ホンダの八郷社長、Honda Racing THANKS Ceremonyにて
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減益見通しのホンダ、F1継続明言ないものの、チャンピオン獲得に強い意欲「何が何でも獲りたい」と八郷社長

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足元の業績が思わしくないホンダは、現時点で2021年以降のF1世界選手権参戦継続を明言していないが、八郷隆弘代表取締役社長は、今年よりF1パワーユニットを供給する強豪レッドブル・レーシングと共に「何が何でもシリーズチャンピオンを獲りたい」と語り、タイトル獲得に強い意欲を示している。

10月末にようやく新時代のF1レギュレーションが公にされ、次世代のビジョンが明らかになったものの、ホンダを含めて、現時点で参戦継続を明確に宣言したチーム・エンジンサプライヤーはいない。

マシン開発には1年以上の歳月がかかるため、参戦継続の検討のためにホンダに残された時間は殆どない。日本におけるF1人気をホンダが大きく下支えしている事に疑いはなく、その動向に注目が集まっているが、本業の業績は明るいとは言い難い。

ホンダは11月8日に、2019年4~9月期の連結決算を発表。通期の業績見通しに下方修正が入った。売上高は前回予測より8,000億円少ない15兆500億円、営業利益は同800億円の6,900億円に留まる見通しで、8年ぶりの減収減益が見込まれている。この日行われた第2四半期の決算説明会では、過去最高益を叩き出したトヨタと比較する形で、手厳しい質問が飛んだ。

その2日後の10日(日)、栃木県ツインリンクもてぎで開催された「Honda Racing THANKS DAY 2019」で登壇した八郷社長は、今シーズンのモータースポーツ活動を振り返り、来季2020年シーズンのF1でレッドブル・レーシングと共にチャンピオンを獲得するとの強い決意を示した。

「2015年に復帰して以降、4年間に渡って苦しい努力を重ねてきた結果、今年のオーストリアGPで遂に、復帰後初優勝を果たす事ができました。本当に苦しい4年間でしたが、実を結んで大変嬉しく思っています」と八郷社長。

「また、ドイツGPではレッドブルが2勝目を挙げると共にクビアト選手が3位に入り、ダブル表彰台を獲得できました。そして日本GPでは、山本選手がフリー走行に出場し、日本中を盛り上げてくれました」

「F1は今年あと2戦が残っていますが、全力で頑張って参ります。来年はレッドブルと共に、何が何でもシリーズ・チャンピオンを獲りたいと思っております」

レッドブル・ホンダはブラジルとアブダビの2戦を残した現時点で既に、メルセデスとフェラーリに破れ、今年のコンストラクターズ3位が確定しているが、車体とパワーユニットを合わせたパッケージ全体は如実に性能を挙げており、来シーズンは更なる接戦が予想されている。

八郷社長の口から2021年以降のF1へのコミットメントが発せられることはなかったが、F1以外のレースカテゴリーでの活躍は目覚ましく、今後も当面に渡ってモータースポーツ活動がホンダのDNAであり続ける事に疑いはない。八郷社長は今シーズンのレース活動を次のように振り返った。

「ホンダは今年、1959年のマン島TTへの出場から数えて、レース活動60周年を迎えました。私は1959年生まれでして、自分の人生と同じ年月だけホンダがレースに挑戦してきた事に、改めて感激しています。長きに渡ってレース活動を応援して下さったファンの皆様に、改めて感謝申し上げます」

「そのような節目の今年、2輪では、MotoGPでマルク・マルケス選手が4年連続6回目のシリーズチャンピオン獲得してくれました。また、トライアルではトニー・ボウ選手が前人未到の13連覇を、そしてMXGPではティム・ガイザー選手がチャンピオンを獲得し、世界選手権の主要3カテゴリーでチャンピオンを獲得することができました」

「また国内選手権においては、ロードは残念な結果となりましたが、トライアル及びモトクロスの2つのカテゴリーではチャンピオンを獲得し、世界一の2輪メーカーとして充実したシーズンを送ることができました」

「国内の4輪では、スーパーGT及びスーパーフォーミュラで残念ながらシリーズチャンピオンを逃す結果となりましたが、来年の王座奪還に向けて努力を続けて参ります。海外では、佐藤琢磨選手がインディカーシリーズで、自己最多の2勝を飾ってくれました。来年こそはシリーズチャンピオンを獲って欲しいと思っております」

八郷社長は最後に「ホンダはこれからもモータースポーツで勝利にこだわり挑戦し続けて参ります」と述べ、力強く締め括った。