
FIAがアンドレッティF1参戦を正式承認、FOMとの商業交渉が次の関門に
今年2月の審査プロセスの開始から数ヶ月を経て国際自動車連盟(FIA)は2023年10月2日、米国を本拠とするアンドレッティ・フォーミュラ・レーシングLLCのF1参戦計画を承認したと発表した。
ただし、実際にグリッドに並ぶためには第3フェーズ、すなわち商業交渉の場においてフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)の同意を得る必要がある。
F1新規参戦の3段階プロセス
2025年以降のF1新規参戦チームを評価するプロセスは3段階に分かれている。
- 1. フェーズ1(エントリー審査)
- 2. フェーズ2(競技・技術・財務審査)
- 3. フェーズ3(商業交渉)
FIAによると、フェーズ1を通過したのは4団体。フェーズ2では各申請者の競技面・技術面・財務面についてデューデリジェンス(適正評価)が行われた。その結果、アンドレッティのみが最終プロセスに進出し、ハイテック、LKY SUNZ、ロダン・カーズの3団体は脱落した。
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マリオ・アンドレッティとマイケル・アンドレッティ、インディアナポリスに建設される新社屋の起工式にて、2022年12月6日
フェーズ2では、持続可能性・多様性・包摂性(インクルージョン)に対するスタンスも審査対象となった。各団体は「F1への参戦を通じて社会にどのようなプラスの影響を与えるか」を説明する必要があった。
FOMとの商業交渉が最大の関門
FIAの承認により、アンドレッティはF1参戦に必要な財務・人的リソース、経験、インフラを備えた組織として認められた。しかし、最大の関門はFOMとの商業交渉だ。
FOMおよび既存のF1チーム(アルピーヌとマクラーレンを除く)は、分配金の減少を懸念し、新チームの参戦に否定的な姿勢を貫いてきた。仮に拒否すれば物議を醸し、欧州連合競争法違反に伴う法廷闘争に発展する可能性があるとは言え、FOMにはアンドレッティの申請を拒否する権利がある。
F1は声明を通して「我々はプロセスの第1・2フェーズに関するFIAの結論に留意し、これをクリアした申請者がどのようなメリットをもたらすかについて独自の評価を行う予定だ」と述べた。最終決定には更に数ヶ月を要する可能性がある。
FIAの承認は「光栄」とアンドレッティ
ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のキャデラックと提携するアンドレッティ・キャデラックは、FIAの「厳格で透明性のある評価プロセス」において承認を得たことを「光栄」と表現した。
また、「アンドレッティ・キャデラックの強力なレーシング能力、そしてレースから得られる技術的進歩は、F1のグローバルな熱意を高め、我々の顧客に利益をもたらすだろう」と強調した。
FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長はアンドレッティについて、「設定された基準を満たし、このスポーツに価値を加えることができるエントリーだ」と説明。さらに、「FIAには要件を満たしたエントリーを承認する義務がある」「FIAはモータースポーツへの参戦と発展に関するEUの指令に従って行動した」とも強調した。