F1に「12チーム時代」再来の可能性、キャデラックに続くグリッド拡大の未来と新規参入の鍵

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F1を統括する国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長は、アンドレッティ・グローバルを基盤とするGM/キャデラックに続く12番目のチームの参入に意欲を示している。

フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)は従来の姿勢を改め、先月末、キャデラックが2026年シーズンに11番目のチームとしてF1に参入することで基本合意に至ったと発表した。

これにより、F1のグリッドは2016年シーズン以来の11チーム体制となる見込みだ。2016年末にマノー・レーシングが撤退して以来、F1は10チーム体制が続いていた。

F1競技規則第8条第6項では、1チームあたり2台、合計で最大26台のエントリーが認められている。したがって、規則上はキャデラックに加え、さらに2チームが参入する余地がある。

新規参入には最終的にFOMとの合意が必要であるが、これに先立つリソース面(人材、予算、インフラなど)の審査を担うFIAは、12番目のチームの受け入れに前向きな姿勢を示している。

キャデラックF1チームの取締役に就任した1978年のF1ワールドチャンピオン、マリオ・アンドレッティは、CBSデトロイトに対し、「FIAは12番目のチームを招き入れる可能性があるようだ」と述べた。この内容は、ロイター通信によるベン・スレイエム会長へのインタビューによって裏付けられた。

ベン・スレイエム会長は、新たなチームの追加について「否定する理由があるだろうか?正しいことを行うべきだ。12番目のチームが現実の選択肢であるならば、(参入に)ノーと言い続けるのは間違いだ」と語った。また「11番目のチームの追加は、関係者全員にとっての勝利だ」と述べ、グリッドの拡大がF1全体にもたらす利益を強調した。

FOMは当初、予想される競争力やF1への貢献度に対する懐疑的な見解を理由に、アンドレッティの参戦を却下した。しかし、アンドレッティのF1プロジェクトがGMを巻き込んだメーカー主導型の提案に切り替えられたことで、反トラスト法違反疑惑によるアメリカ合衆国下院司法委員会の調査開始も相まって、承認に転じた。

ただし、新たなチームの参入が現実味を帯びてきた一方で、F1が求めているのは単なる「レースチーム」ではない。ベン・スレイエム会長によれば、F1のステファノ・ドメニカリCEOは「我々が必要としているのはOEM(自動車メーカー)だ。単にチーム数を求めているわけではない」と述べたという。

この発言から、アンドレッティと同じく昨年FIAへ参戦エントリーを行いながらも脱落したLKY SUNZ、ハイテックなどが再び同様の提案を行ったとしても、F1参入が認められる可能性は低いと考えられる。

一方で、ハースとの提携を経て将来的なF1復帰が各所で噂されているトヨタが仮にエントリーした場合、FOMがこれを拒む理由はないだろう。

F1が最後に12チーム体制で行われたのは2012年シーズンである。その年の終わりにHRTが撤退し、以降は2014年シーズンまで11チーム体制が続いた。