
”共振”する角田裕毅とフェルスタッペン「想定以上」レッドブルが見た技術的相性の良さ
マックス・フェルスタッペンと角田裕毅という新たなドライバーラインナップについて、レッドブル陣営から「想定以上」の親和性があるとの評価が出ている。特に、好みのマシンセットアップやドライビングスタイルの共通点が浮き彫りとなり、技術面での相性の高さが注目されている。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザー、ヘルムート・マルコはオーストリア放送協会とのインタビューで、「ユーキはマックスのセットアップを気に入っている。2人の好みが合っているから、うまくかみ合っている」と語り、両者が同じ方向性を志向していることを明かした。
これは単なる好みの一致ではなく、マシンの挙動に対するアプローチそのものが似ていることを意味する。鈴鹿でのレッドブル初陣では入賞こそ逃したものの、角田はフリー走行や予選Q1でフェルスタッペンに迫る走りを披露し、「F1で最も難しい」とされるレッドブルのセカンドシートに相応しい可能性を感じさせた。
とりわけ注目すべきは、オーストラリアや中国でのリアム・ローソンと比較しても、フェルスタッペンとのタイム差が格段に小さかった点だ。これは早くも角田がRB21に順応し、テクニカル面で高い親和性を示していることの証左といえる。
想定以上の親和性―エンジニアも驚き
レースエンジニアを務めるリチャード・ウッドも、角田とフェルスタッペンのドライビングスタイルの類似性に驚いたと認める。
当初はフェルスタッペンとは異なる方向性でマシンをセットアップしていたが、走行を重ねる中でフェルスタッペン寄りのセッティングが角田にも合致していることが判明。最終的に、フェルスタッペン基準のセットアップに戻る形になったという。
「シーズン序盤としては間違いなく興味深い展開だ。特にこの1週間ほどは本当に忙しかった。新しいドライバーを迎えることで、自分たちのプロセス全体を見直す必要があった」とウッドは振り返る。
「どのようなコミュニケーションを取るのか、何を話すのか、どんな情報を必要とするのか――そういった点に慣れるのは、正直かなり大変だったが、ユーキはドライバーとしてすぐにうまくフィットしてくれた」
「マシンとの相性もかなり良い。実は、我々が想定していた以上にマックスのドライビングスタイルに近いことが分かった。そのため、当初は異なる方向でマシンをセットアップしていたが、最終的にはマックス寄りの方向性に戻ることになった」
レッドブル内部からこうした声は、RB21の開発コンセプトに自らを合わせる柔軟性と、実戦で通用する順応性を角田が兼ね備えていることを感じさせるものともいえる。
“負担をかけないセカンドドライバー”の理想形?
英「Autosport」によると、角田自身もフェルスタッペン型セットアップへの“寄せ”が功を奏していることを認めている。
バーレーン・インターナショナル・サーキットで角田は、「実際、自分のセットアップというよりも、マックス寄りの方向に寄せてみたのですが、意外にもけっこう上手く走れたので、今のところはその選択に満足しています」と語り、相性の良さを実感している様子を見せた。
チームのマシン開発が「フェルスタッペン基準」に最適化される中で、もう一人のドライバーがそれに自然に順応できることはレッドブルにとって極めて重要だ。角田の存在が、“技術面でチームに負担をかけないセカンドドライバー”として機能しうることを、鈴鹿での週末は証明した格好だ。
レッドブル昇格後の2戦目となるバーレーンではこれまでのところ苦戦の色が濃いが、角田がフェルスタッペンあるいはRB21との親和性を保ちつつ実績を積み重ねていけば、シート定着の可能性は高まっていくことだろう。