レッドブル・ホンダ、2倍に膨れ上がった2億円もの事故損害額…シーズンに「深刻な影響」とホーナー
レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表はF1イギリスGPから1週間を経て、決勝レースの1周目に発生したルイス・ハミルトン(メルセデス)との接触事故による損害額が約180万ドル、日本円にして約1億9,900万円に達した事を明らかにした。
マックス・フェルスタッペンはシルバーストンの高速コーナー、通称コプス(ターン9)でタイトル争いのライバルと接触。51Gという大きな衝撃と共にバリアに激突し、33号車RB16Bは見るも無残な姿に変わり果てた。
レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは当初、事故の被害額を約75万ユーロ程度と見積もっていたが、ファクトリーでの詳細な検査を経て実際にはその約2倍に相当する損害が発生していた事が判明した。
ホーナーは自身のコラムの中で、事故によって約180万ドルもの損害を被った事を明らかにすると共に、予算制限が敷かれる現行シーズンに「深刻な影響」を与えるとの懸念を示した。これは1億4500万ドルという今季のコストキャップの約1.2%に相当する。
ホーナーはまた、事故の衝撃によってシートすらも破壊されていた事を明かし、フェルスタッペンが大事に至らなかったのは「現行マシンの安全基準、ヘイローとバリアシステムの功績が大きい」と指摘した。
「あれはマックスのキャリアの中で最大のアクシデントで、入院するのは今回が初めてだった。できればこれが最後であって欲しい」とホーナーは綴った。
「チーム無線でマックスに声を掛けても応答がなかった時は、時間が止まったように感じた。あの時は、ただただ家族同然の存在である彼の安全を祈っていた」
「彼がようやく言葉を発っしてくれた時は本当に安心した。そして、意識が朦朧としながらも医療チームによってクルマから助け出された彼の姿を見て心底嬉しかった」
フェルスタッペンはサーキット内のメディカルセンターで内蔵の損傷や脳震盪などの神経系に問題がない事が確認された後、ヘリコプターで地元コベントリー病院へと搬送され、CTとMRI検査を受けて現地22時に退院した。
ホーナーはフェルスタッペンと事故の翌日に話をした事を明かし「タイソン・フューリー(ボクシングのWBC世界ヘビー級王者)と数ラウンドやったような気分だったと言っていた」と語った。
「彼はボロボロになりながらも運良く最悪の事態から逃れられたとして、我々と同じ様に医療チームに感謝していた。そして彼らしくも、早くもこの事を忘れて次のハンガリーGPに向け、前を向こうとしていた」