
フェルスタッペンに約427億円の移籍提案報道、一方で2026年残留を明言するホーナー
アストンマーチンが総額3億ドル(約427億円)の3年契約を提示したとの報道がなされるなか、レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、マックス・フェルスタッペンが2026年もチームに残留すると明言。また、チーム内に危機的状況は存在しないと強調した。
前戦バーレーンGPを経て、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコが、フェルスタッペンが契約解除条項を行使してチームを離脱する可能性について「懸念している」と発言。これを機に移籍報道が加速し、メルセデスやアストンマーチンが移籍先候補として取り沙汰されている。
「すべては憶測」噂を一蹴するホーナー
サウジアラビアGPのFP1後、ホーナーは英衛星テレビ『Sky Sports』のインタビューに応じ、マルコの発言について「人は常に懸念を抱くものだ」と述べつつ、「すべては憶測に過ぎない」と噂を一蹴。2026年シーズンもフェルスタッペンはチームに残留するのかと問われ、「もちろんだ」と明言した。
「我々はクルマの問題を解決することに専念している。問題が解消されれば、こうした話題も自然と消えていくだろう」とホーナーは付け加えた。
また、バーレーンGP後にレッドブルが「危機会議」を開いたとの一部報道についても、「エンジニア達とレースについて話し合っただけで、私はそれを“危機サミット”とは呼ばない」と否定した。
「確かに我々は望む位置にいないが、問題の所在は明確だ。今後数戦にわたりアップグレードを投入し、改善を図っていく」
さらに、問題の一因として老朽化した風洞設備に言及。「冷戦時代の遺物」とも表現したうえで、「確かにそれは助けにはならないが、我々には優れたエンジニア、アナリスト、デザイナーがいる。解決できると確信している」と自信を示した。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ホスピタリティで会議をするクリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシング代表)とヘルムート・マルコ(レッドブル・レーシング コンサルタント)、2025年4月18日(金) F1サウジアラビアGPフリー走行
アストンからの巨額オファー報道、その背景にPIF
一方で同日、伊スポーツ紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』は、アストンがフェルスタッペンに総額3億ドルの3年契約(2026~28年)を提示したと報じた。背景にはサウジアラビアの政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」の存在があるという。
サウジアラビアGPの開幕を前に、サウジアラビア自動車・オートバイ連盟(SAMF)会長であるハリド・ビン・スルタン・アル=アブドゥラ・アル=ファイサル王子は、F1チーム買収の可能性について前向きな姿勢を示した。
サウジアラビアはF1に多大な投資を行っており、国営石油企業アラムコはF1のグローバルパートナーであると同時に、アストンマーチンF1チームのタイトルスポンサーも務める。また、PIFは2021年にマクラーレンに出資し、アストンマーチンの自動車部門株式20.5%も保有している。
報道が事実であれば、フェルスタッペンの年俸は現在の約1.76倍となる1億ドル(約142億円)に達することになるが、情報の出所は明らかにされておらず、信憑性については不透明だ。
ただし、アストンのチーム代表アンディ・カウエルは、2026年に向けてフェルスタッペンが移籍する可能性について問われた際、これを否定しなかった。
カウエルは先の質問に対し、「私は今、会社をどうやって改善していくか、そのことで頭がいっぱいなんだ。ランス(ストロール)とフェルナンド(アロンソ)のために速いクルマを作ることに専念している」とだけ答えた。
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
英国シルバーストンのファクトリー内で本格稼働を開始したアストンマーチンF1チームの最新鋭の風洞
メルセデス移籍説も根強く
エンジン・車体双方のレギュレーションが刷新される2026年シーズンに向けて、その競争力が有望視されているメルセデスも移籍先として噂されている。ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリの現契約がともに2025年末で満了することが、憶測に拍車をかけている。
マクラーレンのザク・ブラウンCEOは今年3月、フェルスタッペンはメルセデスに加わるとの予想を口にしたが、元メルセデスの戦略責任者で現ウィリアムズ代表のジェームズ・ヴァウルズは、これに異論を唱えている。
英専門誌『Autosport』によるとヴァウルズは、フェルスタッペンが「並外れた才能」を持ち合わせていることを認めつつも、「負の側面も大きい」と指摘。メルセデスの現行ラインナップの安定性を評価し、チーム文化との適合性に疑問を呈した。