
F1マイアミGP:なぜ処罰なし? フェルスタッペン、”6秒遅れ”で競技規則違反も
5月2日の2025年F1第6戦マイアミGPスプリント予選において、セーフティーカー(SC)ライン間の制限タイムを超過し、F1競技規則に違反したにも拘らず、スチュワードはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)にペナルティを科さなかった。背景には、車載システムの“誤表示”があった。
フェルスタッペンはSQ2の最初のラップで、SCライン1からSCライン2の区間で設定された最小ラップタイム(1分45秒0)より約6秒遅く周回した。この行為は「不必要な低速走行」を禁止する競技規則第33条4項および、イベントノート第1条に抵触する。
プログラミングミスで誤表示
聴聞会を経てスチュワードは、「レギュレーション違反があった」と認めたが、ペナルティを科すのは「適切ではない」と結論付けた。その理由は、車載ディスプレイに表示されたデルタタイムに6秒の誤差が生じていたことにあった。
フェルスタッペンは、誤った情報に基づいて走行していたため、自身が規則に違反したという認識はなかった。聴聞会では、彼にデルタタイムを超過する意図がなく、あくまで表示されたタイムを基に一定の速度で走行していたことが確認された。また、その走行によって他車への妨害や危険行為が発生していなかったことも確認された。
誤表示の原因は、車載システムのプログラミングミスにあった。チームは最初のクールダウンラップ終了時にこの不具合を特定し、以降のラップでは「表示タイムより6秒早く走行するよう」フェルスタッペンに指示。その後のすべてのラップで規定通りのタイムが守られていたことが、テレメトリーデータによって確認された。
レッドブルに警告処分、チームの管理責任を指摘
スチュワードは、違反の事実を認めつつも、ドライバー本人に明確な過失がないこと、そして状況に応じた適切な対応がなされた点を考慮し、フェルスタッペンにペナルティを科さなかった。一方、情報表示の正確性を担保する責任はチームにあるとして、レッドブルに対しては警告処分を科した。
今回の件と類似する事例としては、2024年カタールGP予選でのフェルスタッペンのケースが挙げられる。当時は「不必要な低速走行」が認定され、ポールポジションから2番手への降格処分が下された。対照的に今回は、誤った情報が車載ディスプレイに表示されていたことと、それに対する迅速な是正があった点が考慮された。
なお、同じマイアミのスプリント予選では、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)、カルロス・サインツ(ウィリアムズ)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)、ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)の5名も同様の条文に基づく調査対象となったが、いずれもお咎めなしとされた。
今回の処分に際してスチュワードは、「別の状況では、より厳しいペナルティが科されていた可能性がある」との見解を示し、各チームに対して注意を促した。
2025年F1マイアミGPのスプリント予選では、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が初のスプリントポールを獲得。オスカー・ピアストリとランド・ノリスのマクラーレン勢がこれに続く結果となった。
スプリントは日本時間5月3日(土)25時から、公式予選は同9時から1時間に渡ってマイアミ・インターナショナル・オートドロームで開催される。セッションの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。