角田裕毅「何?どういうこと?」相反する無線に混乱―マイアミGPスプリント終盤に“謎”指示

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2025年5月3日、F1第6戦マイアミGPのスプリント終了間際、レッドブル・レーシングの角田裕毅が、チームからの相反する無線指示に混乱する場面があった。一方で、最後尾スタートから6位までポジションを上げる戦略的な“ギャンブル”を成功させ、満足感をにじませた。

レース終盤、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)とリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)の事故によりセーフティーカー(SC)が導入されると、10番手を走行していた角田に対し、その内容が180度異なる無線が立て続けに飛んだ。

レースエンジニアのリチャード・ウッドは当初、ローソンにタイムペナルティが科される可能性を考慮し、前走するオリバー・ベアマン(ハース)とのギャップを詰めるよう伝えていたが、チェッカー目前の土壇場で一転。ベアマンとのギャップを「8車身分」開けてほしいと求めた。

角田が困惑するのは当然だった。「何?どういうこと?」とその理由を尋ねたが、ウッドは「後でガレージで説明するから」との返答を繰り返した。最終的に角田は、ベアマンの0.935秒後方でチェッカーを受けた。

背景としては、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に対するペナルティが考えられる。フェルスタッペンはタイヤ交換を終えた直後、ファストレーンを走行していたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)と接触。レース後に10秒のタイム加算を受けることが決まっていた。

フェルスタッペンは4位でチェッカーを受けたが、ペナルティにより完走17台中最下位に降格した。

なお、F1競技規則第55条7項は、SC先導ラップにおいて、前走車両とのギャップを「10車身分」以下に保つことを義務付けている。

スプリントに向けて走行準備を進める角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月3日(土) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)Courtesy Of Red Bull Content Pool

スプリントに向けて走行準備を進める角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月3日(土) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

戦略が奏功、最後方からの9位挽回

前日のスプリント予選でSQ1敗退を喫した角田は、パルクフェルメ下でセットアップを変更。赤旗によってスタート手順が変更されたため、手順再開後はピットレーンではなく、19番グリッドからのスタートとなった。

1周目にジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)とガブリエル・ボルトレート(ザウバー)を交わして17番手に浮上すると、均衡を破って先陣を切り、11周目にミディアムタイヤに交換し、9位でフィニッシュ。レース後、上位3台にペナルティが科されたことで6位に昇格した。

3名に対するペナルティ裁定が下される前、角田は「今日は、うまくやれたと思います。後方からのスタートだったので、ある意味、ギャンブルもしやすい状況でしたが、それでも最初のラップは決して楽ではありませんでした」と振り返った。

「理想としては、もう2周くらいピットストップを引っ張りたかったのですが、それによって他のクルマが先に入ってしまい、アンダーカットできなくなる可能性があったので、結果的には良い判断だったと思いますし、それをうまく形にできて満足しています」

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