レーシングアクシデント?それとも? 事故現場を目撃したドライバー達が評するフェルスタッペン対ハミルトン
チャンピオンシップを激しく争うがゆえに、マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンはこれまでも何度か際どいシーンを演じてきたが、それでもリタイヤに繋がりかねないクラッシュは避けてきた。
だがメルセデスとハミルトンは第4戦スペインGPを最後に勝利から遠ざかり、レッドブル・ホンダとフェルスタッペンが選手権でのリードを広げる中、2つの陣営とドライバー間の緊張感は着実に高まっていた。
F1イギリスGP決勝レースの1周目の事故が発生したターン9、通称コップスは現行F1マシンだと6速、時速275kmで駆け抜ける高速コーナーだ。アウト側にいたフェルスタッペンはタイヤバリアへの衝突の際に51Gもの衝撃を受け、念の為に現地の病院に搬送された。
オープニングラップは今回に限らず鬼門だ。タイヤはまだ温まりきっておらず、加えて搭載燃料も多く、何が起きても不思議でない事を証明するための事例は事欠かない。
一件を審議したスチュワードは、ハミルトンが「わずかに後方、かつイン側」でコーナーに進入し「コーナーのエイペックスに達しないラインを走行し、イン側にはスペースが空いていた」として、ハミルトンに「主な過失がある」と判断。10秒ペナルティーと2点のペナルティポイントを科す裁定を下した。
トップを争う2人が絡んだ事故現場を後方から見ていたドライバー達は、このインシデントをどう見たのだろうか?
事故のリプレイ映像を見直したというダニエル・リカルドは、高速コーナーでサイド・バイ・サイドになると「お互いに空力を失う事になる」と述べ、「マックスには同情する」としながらも、どちらに責任があるかを断定するつもりはないとした上で、両者は現行マシンの空力特性を踏まえて「もう少し余裕を持って」アプローチすべきだったと語り、「後味の悪い結末になった事は間違いない」と付け加えた。
フェルナンド・アロンソは「外部から判断するのは難しい」とした上で「レース中の不運な瞬間だったが、2人が意図的に悪いことをしたとは思わない」と述べ、レーシングアクシデントだったとの考えを示した。
両者の接触によってラップリーダーに躍り出たシャルル・ルクレールもアロンソに同感のようで「確かにイン側にスペースが残っていたし、ルイスは完全にエイペックスを捉えていなかったかもしれないけど、マックスがアウト側でかなりアグレッシブだったことも事実」と述べ「何より大切な事はマックスが無傷で元気だって事だ」と指摘した。
ランド・ノリスは「本当に厄介な問題で良く分からない」とした上で「2人共がかなりのリスクを犯していた。ルイスがペナルティを受けた事から、彼ら(スチュワード)はルイスが悪いと判断したのだと思う。あれだけのスピードでイン側に入ると角度的にかなりキツイよね」と評した。
ハミルトンの僚友バルテリ・ボッタスは、激しく競り合う2人を見て「嫌な予感がしてたんだ」と明かし、接触については「お互いが諦めずにハードに戦った結果」だとして、レーシングアクシデントとの見方を示した。
なおルクレールとボッタスの発言はレース後のトップ3FIA会見での質問に答えたもので、隣にはハミルトン本人が座っていた。