決勝前にパドックを並んで歩くマックス・フェルスタッペンと角田裕毅(ともにレッドブル・レーシング)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

臆さぬ角田裕毅、レッドブルでも揺るがぬ“芯”―フェルスタッペンの隣で示す真価

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マックス・フェルスタッペンを相手にしても臆さず意見を貫く角田裕毅。そんな気骨さが、レッドブル・レーシングのチーフエンジニアを務めるポール・モナハンを深く感心させている。

2025年、日本のF1ファンにとって大きな節目が訪れた。角田が強豪レッドブルへの昇格を果たし、4度のF1ワールドチャンピオン、フェルスタッペンのチームメイトとしてグリッドに立つ姿が現実となったのだ。

ホンダS660でドライバーズパレードに登場した角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月6日(日) F1日本GP(鈴鹿サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ホンダS660でドライバーズパレードに登場した角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月6日(日) F1日本GP(鈴鹿サーキット)

これまで幾度となく見送られてきた「昇格」の機会を母国日本GPでつかんだ角田は、これまでにない重圧のかかるトップチームの環境下にあっても、「臆さぬ姿勢」と「明確な自己主張」によって着実に評価を高めている。

F1公式サイトによると、モナハンはマイアミGPを前に、角田の姿勢に強い感銘を受けていると明かした。

「彼は実に上手く順応している。決して簡単な状況下でチームに加わったわけではないが、そのフィードバックは率直で、しかも礼儀正しい。すっかりチームの一員として機能している。運に左右される場面もありながら、今は自分の立ち位置を掴みつつある」

ポール・モナハン(レッドブル・レーシング カーエンジニアリング責任者)、2025年3月22日(土) F1中国GPスプリント(上海インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ポール・モナハン(レッドブル・レーシング カーエンジニアリング責任者)、2025年3月22日(土) F1中国GPスプリント(上海インターナショナル・サーキット)

角田の愛機「RB21」は、その挙動が極めてセンシティブで、ポテンシャルを引き出せるセットアップのウインドウも非常に狭い。角田自身も「RB21に慣れるには時間が必要」と認めているが、それでも昇格後の4戦で3度のQ3進出、2戦でのポイント獲得、さらにはスプリントでも入賞を果たすなど、短期間で着実にマシンへの適応を進めている。

チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、フェルスタッペンのチームメイトという役割を「F1で最も難しい仕事」と表現してきた。だがモナハンは、角田にはその重責を背負うだけの胆力が備わっていると評価している。

「彼は臆することなく自分の考えをハッキリと口にする。何が必要で何が気に入らないかを明確に伝えてくれる。これは重要な資質だ。すでにチームの一員としてしっかり機能しているし、問題ないだろう」とモナハンは語る。

「マックスのチームメイトというプレッシャーにも今のところ上手く対応していて、その点も大いに良い。正直、感心している。彼は相当肝が据わっている」

決勝前にパドックで談笑するマックス・フェルスタッペンと角田裕毅(ともにレッドブル・レーシング)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)Courtesy Of Red Bull Content Pool

決勝前にパドックで談笑するマックス・フェルスタッペンと角田裕毅(ともにレッドブル・レーシング)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

レッドブルという厳格な評価文化の中で、角田はすでに「使える人材」として認識されてきているようで、F1で最も困難な役割のひとつとされる“フェルスタッペンの隣”というポジションにあって、チーム内における自身の立場を着実に築きつつある。