ドライバーズパレードに参加するアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年3月16日(日) F1オーストラリアGP決勝(アルバート・パーク・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

ハジャー、”涙のパドック帰還”に賛否「少し恥ずかしい」とマルコ―幕開け前に終わったF1デビュー戦

  • Published:

2025年のF1オーストラリアGPで、レーシング・ブルズのルーキー、アイザック・ハジャーは1周も走ることなくレースを終えた。フォーメーションラップ中の痛恨のミスによりバリアに激突し、長年の夢だったF1デビュー戦は幕を開ける前に終わった。

完全に打ちのめされた20歳のフランス人ドライバーは、ヘルメットを被ったまま目頭を抑え、パドックに戻る姿が目撃された。クローネ紙によると、この光景に対してレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは「彼の涙のショーは少し恥ずかしかった」とコメントした。

「ただただ恥ずかしい」ハジャー、痛恨のミスを謝罪

ハジャーはレース後、「ただただ恥ずかしい」と振り返り、タイヤを温めようとした際に「やりすぎてしまった」として、自らのミスをチームに謝罪した。

マルコは、落胆したハジャーの振る舞いにあまり感心しなかったようだが、一方で励ましの声も多かった。ルイス・ハミルトンの父であるアンソニー・ハミルトンはハジャーを抱きしめて励まし、F1のステファノ・ドメニカリCEOも直接彼のもとを訪れ、声をかけたという。

また、レーシング・ブルズのピーター・バイエルCEOは「特にこのような状況下では誰にでも起こることだ」とハジャーを擁護。レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーも「初めてのグランプリで、あんなに打ちのめされているのを見て胸が張り裂けそうだった」と同情を示した。

さらに、「忘れがちだが、彼はまだ若い。今日は感情的になったようだが、冷静になれば週末から多くのことを学べるはずだ。彼にはこれからたくさんの明るい未来が待っている」と期待を寄せた。

過酷なF1デビュー戦、同様のクラッシュ相次ぐ

実際、この日のレースでクラッシュを喫したのはハジャーだけではなかった。ジャック・ドゥーハン、ガブリエル・ボルトレート、リアム・ローソンといった他のルーキー勢も雨によってコントロールを失い、レースを終えている。さらに、2度のF1ワールドチャンピオンであるフェルナンド・アロンソでさえ、”予期せぬ罠”にかかり壁に衝突した。

しかし、それでもハジャーの落胆は大きかったようだ。「これまでにも辛い経験はあったけど、これは特に辛い」と肩を落とした。何よりもF1での貴重なレース経験を積めなかったことが悔やまれたという。

「初めてのF1でのレースを楽しみたかったし、学びたかった。でも、残ったのは壊れたクルマだけだ」

とはいえ、F1の世界において過去を引きずる時間はない。次のチャンスは、1週間後の中国・上海でのレースだ。ハジャーはこの苦い経験から立ち直り、どのような走りを見せてくれるのだろうか。


2025年F1第1戦オーストラリアGPでは、ランド・ノリス(マクラーレン)がポール・トゥ・ウインを果たして通算5勝目を獲得。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が2位、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が3位という結果となった。

上海インターナショナル・サーキットを舞台とする次戦中国GPは、3月21日のフリー走行1で幕を開ける。フリー走行が一回のみのスプリント・フォーマットが採用される。

F1オーストラリアGP特集