キャデラックのロゴが掲げられたF1マシンのイメージ図、2025年2月12日
copyright Formula1 Data

キャデラックF1、ワークス化計画とタイムラインが公文書で明らかに―新エンジン工場に大規模投資

  • Published:

キャデラックのF1ワークス化計画の全貌が市議会のアジェンダにより判明した。2028年から独自のF1パワーユニットを搭載すべく、2027年に米国ノースカロライナ州コンコードに新たなF1エンジン工場を建設する計画だ。

ゼネラル・モーターズ(GM)は、傘下の高級車ブランド「キャデラック」の名義で、2026年よりF1に参戦することで基本合意しており、最初の2年間はフェラーリのカスタマーエンジンを使用する予定となっている。

2027年にF1エンジン工場を建設

2月13日に予定されているコンコード市議会のアジェンダによると、キャデラックは2025年第1四半期から新たなF1エンジン施設(4295 Defender Way)の建設を開始し、2027年第1四半期の稼働を目指している。

この新工場ではF1エンジンの開発・テストが行われる予定で、GMのパフォーマンス・パワーユニット部門「GM Performance Power Units LLC」が開発プログラムを主導。プロジェクトリーダーはGMのパフォーマンス部門責任者であるラス・オブレンズが務める。

現在、キャデラックF1はノースカロライナ州コンコードのGMシャーロット・テクニカルセンター近くにある既存の施設(4540 Fortune Way NW)でエンジン開発を進めており、新工場が完成するまでの間、同施設を活用する予定だ。

項目 詳細
開発主体 GM Performance Power Units LLC
プロジェクト責任者 ラス・オブレンズ(GMパフォーマンス部門責任者)
エンジン工場所在地 4295 Defender Way, コンコード, ノースカロライナ州
建設開始時期 2025年第1四半期
稼働開始時期 2027年第1四半期
初参戦予定 2026年(フェラーリ製エンジン搭載)
ワークスエンジン搭載 2028年シーズン

1億5千万ドル超の投資計画—地域経済にも貢献

キャデラックは新施設に最大1億5,500万ドル(約236億円)を投資する計画だ。これに対し、地元自治体は75万ドル(約1億1,000万円)の助成金を提供し、企業側の初期投資負担を軽減することで、事業の実現性を高める方針を検討している。

投資の内訳は、工場の建設費が6,500万~7,000万ドル、エンジン開発設備などその他の費用が7,500万~8,500万ドルと見積もられている。

新施設は2階建てで、総床面積は1万8,956㎡となる見通しだ。オフィスエリアや会議スペースも備え、機能性の高い設計が採用される。

また、このプロジェクトにより、製造、エンジニアリング、研究開発分野で300~350人の高技能労働者が新たに雇用される見込みであり、その平均年収は10万~12万5,000ドル(約1,500万~1,900万円)とされている。

2026年参戦に向けた最新動向

正式な契約はまだ締結されていないものの、キャデラックは2026年のF1参戦に向けて着々と準備を進めている。すでに300人以上のスタッフを雇用し、各種パートナーシップ契約交渉も進行中と報じられている。

ドライバーラインナップは未確定だが、現在以下のドライバーが候補として噂されている。

  • コルトン・ハータ(インディカーで活躍する米国人ドライバー)
  • セルジオ・ペレス(元レッドブルF1ドライバー)
  • バルテリ・ボッタス(元ザウバーF1ドライバー)