フェルスタッペン「君は実況に集中して」レッドブル離脱説に反応―マルコの懸念と”マネージャー詰問”で報道過熱

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「僕の将来について、いろんな人が話してるみたいだ──僕以外がね」

レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコの発言を背景に、レッドブル離脱の噂が再燃する中、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は2025年F1第5戦サウジアラビアGPを前に、軽妙なコメントで憶測を一蹴した。

不振のバーレーンとマネージャーの詰問

前戦バーレーンGPでの6位という不本意な結果、マルコによる「フェルスタッペンのチーム離脱を大いに懸念している」との発言、さらにフェルスタッペンのマネージャーであるレイモンド・ファルムーレンがマルコに詰め寄り激しく意見をぶつけたとされる件を受け、フェルスタッペンの将来を巡る報道が過熱している。

今年初め、マルコはフェルスタッペンとの契約に「パフォーマンス条項」が含まれていることを認めており、現行契約が満了する2028年末を待たずして、フェルスタッペンがレッドブルを離脱する可能性があることが明らかになっている。

パドックでマネージャーのレイモンド・ファルムーレンと会話するマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年3月13日(木) F1オーストラリアGPプレビュー(アルバート・パーク・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

パドックでマネージャーのレイモンド・ファルムーレンと会話するマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年3月13日(木) F1オーストラリアGPプレビュー(アルバート・パーク・サーキット)

「君は実況に集中して」報道を笑顔で一蹴

しかしながら、ジェッダでの木曜記者会見でフェルスタッペンは、マルコの「懸念」発言について英衛星テレビ局「Sky Sports F1」の実況デイビッド・クロフトから尋ねられると、「君は実況に集中してくれればいい。僕はドライビングに集中する。それでお互い、他のシナリオなんて気にしなくて済むだろ」と笑いながら返し、話題作りには加担しないという従来の姿勢を貫いた。

「正直、僕には(マルコが懸念している理由は)分からない。僕はただ、仕事を続けて、クルマの改善に取り組んでるだけだ。確かにバーレーンは僕らにとって良い週末じゃなかった。みんなかなりガッカリしてた。でも、クルマを良くするために努力し続けてる。新しいアイデアを試したりしながらね。何しろ競争は厳しいから」

英衛星テレビ局「Sky Sports F1」の実況デイビッド・クロフトに笑顔を見せるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月17日(木) F1サウジアラビアGP公式記者会見(ジェッダ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

英衛星テレビ局「Sky Sports F1」の実況デイビッド・クロフトに笑顔を見せるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月17日(木) F1サウジアラビアGP公式記者会見(ジェッダ市街地コース)

「普通のこと」マルコ&マネージャー騒動

また、マルコとファルムーレンのやり取りについては、「僕の知る限り、彼らはただ全体的な話をしてただけだよ。別にそれって普通のことだと思うけどね」と軽く受け流した。

「誰かがその様子を見て、どう受け取るかはその人次第。人それぞれ、自分の見方で解釈してしまうからね。でも、みんなレース結果やそこで起きた問題にフラストレーションを感じてたんだと思う。レイモンドとヘルムートもそうだし、クリスチャン(ホーナー)も加わって会話してた。それって、普通のことでしょ?」

「僕らはみんな、チームのことを大事に思ってる。人も、結果も含めてね。それってごく自然なことだと思うけど」

Sky Sportsのピットレポーター、テッド・クラヴィッツはバーレーンでのレース後、レッドブルのガレージ内でファルムーレンがマルコに激昂する姿があったと現場の様子を伝えており、マルコはこれに反論することなく、黙ってその主張に耳を傾けていたとされる。

ピットレーンでヘルムート・マルコ(レッドブル・レーシング コンサルタント)と言葉を交わす角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月11日(金) F1バーレーンGPフリー走行(バーレーン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ピットレーンでヘルムート・マルコ(レッドブル・レーシング コンサルタント)と言葉を交わす角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月11日(金) F1バーレーンGPフリー走行(バーレーン・インターナショナル・サーキット)

ランキング3位に後退も─焦らず「今」に集中

フェルスタッペンは前戦バーレーンGPを終えて、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)にランキング2位の座を奪われ、首位のランド・ノリスから8ポイント差の3位に後退した。

ミハエル・シューマッハに並ぶ歴代最多タイとなる5年連続タイトルの期待がかかるフェルスタッペンだが、本人は現時点では「そんなことは考えてない」と語り、長期的な展望よりも目の前のレースに集中する姿勢を強調した。

「兎に角、1レースごとに挑戦していくだけだよ。今週はバーレーンより良くなってくれれば嬉しい。日本とバーレーンの中間くらいのパフォーマンスが出せれば、それで満足だよ」

「それから先は、僕の手の届かない領域だ。今の僕らは最速じゃないし、チャンピオン争いはかなり厳しい。でもシーズンはまだ長い」

「去年のこの時期、つまり第5戦の時点で僕らはすごく順調に見えてたよね?でも最終的にどうなったかは、みんな知ってる。だから、まだ改善できると信じてるし、どうなるか見てみよう」

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