ラスベガス市街地コース
サーキット名 | ラスベガス市街地コース |
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所在国 | アメリカ |
住所 | Las Vegas, Nevada, United States |
設立年 | 2023年 |
設計 | ヘルマン・ティルケ |
全長 / コーナー数 | 6,201m / 17 |
周回数 | 50 |
ターン1までの距離*1 | 175m |
最高速度 | 342km/h |
エンジン負荷と全開率*2 | 66% |
ブレーキ負荷 | |
タイヤ負荷レベル | |
ダウンフォースレベル | |
グリップレベル | |
変速回数 | 56回/周 |
WEBサイト | www.f1lasvegasgp.com |
SNS | twitter facebook instagram |
*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離 *2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出
ラスベガス市街地コース(英:Las Vegas Strip Circuit)は、2023年に初開催を迎えたF1ラスベガスGPのために建設されたストリートサーキット。ラスベガスの街を貫く大通り、ラスベガス・ブールバードの一部公道、ストリップが使われる。
F1が史上初めて自ら主催したグランプリ。マシンは世界的な観光地にそびえ立つ高級ホテルやカジノの前を駆け抜ける。
- 41年ぶりの開催
- コースレイアウト
- オンボード映像
- コースレコード
- F1ラスベガスGP歴代ウィナーとポールシッター
- 追い抜き・DNF・ピット回数統計
- 立地とアクセス
- 史上初のF1主催、異例の投資
- 設備不良と”拝金主義”的対応、大混乱の初開催
- 経済効果
- 写真
41年ぶりの開催
同地でのグランプリは1982年9月25日の最終第16戦シーザーズ・パレスGP以来、41年ぶり。75周に渡って行われたラストレースではティレル・フォードを駆るミケーレ・アルボレートが優勝を飾り、1978年のワールドチャンピオン、マリオ・アンドレッティはこの日を以てF1での現役に終止符を打った。
レースは現地22時にスタートを迎える異例のナイトレースで、欧州のタイムゾーンを考慮して日曜日ではなく土曜日に行われた。これはF1史上最も遅いスタート時刻となった。
コースレイアウト
全長はカレンダー上でスパ・フランコルシャンに次いで2番目に長い6.201kmで、決勝レースは50周で争われる。反時計回りのコースには17のコーナー(左:11 / 右:6)が設けられ、最長1.9kmに及ぶ3本のロングストレートを備える。DRSゾーンは2箇所に設置される。
1周の78%強がエンジン全開区間。これはジェッダ市街地コース、バーレーン・インターナショナル・サーキット、モンツァに次いで4番目に高い。一方で低速コーナーが多いため、ラップタイムを基準としたエンジン全開率は66%強となる。
最高速度は350.5km/hを記録。”高速の殿堂”と称されるモンツァ・サーキットに並ぶカレンダー屈指の速さを誇る。レースでの平均速度は233.779km/h(2023年)を記録した。
セットアップ面ではターン1~4、ターン7~9、ターン12、ターン14~16といった低速コーナー向けにメカニカルグリップとダウンフォースを確保しつつ、トップスピードが損なわれないようにしなければならない。
コースの建設に際しては、既存のアスファルトを12~15cmほど除去して60,000トンのベースレイヤー舗装を行い、その上に21,000トンの中間層と22,000トンのレース層が舗装された。
オンボード映像
コースレコード
タイム | ドライバー | チーム | 年 | |
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ラップレコード | 1:34.876 | ランド・ノリス | マクラーレン・メルセデス | 2023年 |
コースレコード | 1:32.312 | ジョージ・ラッセル | メルセデス | 2024年 |
F1ラスベガスGP歴代ウィナーとポールシッター
開催年 | ドライバー | チーム | タイム | |
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2024 | 優勝 | ジョージ・ラッセル | メルセデス | 1:22:05.969 |
ポール | ジョージ・ラッセル | メルセデス | 1:32.312 | |
2023 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 1:29:08.289 |
ポール | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 1:32.726 |
追い抜き・DNF・ピット回数統計
年 | ピット総数 | 追い抜き | リタイヤ | ||
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通常 | DRS | 接触 | 機械的問題 | ||
2023年 | 31回 | 37回 | 37回 | 1台 | 0台 |
立地とアクセス
ハリー・リード国際空港から3kmほどの場所に位置する。ラスベガス・ストリップの東側に広がる7つの駅に4~8分間隔で列車が到着するラスベガス・モノレールはレース開催週、24時間運行する。
史上初のF1主催、異例の投資
リバティ・メディア体制のF1にとってラスベガスGPは、今後数十年を見越した一大プロジェクトであると同時に、旧体制との決別と新たな時代の到来を告げるイコンでもあった。
F1はピットやパドック施設の建設ために2億4,000万ドルを投じて土地を購入するという前代未聞の措置を採った。第1回大会に向けて投じられた金額は5億ドル(約750億円)を超えた。
4階建てのピットビルは30万平方メートルに及ぶ。屋上にはF1のロゴをかたどった28,000平方メートルのビデオスクリーンが設置されている。将来的に北米におけるF1の主要拠点として機能するよう設計・建設された。
コースを照らす仮設照明は1,750個に及ぶ。
設備不良と”拝金主義”的対応、大混乱の初開催
第1回大会のFP1では、路面に設置された送水バルブの蓋がF1マシンの負圧により外れるトラブルが発生。これに衝突したカルロス・サインツ(フェラーリ)とエステバン・オコン(アルピーヌ)がクルマにダメージを負った。
セッションは僅か8分35秒で中止となり、破損箇所の修復と合わせて、コース上の30箇所の送水バルブの蓋を全て撤去し、代わりに砂とアスファルトで密閉する作業が行われた。結果、FP2は60分から90分に延長され、開始時刻は2時間半遅れの深夜2時30分となった。
ダニエル・リカルド(アルファタウリ)は、安全を確保するためにF1が十分な仕事をしたのどうかは疑わしいとの見方を示した。
警備スタッフのシフトの終了、そして公共バスの運行が不可能な事態となった事などを受け、FP2開始30分前に観戦エリアが閉鎖された。ファンは6時間近くに渡って10℃強ほどの寒い中、待ち続けていたものの、強制退去させられた。
事実上の同一組織であるF1とイベントの主催者であるラスベガスGP社(LVGP)は、補償として1日チケットの所有者に200ドルの商品券を配布した。3日間パスの所有者は対象外とされた。謝罪はなかった。
初日フリー走行を観戦できなかった観客3万5000人を代表して、ディモプロス法律事務所とJKリーガル & コンサルティングは共同で、ネバダ州裁判所に集団訴訟を起こした。
事故によりグリッド降格ペナルティを科せられたフェラーリのフレデリック・バスール代表は「受け入れられない」と憤りをあらわにした。一方で、メルセデスのトト・ウォルフ代表は、質問を投げかけたジャーナリストを罵倒するなど、ラスベガスGPの事実上の主催者でありF1の商業権を持つリバティ・メディアを徹底的に擁護した。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は週末に入る前から「99%がショーでスポーツイベントとしては1%」と形容するなど、イベントを徹底的に批判してきた。
初日を前に行われたオープニングイベント後には、自身を含むドライバー達が「ピエロのように見えた」などと嫌悪感をあらわにし、競技としての純粋さよりもエンターテインメントと商業的側面を重視するイベントのあり方に異議を唱えた。
また予選後には、ラスベガス市街地コースはモンテカルロ市街地コースの足元にも及ばないと主張し、200ドル分の商品券を配り、自分たちの対応の正当性を強調したF1の対応に”拝金主義”のレッテルを貼り、自身が観客であったならば「この場所を全部、破壊する」と憤るなど、更に批判の声を高めた。
経済効果
ラスベガスGPは新規および既存のインフラへの多大な投資や何千もの地元雇用の創出など、地元コミュニティにも利益をもたらす事を目的としており、1シーズンの経済効果は12億8000万ドル以上が見込まれている。
- ネバダ州南部で7,500人以上の雇用
- 地元の非営利団体に100万ドルの現金寄付
- 地元学校への2500万ドルの寄付
- 3億1,600万ドルをイベント前の整備とインフラに投資
2022年に設立されたラスベガス・グランプリ財団は地域社会に100万食を提供したり、ホームレスや避難民、恵まれない高校生などに2,200食を寄付するなどの活動を行っている。