を引き継ぎ、さらに成長させていけることを光栄に思う」とシュタイナーは述べた。
コールマンもツーリングカーでの豊富な経験を持ち、自身のスポーツマネジメント会社を設立するなど、10年以上にわたり世界選手権レベルで活動している。
「このプロジェクトには謙虚な姿勢で臨みたい。すでにMotoGPパドックには素晴らしい才能と専門知識が存在している。だが同時に、野心を持って取り組んでいく。ただ参戦するだけではなく、あらゆるレベルで競い合い、情熱をもってMotoGPを世界に示したい」とコールマンは述べた。
テック3は1990年に創設された。2000年に250ccクラスでタイトルを獲得した後、2001年にMotoGPクラスへ昇格。これまでに38回のMotoGP表彰台、2勝を挙げてきた長寿チームだ。
ポンシャラルは「一つの時代の終わりであり、同時に新しい時代の始まりだ。テック3を創設して以来、MotoGPでの勝利や数々の表彰台、そして数十年にわたり共に歩んだ人々と築いたものを誇りに思う」と述べた。
「ギュンターがチームに関心を示したとき、これは変革に最適な瞬間だと感じた。ギュンターなら方向性、野心、誠実さをもってチームを導いてくれると確信している。そしてテック3が持つロックンロール精神も忘れずに。新時代のMotoGPでさらに成長するため、チームは良い手に委ねられたと思う」
MotoGPチーフスポーティングオフィサーのカルロス・エスペレータもシュタイナーの参入を歓迎する声明を発表した。