FIA、アンドレッティ・キャデラックのF1参戦を承認…3団体が脱落
今年2月の審査プロセスの開始から数ヶ月を経て国際自動車連盟(FIA)は2023年10月2日、米国を本拠とするアンドレッティ・フォーミュラ・レーシングLLCのF1参戦計画を承認したと発表した。ただグリッドに並ぶためには第3フェーズ、すなわち商業交渉の場においてフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)の同意を得る必要がある。
2025年以降の新規F1参戦チームを評価するプロセスは3段階に分かれている。FIAによるとエントリーを含むフェーズ1を経て、各申請者の競技面、技術面、財務面に関するデューデリジェンスを行うフェーズ2に進んだのは計4団体で、アンドレッティのみが最終プロセスに駒を進めた。名前は明らかにされていないが、ハイテック、LKY SUNZ、ロダン・カーズの3団体が脱落したものとみられる。
フェーズ2では持続可能性や平等性、多様性、そして包摂性に対する各団体のスタンスがFIAのアプローチに沿うものかどうかについても審査された。4団体はF1への参加を通じて社会に対し、どのようにしてプラスの影響を与えるかについて説明する必要があった。
FIAの承認によりアンドレッティは、組織としてF1世界選手権参戦に足る財務および人的リソースを備え、経験やインフラなど、一定の競争力を期待できるだけのバックグラウンドがあるとのお墨付きを得たわけだが、F1の商業権を持つリバティ・メディアとの協議を突破するのはおそらく、これまでの中で最も厳しく、複雑なプロセスになるだろう。
FOMと既存のF1チーム(アルピーヌとマクラーレンを除く)はこれまで、主に分配金減少の観点から新チームがグリッドに加わる事について否定的な姿勢を貫いてきた。仮に拒否すれば物議を醸し、欧州連合競争法違反に伴う法廷闘争に発展する可能性があるとは言え、FOMにはアンドレッティの申請を拒否する権利がある。
F1は声明を通して「我々はプロセスの第1・2フェーズに関するFIAの結論に留意し、これをクリアした申請者がどのようなメリットをもたらすかについて独自の評価を行う予定だ」と述べた。最終決定には更に数ヶ月を要する可能性がある。
ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のキャデラックと組むアンドレッティは声明の中で、FIAの「厳格で透明性が確保された完全な評価プロセス」において承認を得られたことは「光栄」であるとして、「アンドレッティ・キャデラックの強力なレーシング能力、そしてレースから得られる技術的進歩はF1に対する熱意を世界中で高め、我々の顧客に利益をもたらすだろう」と強調した。
アンドレッティについてFIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、「設定された基準を満たし、このスポーツに価値を加えることができると考えられるエントリー」であると説明すると共に、「FIAには要件を満たしたエントリーを承認する義務がある」「FIAはモータースポーツへの参戦と発展に関するEUの指令に従って行動した」とも述べた。