6位フィニッシュした決勝レースを経てインタビューに応じるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年4月13日(日) F1バーレーンGP(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
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フェルスタッペン「このままだと、どこに行ってもダメ」レッドブルに忍び寄る“離脱条項”の影

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昨年大会では1-2フィニッシュを飾ったにも拘らず、2025年F1第4戦バーレーンGPでレッドブル・レーシングは、悪夢のような日曜日を過ごした。マックス・フェルスタッペンは最終的に6位でフィニッシュしたものの、数々の課題に苦しめられ、一時は最下位を走行する場面もあった。

フェルスタッペン:全てが”機能不全”

レース後、フェルスタッペンは「全部だ。タイヤはすぐにオーバーヒートするし、バランスも悪いし、レースのスタートも悪いし、ピットストップも酷かった。つまり、全て上手くいかなかったってわけだ」と苦笑いを浮かべた。

最初のピットストップではソフトタイヤからハードタイヤへの交換を行ったが、作業後に発進を促すライトが作動せず、数秒間の足止めを強いられた。

「ライトが点いたままで、そのまま出ていくこともできたけど、チームのプロトコルではそれはNGだからね。問題が発生しているなってすぐに気づいたけど、待つしかなかった」とフェルスタッペンは振り返る。

「で、その後はトラフィックに引っかかって…ハードタイヤは機能しないし、グリップは低いし、デグラデーションもさらにひどかった」

さらに、「もう一度ピットに入った時には、もっと酷いストップになって、最後尾にまで落ちてしまった。でも、そういうのを全部考えれば、最終的に6位で終われたのは、まだマシな結果だったと思う」と語った。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月13日(日) F1バーレーンGP決勝レース(バーレーン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年4月13日(日) F1バーレーンGP決勝レース(バーレーン・インターナショナル・サーキット)

「どこに行ってもダメ」露呈したRB21の脆さ

今回の苦戦はある程度予見されていたのかという問いには、「ピットストップは普段得意なはずだけど、今日は何もかもダメだったね」と答えた。

「そもそもバランスが良くなかったし、タイヤマネジメントもかなり悪かった。このサーキットみたいにデグラデーションが激しい場所だと、その問題がより顕著に出るんだ」

「だから正直、ここは今の僕らにとって最悪のサーキットのひとつだと思う」

「今の僕らはタイヤマネジメントが本当に良くないし、バランスも思うように仕上がってない。そういう場合、この手のサーキットでは、それが全部露呈するんだ」

1週間後に控えるジェッダ市街地コースは、気候条件こそバーレーンに似ているが、路面はスムーズでレイアウトも異なる。

サウジアラビアGPに向けた展望については「一般的に言えば、次はデグラデーションは多少マシになるとは思うけど、タイヤに厳しいチームは、どこに行ってもやっぱり厳しい。マネジメント次第だけど、次もライバルよりは劣ってるはず」と慎重な姿勢を示した。

「少なくとも、レイアウト的には少し助けになるかもしれないけど、タイヤマネジメントがダメだと、どこに行ってもダメなんだよ」

高まるレッドブル内部の緊張―離脱条項の陰

レース後、あまりにも深刻なパフォーマンスの低下を受けて、レッドブルの首脳陣は緊急会議を開催。事態の深刻さが議論された。

会議には、モータースポーツ・アドバイザーのヘルムート・マルコ、チーム代表のクリスチャン・ホーナー、テクニカルディレクターのピエール・ワシェ、チーフエンジニアのポール・モナハンが出席したとされる。

英誌「Autosport」によれば、マルコは会議を経て、「今のクルマは最速ではない上に、ピットストップまでうまくいかない。それは受け入れられないことだ」と語り、現在レッドブルが置かれている状況について「非常に憂慮すべき状況だ」と認めた。

さらに、「問題は山ほどあるが、一番の問題はバランスとグリップだ。そこから派生して、ブレーキのトラブルが出てきたのだと思う。そして今度は、ピットストップのような通常の作業までうまくいかなくなる。つまり、一つの問題が次の問題を引き起こしている状態だ」と危機感をあらわにした。

レッドブルは、今後投入予定のアップグレードによって問題の改善を図る計画だが、フェルスタッペンの契約条項も相まって、チームの緊張感は一層高まっているようだ。

フェルスタッペンとレッドブルとの2028年までの現行契約には、ランキング4位以下に落ちた場合に契約を解除できる条項が存在しており、早ければ今夏にも有効になる可能性があると噂されている。

蘭メディア「RacingNews365」によるとマルコは、フェルスタッペンがチームを離れる可能性についてどれほど懸念しているのかとの問いに対し、「大いにだ」と答えた。

「近いうちに改善を果たして、彼が勝てるクルマを用意しなければならない。それは、雨のブラジルや日本の時のように、たまたま勝てるというようなものではならない。必要なのは、安定して勝てる土台を持ったクルマだ」

フェルスタッペン代理人、マルコに激昂か


2025年F1第4戦バーレーンGPでは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が今季2勝目を上げ、2位にジョージ・ラッセル(メルセデス)、3位にランド・ノリス(マクラーレン)が続く結果となった。

ジェッダ市街地コースを舞台とする次戦サウジアラビアGPは、4月月18日のフリー走行1で幕を開ける。

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