ピアストリが今季2勝目で王座争いに名乗り、角田裕毅は粘りの9位入賞 / F1バーレーンGP 2025《決勝》結果と詳報

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2025年FIA-F1世界選手権第4戦バーレーンGPの決勝レースが現地4月13日に行われ、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がキャリア50戦目の節目をポール・トゥ・ウインで締めくくった。角田裕毅は9位入賞を果たし、移籍2戦目にしてレッドブルに初ポイントを持ち帰った。

ピアストリはレース全体を通して冷静かつ力強い走りを見せて今季2勝目を飾り、ドライバーズ・ランキング2位に浮上。首位でチームメイトのランド・ノリスとの差を3ポイントに縮めた。

ポール・トゥ・ウインを経てパルクフェルメでガッツポーズを取るオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2025年4月13日F1バーレーンGP決勝レース(バーレーン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of McLaren

ポール・トゥ・ウインを経てパルクフェルメでガッツポーズを取るオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2025年4月13日F1バーレーンGP決勝レース(バーレーン・インターナショナル・サーキット)

ジョージ・ラッセル(メルセデス)は2位でフィニッシュしたが、終盤に無線を通して「間違ってDRSを使ってしまった」と報告。権利がない状態でDRSを稼働させた疑いがあり、レース後に審議が行われる。

ノリスは指定のスタート停止位置を外れてグリッドに着いたことで5秒ペナルティを受け、後手に回る形でレースをスタートしたが、終盤に向けてシャルル・ルクレール(フェラーリ)と激しい3位争いを展開。残り6周のターン4でアウト側から攻略し、6番手から巻き返して3位表彰台に上がった。ラッセルには0.774秒差届かなかった。

57周で行われたバーレーン・インターナショナル・サーキットでの決勝は、3種類のコンパウンド全てが使われるなど、前戦日本GPとは対照的に様々な戦略が見られ、見所の多いレースとなった。

32周目には角田とカルロス・サインツ(ウィリアムズ)の接触によって発生したコース上のデブリを回収するため、セーフティーカー(SC)が導入された。クルマにダメージを負ったサインツは45周目にリタイアした。

フェラーリ勢はレース中盤のミディアムスティントで目を見張る速さを見せたが、ハードタイヤ装着後はペースが伸びず、ルクレールが4位、ルイス・ハミルトンが5位で終えた。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はブレーキとタイヤに苦戦。序盤には一時、最後尾まで順位を落としたが、最終ラップでピエール・ガスリー(アルピーヌ)を交わして6位フィニッシュ。ダメージを最小限にとどめた。ピットストップではシステムのトラブルやホイールの固着により2度にわたってタイムをロスする不運もあった。

アルピーヌはガスリーが7位に入り、嬉しい今季初ポイントを獲得した。ハースはエステバン・オコンが8位、オリバー・ベアマンは最下位から見事、10位フィニッシュを果たし、ダブルポイントを獲得した。

角田はフェルスタッペン同様、ピットストップでタイムを失う不運に見舞われ、さらにはサインツとの接触もあったが、粘り強い走りを続けて9位でフィニッシュし、レッドブルの2台目として今年初のポイントを持ち帰った。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)はセーフティカーのタイミングが災いし、3ストップ戦略が崩れて11位でフィニッシュ。惜しくもポイントを獲得することができなかった。アレックス・アルボン(ウィリアムズ)が12位、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)が13位、アイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)が14位で続いた。

ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)は終盤に向けてトップ10圏内を走行していたが、終盤に向けて順位を落とし、トラックリミットによる5秒ペナルティを受け15位でフィニッシュ。今季初ポイントは叶わなかった。フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は不本意な16位に沈んだ。

ターン4でランス・ストロール(アストンマーチン)に接触したとしてリアム・ローソンは5秒ペナルティを受けた。

リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)は、ヒュルケンベルグとの接触により10秒ペナルティを、ランス・ストロール(アストンマーチン)との接触により5秒ペナルティを科され、17位でフィニッシュ。ストロールとガブリエル・ボルトレート(ザウバー)は、それぞれ18位と19位で完走を果たした。

2025年F1バーレーンGP決勝レースのドライバー別タイヤ戦略、2025年4月13日バーレーン・インターナショナル・サーキットCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2025年F1バーレーンGP決勝レースのドライバー別タイヤ戦略、2025年4月13日バーレーン・インターナショナル・サーキット

2025年F1バーレーンGP決勝レースのコンパウンド別最速ラップと最多ラップ、2025年4月13日バーレーン・インターナショナル・サーキットCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2025年F1バーレーンGP決勝レースのコンパウンド別最速ラップと最多ラップ、2025年4月13日バーレーン・インターナショナル・サーキット

レース展開

決勝は日本時間13日(日)24時にブラックアウトを迎え、1周5,412mのコースを57周することで争われた。現地サクヒールは晴天に恵まれ、フォーメーションラップは気温27℃、路面温度33℃のドライコンディションで開始された。

2番手スタートのルクレール、9番手のハミルトン、13番手のアロンソ、17番手のローソン、18番手のボルトレートはミディアムタイヤを選択し、その他のドライバーはソフトタイヤでスタートした。

注目のオープニングラップでは、ミディアムタイヤのルクレールがポジションを2つ落として4番手に後退。一方、ベアマンはポジションを5つ上げて15番手に浮上。ハジャーとヒュルケンベルグはそれぞれ4つポジションを落とした。ノリスは3つポジションを上げて3番手に浮上したが、スタート時に停止位置を外れていたとして5秒ペナルティが科された。

6周目にはハジャーが最初にピットイン。ノリスは10周目にピットインし、ガスリーとフェルスタッペンもこれに続いた。

角田は9周目にサインツを交わして9番手に浮上。11周目にミディアムタイヤへ交換したが、4.2秒のロングストップとなりタイムをロスした。フェルスタッペンも同様にピットで時間を失ったものの、アントネッリをアンダーカットして1ポジションアップ。だが、その後はオコンを追い抜きあぐね、逆に19周目にアントネッリに抜かれてポジションを落とした。今大会におけるレッドブルの苦戦を象徴する場面だった。

直後の無線では、「ブレーキが全然効かない。馬鹿げてる」とフラストレーションをあらわにした。RB21のブレーキトラブルは週末を通してフェルスタッペンを苦しめていたが、決勝においても改善されていないことが明らかとなった。

14周目、ポールシッターのピアストリがピットインし、ミディアムタイヤでスタートしたフェラーリ勢が一時的に1-2体制に。17周目にはフェラーリがダブルストップを実施し、両者ともミディアムタイヤを再装着。1ストップを希望していたルクレールはこの判断に不満を見せたが、第2スティントのSF-25は印象的な速さを見せた。

ハミルトンは、角田、ドゥーハン、フェルスタッペン、アントネッリ、オコンを立て続けに交わし、見事なオーバーテイクショーを披露。ルクレールも24周目にノリスをオーバーテイクし、3番手にカムバックした。

ペースが上がらないフェルスタッペンは、26周目に2回目のピットストップを敢行。しかし右フロントが固着し、6.2秒のロスを喫して一時的に最下位まで後退した。

31周目、角田とサインツの6位争い中に接触が発生。飛散したデブリの回収のためセーフティカー(SC)が導入され、各車が一斉にピットイン。角田はメルセデス勢らとともにソフトタイヤを装着した。一件は不問とされた。なお、直前にピットインしたばかりのフェルスタッペンにとっては不運な展開となった。

36周目のリスタート後、角田はサインツを抜いて10番手に浮上。ノリスはターン4でハミルトンを一度オーバーテイクしたが、ライン取りがコース外とされ、無線での抗議を受けてポジションを返上。38周目に再びクリーンな形でアウト側からハミルトンを交わし、3番手に浮上した。

サインツはアントネッリをコース外に押し出したとして10秒ペナルティを受けたが、右サイドポッドとフロアに大きなダメージを負っていたため、46周目にガレージへとマシンを戻しリタイアした。

レース終盤、角田は残り12周の時点でドゥーハンを交わして9番手に浮上。ドゥーハンはその後、ベアマンとアントネッリにもポジションを奪われ、入賞圏外へと後退した。

2025年F1第4戦バーレーンGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 57 1:35:39.435 25
2 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 57 +15.499s 18
3 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 57 +16.273s 15
4 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 57 +19.679s 12
5 44 ルイス・ハミルトン フェラーリ 57 +27.993s 10
6 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 57 +34.395s 8
7 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 57 +36.002s 6
8 31 エステバン・オコン ハース・フェラーリ 57 +44.244s 4
9 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 57 +45.061s 2
10 87 オリバー・ベアマン ハース・フェラーリ 57 +47.594s 1
11 12 アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデス 57 +48.016s 0
12 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 57 +48.839s 0
13 6 アイザック・ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 57 +56.314s 0
14 7 ジャック・ドゥーハン アルピーヌ・ルノー 57 +57.806s 0
15 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 57 +60.340s 0
16 30 リアム・ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 57 +64.435s 0
17 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 57 +65.489s 0
18 5 ガブリエル・ボルトレート ザウバー・フェラーリ 57 +66.872s 0
NC 55 カルロス・サインツ ウィリアムズ・メルセデス 45 DNF 0
DQ 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ DSQ 0

コンディション

天気晴れ
気温27℃
路面温度33℃
周回数57

セッション概要

グランプリ名 F1バーレーンGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 バーレーン・インターナショナル・サーキット
設立 2004年
全長 5412m
コーナー数 15
周回方向 時計回り

F1バーレーンGP特集