再び露呈したRB21の強みと弱み、アプグレ効果は限定的か―”現実”を直視するフェルスタッペン

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2025年F1第6戦マイアミGPのスプリント予選を4番手で終えたかつての絶対王者、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、「目の前の現実を見て、今ある状況でベストを尽くすしかない」と語った。その言葉の背景には、“曲がらない”というRB21が抱える根本的な問題がある。

RB21の弱点が浮き彫りに、低速コーナーで苦戦

マイアミ・インターナショナル・オートドロームでのスプリント予選では、RB21の強みと弱みが明確に表れた。フェルスタッペンは高速コーナーが続く第1セクターでは速さを見せたものの、低速セクションを擁する第2・第3セクターではアンダーステア(前輪のグリップ不足)に悩まされ、大きくタイムをロスした。

実際、第1セクターでは全体ベストを刻んだが、第2セクターでは7番手、第3セクターに至っては、ザウバーより遅い10番手に留まった。

「FP1からずっとアンダーステアがひどくて、低速区間でかなりのタイムを失っている」とフェルスタッペン本人も認めるように、マシンバランスに起因するグリップ不足がレッドブルの足かせとなっている。

マイアミ・インターナショナル・オートドロームでレッドブルRB21をドライブするマックス・フェルスタッペン、2025年5月2日F1マイアミGPスプリント予選Courtesy Of Red Bull Content Pool

マイアミ・インターナショナル・オートドロームでレッドブルRB21をドライブするマックス・フェルスタッペン、2025年5月2日F1マイアミGPスプリント予選

それでもポールを獲得したアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)との差は0.255秒。決して致命的な差ではない。

「P4はまぁ悪くない。でももちろん理想的じゃない。今の制約を受け入れて、やれることをやるだけ」と冷静に語る姿に、王者としての現実的な自己分析が垣間見える。

改善を狙った“控えめな”アップグレード

レッドブルはこうした問題への対応として、マイアミGPにあわせてフェルスタッペンの1号車RB21に小規模ながらもアップグレードを投入した。土曜のスプリント後にパルクフェルメが一旦、解除されるため、スプリント週末でありながらも「リスクは低い」と判断し、フロアの改良を実施した。

主な変更点は、アンダーフロアの空力性能を強化するためのフェンスの再配置と、フロアエッジに導入された中央部がより反った形状のウイングだ。これにより、局所的なダウンフォース向上とバランスの安定化を図った。

とはいえ、今回のアップグレードは劇的な変化をもたらすものではなく、あくまでも継続的な小規模改良の一環に過ぎないとして、チームはその効果について慎重な姿勢を崩していない。

RB21は、コーナリング中の空力変化に対してバランスが脆弱な傾向があり、それがアンダーステアの一因となっている可能性がある。この問題はシーズン序盤のバーレーンやサウジアラビアでも顕在化しており、現時点でも抜本的な解決には至っていない。

現在も英国ミルトンキーンズのファクトリーでは、改良に向けた取り組みが進められており、今後も段階的なアップグレードが予定されている。

“未知数”のスプリント本戦へ

今週末はスプリント形式での開催のゆえ、フリー走行は金曜午前の1回に限られる。フェルスタッペンは「誰がどれだけ燃料を積んでるのかも分からないし、まともなロングランのデータもないから、前の連中と戦えるかどうかなんて、なんとも言えない」と慎重だ。

一方で、「感覚的には、クルマのバランス的にも気温的にも、キツいレースになると思う。自分たちの制約については理解しているし、その中で、やれることを最大限やるしかない」とも語り、厳しいレースになるとの予想を示した。


2025年F1マイアミGPのスプリント予選では、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が初のスプリントポールを獲得。オスカー・ピアストリとランド・ノリスのマクラーレン勢がこれに続く結果となった。

スプリントは日本時間5月3日(土)25時から、公式予選は同9時から1時間に渡ってマイアミ・インターナショナル・オートドロームで開催される。セッションの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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