2位表彰台に立つマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

フェルスタッペン、頑なに”返答拒否”―F1サウジで逸した勝利と懲罰、FIA監視の目

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マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、2025年F1第5戦サウジアラビアGPのレース後、苛立ちを隠せない様子を見せ、1周目のインシデントによるペナルティおよびスチュワードの裁定に対するコメントを頑なに拒否し続けた。

一件はスタート直後のターン1で発生した。2番グリッドのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が好スタートを切ってフェルスタッペンのイン側を確保。フェルスタッペンはアウト側のエスケープに飛び出し、そのままリードを維持した。ピアストリは無線で「今のは僕が前だった。ポジションを返すべきだ」と抗議した。

一方のフェルスタッペンは「押し出された。彼はそもそもコース内に留まってコーナーを曲がる気がなかった」と主張したが、ピアストリもまた、「僕がいようがいなかろうが、彼はコーナーを通過する気は一切なかった」と反論した。

スタート直後のターン1で激しいポジション争いを繰り広げるオスカー・ピアストリ(マクラーレン)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

スタート直後のターン1で激しいポジション争いを繰り広げるオスカー・ピアストリ(マクラーレン)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)

スチュワードはピアストリ寄りの判断

一件を受けスチュワードは、映像やテレメトリー、GPSデータなどを調査し、ピアストリはコーナー進入時にフェルスタッペン車のミラー並びにフロントアクスルに並んでいたと指摘。公にされていない”ドライビング標準ガイドライン”を根拠として「ターン1はピアストリに優先権があり、フェルスタッペンにはスペースを譲る義務があった」と結論づけた。

さらに、フェルスタッペンがコース外に出て「持続的なアドバンテージ」を得たことに触れ、それを自主的に返さなかったとして、5秒ペナルティを科す決定を下した。

本来であればこの手のケースにおいては10秒ペナルティが標準とされているが、スチュワードは「レースのスタート直後、ターン1でのインシデントであったことを考慮して減免した」と説明した。

ペナルティ決定後、フェルスタッペンはチーム無線を通して「まったくもって最高だね」と皮肉り、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼから「コメントするな」と諭された。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)との首位対決を経てエスケープゾーンに飛び出すマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)との首位対決を経てエスケープゾーンに飛び出すマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)

頑なに口を閉ざすフェルスタッペン

レース後のグリッドインタビューでフェルスタッペンは、スチュワードの裁定について問われると、「手短に済ませるよ。ファンに感謝したい。素晴らしい週末だった。あとは…まぁ、そういうことさ。マイアミで会おう」とだけ返し、裁定に一切触れなかった。

その後の会見でも2度にわたってインシデント関連の質問を受けたが、いずれに対してもコメントを拒否。沈黙の理由の一端を次のように説明した。

「ソーシャルメディア全般や、今の世の中のあり方の問題だ。何を言っても言葉をねじ曲げられたり、違う意味に取られたりするから、あまり話さない方がいい。本当に。だから僕はなるべく黙るようにしてる」

さらに「意見を言っても、歓迎されないか、あるいは、みんなが真実を受け入れないから、話さない方がマシなんだ。正直、その方が時間の節約にもなるし。僕らはすでにやることが多すぎる。今の世の中は何もかもに過敏になりすぎてるし、批判的なことが言えない空気がある。だから、喋らない方が僕にとっても楽なんだ」とも語った。

決勝後の記者会見に臨む2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

決勝後の記者会見に臨む2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)

頑なに口を閉ざしているのは、FIAやスチュワードによる裁定に対して否定的な発言をすれば、それだけで処分を受けかねないという懸念もあるようだ。

「自分の意見を言うと、それだけでペナルティを受けかねない」とフェルスタッペンは語る。

「この場で汚い言葉を言っちゃいけないってのは分かってるけど、それだけじゃない。どんな形であっても、“批判”とか“危険”とかに繋がることを言えば問題になる。そういうルールが幾つもあるんだ。リストを出したいくらいだね。だからこそ、喋らないのが一番安全ってこと。誰だって問題には巻き込まれたくないからね」と語り、自らの意見を公にするのはほぼ不可能だと示唆した。

なお、レッドブルは今回の裁定を不服としているが、意義を申し立てる可能性は低いと見られる。

ピットレーンを歩くマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ピットレーンを歩くマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)


2025年F1第5戦サウジアラビアGPでは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が2番グリッドからの逆転勝利を飾った。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く結果となった。

マイアミ・インターナショナル・オートドロームを舞台とする次戦マイアミGPは、現地時間5月2日のフリー走行1で幕を開ける。

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