メルセデス代表ウォルフ、F1英GP事故について「フロントが相手の半身前にあれば…」と遠回し
F1イギリスGPの1周目に発生したクラッシュの責任の所在について、レッドブル・ホンダのボスが歯に衣着せぬ言い方でルイス・ハミルトンを責める一方、メルセデスのボスは奥歯に物が挟まったような態度で控えめだ。
2番グリッドからスタートしたハミルトンは、まずはターン1でポールシッターのマックス・フェルスタッペンに襲いかかり、その後ブルックランズ(ターン6)で仕掛けた後、時速260kmの高速コプス(ターン9)へのアプローチでインサイドを突いた。
結果、ハミルトンの左フロントとフェルスタッペンの右リアが接触。リアを引っ掛けられたフェルスタッペンはグラベルを乗り越えタイヤバリアに激突し、地元病院に搬送されて精密検査を受けた。
レースを振り返ったトト・ウォルフ代表は「ルイスとマックスのインシデントについては『タンゴを踊るためには2人が必要』なのであって、この2人のライバルはお互いに1ミリも譲らなかった」と述べ、過失割合はさておき両者に責任があるとの考えを示した。
「物事が酷く見えるのはあれが高速コーナーで起きたものであるためだが、レギュレーションは白黒をハッキリさせている。つまり、フロントアクスルが外側のマシンの半分を越えて前にあればそこは自分のコーナー、という事だ」
今回に限らずレッドブルのクリスチャン・ホーナーとは対照的にトト・ウォルフは遠回しな表現を好む。フロントを相手の半身前に入れていたのはどちらなのか?については以下の動画で確認されたい。
「これは相手より性能が劣っているかもしれないクルマに乗る7度の世界王者という史上最高のドライバーと、自らの地位を確立せんとする新進気鋭のスターによるチャンピオンシップ争いであり、結果として両者は接触してクラッシュへと至った」
「これまでにも何度か歴史上の偉大なライバル達による一件があったが、今日も同じことが起きた」
「ただ、最も重要なことはマックスが無事であるという事と、残りのレースが素晴らしかったという事だ」
フェルスタッペンがリタイヤを余儀なくされた一方、この事故の責任を問われ10秒ペナルティを受けたハミルトンは、その後見事に巻き返していき、残り2周というところで例のコプスでシャルル・ルクレール(フェラーリ)をパス。記念すべき8度目のイギリスGP優勝を果たした。
「今日はドラマチックでエキサイティングなレースだった。最後にはシャルルを捕らえ、ルイスがイギリスGPで再び優勝した。あれは誰もが楽しめるものだったと思う」とトト・ウォルフは付け加えた。
7月18日(日)にシルバーストン・サーキットで行われた2021年F1第10戦イギリスGP決勝レースでは、1周目にポイントリーダー達が関与するクラッシュが発生。マックス・フェルスタッペンはリタイヤに追い込まれたが、生き残ったルイス・ハミルトンは今季4勝目を飾り、2位にシャルル・ルクレール、3位にバルテリ・ボッタスが続く結果となった。
ハンガロリンクを舞台とする次戦F1ハンガリーGPは7月30日のフリー走行1で幕を開ける。