翻弄された角田裕毅のRB19テスト、それでも「有益」と強調するレッドブル代表ホーナー

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F1第6戦マイアミGPの前週、束の間のオフを利用して英国シルバーストン・サーキットで実施された角田裕毅のTPC(旧車テスト)について、レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーは「有益だった」と評価した。

角田が今回、F1イギリスGPの舞台でドライブしたのは、2023年に21勝を挙げた歴史的なチャンピオンマシン「RB19」だった。だが、当日は雨と予期せぬマシントラブルに翻弄され、走行距離が限られてしまい、セットアップの理解も深まらなかったため、角田にとっては期待通りのテストとはならなかった。

それにもかかわらずホーナーは、今回のテストの価値を強調。FP1直後のマイアミで「典型的なブリティッシュ・ウェザーに邪魔されて、午前中は雨に見舞われたが、それでも何周かは走ることができたから、実りのあるテストだった」と振り返った。

その理由は、このテストの目的がレッドブルのマシンの特性やコンセプトに対する理解を深めることではなく、「単にエンジニアリングチームとより多くの時間を共に過ごす機会」を設けることにあったからだという。

ホーナーはテストの狙いについて、「彼はこれまでにレッドブルのクルマで多くの距離を走っていなかった。だから、2年前のマシンを使ったTPCを通して、エンジニアリングチームやそのプロセスに慣れてもらうことにした」と説明した。

マイアミ・インターナショナル・オートドロームでレッドブルRB21をドライブする角田裕毅、2025年5月2日F1マイアミGPフリー走行1Courtesy Of Red Bull Content Pool

マイアミ・インターナショナル・オートドロームでレッドブルRB21をドライブする角田裕毅、2025年5月2日F1マイアミGPフリー走行1

今回のプライベートテストを経て臨んだF1マイアミGPの初日、角田はFP1でマックス・フェルスタッペンに対して0.597秒遅れ、スプリント予選では、コミュニケーション上のミスと「インテリなクルマ」の影響によりSQ1敗退に終わった。

フェルスタッペンに対する角田の“足りていない部分”について問われたホーナーは、「ある特定の1分野を指摘するのは難しい」と前置きしたうえで、「ラップ全体を通じた小さな要素の積み重ね」によるものだと説明。コーナー進入時の速度やアクセルの開け方、タイヤの扱いやクルマに対する荷重のかけ方など、繊細な違いが総合的な差となって現れているとの見方を示した。

一方で「彼は今まさにチームに慣れつつある段階だし、かなりの経験を持ち込んでくれている。フィードバックも的確だし、何よりチームに対し、本当にポジティブなエネルギーをもたらしてくれている。それに、すごく個性的なキャラクターでもあるしね」と評価した。

「それに、間違いなく速いドライバーだし、彼がもっと自信をつけてくれば、グリッド上でもどんどん上位に上がってくると思う」

さらに、角田が自身のやり方を通して突破口を切り開こうとしている姿勢にも言及し、「ユーキはマックスがやっていることに固執することなく、自分のセットアップに集中している。それは正しいアプローチだと思う」とも語った。

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