メルセデスW15の後についてイモラ・サーキットを周回する角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年5月18日F1エミリア・ロマーニャGP FP3
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また一つ、F1カレンダーから欧州名門コースが消滅か―ドメニカリCEOが示唆

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2025年5月16~18日に開催予定のF1世界選手権第7戦エミリア・ロマーニャGPが、イモラ・サーキットでの最後のF1レースになる可能性が高まっている。

F1のステファノ・ドメニカリCEOは、イタリアの国営ラジオ局「RAI」に出演し、「イモラとモンツァがカレンダー上で並存する現状が、この先も長く続くのは難しい」との見解を示した。

イモラ、2025年を以てカレンダー脱落か

フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)は2024年にモンツァと2031年までの長期契約を締結した。一方で、イモラの現行契約は、来月のレースをもって終了する予定となっている。

イモラ出身のドメニカリは、「これまでも、そしてこれからもイタリアはF1にとって重要な存在であり続ける」としつつも、「F1への関心が世界的に高まっている今、1つの国で2戦を維持し続けることはますます困難になっている。これは今後数か月のうちに向き合うべき課題だ」と語った。

「これは決して容易な判断ではないが、私は国際的な視点をもってF1を牽引する立場にあり、現在、F1をさらに成長させ得る多くの新興国からの開催リクエストに応えていかなければならない」

ティフォシのホーム、イモラの歴史

イモラ・サーキットは1980年にF1世界選手権を初開催。翌1981年からは「サンマリノGP」として春の恒例イベントとなり、フェラーリファンにとってはモンツァと並ぶ“ホームレース”として親しまれてきた。

2006年を最後に一度カレンダーから外れたものの、2020年に新型コロナウイルス禍の影響で代替開催地として復活。その後は「エミリア・ロマーニャGP」として定着していたが、2023年は地元の水害により開催中止となった。

ドメニカリは、2020年のパンデミック下において迅速に対応したイモラの姿勢について、改めて次のように謝意を示した。

「忘れてはならないのは、コロナ禍という困難な状況下でイモラが即座に反応してくれたことだ。新たな開催地を必要としていた我々に対し、街全体が熱意と実行力をもって応えてくれた」

F1ファン、とりわけティフォシにとってイモラは象徴的な存在である一方で、F1人気の世界的拡大と開催地の誘致競争が激しさを増す中、その地位が揺らいでいることは否めない。

マドリード新設、欧州伝統開催地に圧力

2026年シーズンからは、スペインのマドリードで新たなF1グランプリの開催が決定しており、F1は現行の年間24戦という上限の中でスケジュール調整を余儀なくされている。

加えて、タイGP初開催の可能性が高まる中、メキシコGPおよびラスベガスGPの契約更新も控えており、開催枠をめぐる争いは一層激化している。

この影響は他の欧州開催地にも及んでおり、ザントフォールト・サーキットでのオランダGPは2026年限りでの終了が決定。スパ・フランコルシャンでのベルギーGPも、2027年以降はローテーション開催へと移行する。

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