キャデラック、2026年F1参戦が正式承認―11チーム全22台にグリッド拡大

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フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)と国際自動車連盟(FIA)は2025年3月7日(欧州現地時間)、キャデラックが11番目のF1チームとして2026年シーズンから参戦することを正式に承認した。

この決定により、モハメド・ベン・スレイエムFIA会長が2023年1月に提唱したF1グリッド拡大の構想がついに実現することとなった。

GMの関与がゲームチェンジャーに

当初、このプロジェクトはアンドレッティ主導で申請が行われ、FIAの承認を得たものの、FOMは「競争力のあるチームでなければF1に価値をもたらさない」としてエントリーを拒否した。

計画が難航する中、2024年にプロジェクトの指導体制が変更され、マイケル・アンドレッティがトップの座を退き、ダン・タウリス率いるTWGグループが主導する形へと移行。これにより、ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の高級車ブランドであるキャデラックのワークスチーム色が強まった。

F1側は、米国の大手自動車メーカーの関与がシリーズのブランド価値向上に寄与すると判断し、これが最終的なエントリー承認の決め手となった。

キャデラックは2026年の参戦当初、フェラーリ製パワーユニット(PU)を使用するが、2028年には自社製PUの投入を予定している。

キャデラックの参戦承認決定についてF1ステファノ・ドメニカリはCEOは、「F1の進化を示す重要な決定だ。GMとTWGの協力に感謝するとともに、2026年のF1グリッドで彼らを迎えることを楽しみにしている」と述べた。

ベン・スレイエムFIA会長も次のように述べ、F1に11番目のチームが加わる意義を強調した。

「F1の歴史において重要な節目を迎えた。GM/キャデラックの参入は、新しい2026年FIAレギュレーションと調和し、スポーツに新たなエネルギーをもたらす。我々の使命であるモータースポーツの限界を押し広げることに貢献するだろう」

F1競技規則は最大13チーム計26台の参戦を認めているが、F1に新規チームが加わったのは2016年のハースが最後で、以降F1グリッドは10チーム、20台に固定されてきた。

キャデラックF1チームの今後

キャデラックのF1参戦に向けた準備は着実に進められており、マシン開発は米国内の3拠点(インディアナ州フィッシャーズ、ミシガン州ウォーレン、ノースカロライナ州シャーロット)に加え、イギリス・シルバーストンでも進行中だ。

プロジェクトの指揮を執るのは、元マルシャF1チーム代表のグレアム・ロードン。設計部門には、7年間にわたりF1の最高技術責任者(CTO)を務めたパット・シモンズや、元ルノーのエンジン開発責任者ロブ・ホワイトが名を連ねている。

ドライバーラインナップは未定だが、インディカーで活躍するコルトン・ハータが有力候補に浮上している。24歳のアメリカ人ドライバーは、2022年にマクラーレンのF1テストに参加した経験があり、欧州でのレース経験も持つ。

キャデラックF1参戦までの経緯