昇格後3戦を消化した角田裕毅、ヘルムート・マルコはどう「中間評価」したか?

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レッドブル・レーシング昇格後、3戦を終えた角田裕毅について、同チームのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、オーストリアの専門メディア『SpeedWeek』のコラム内でそのパフォーマンスや取り組み、ポテンシャルを高く評価した。

不振のリアム・ローソンに代わって第3戦日本GPでシニアチーム昇格を果たした角田を一目見ようと、金曜の鈴鹿サーキットには6万人もの観客が詰めかけた。これは日本GPの初日としては1997年以来、28年ぶりの最多記録となった。

注目のFP1では、4度のF1世界王者であるチームメイトのマックス・フェルスタッペンに0.107秒差の6番手タイムを記録した。予選Q1でもフェルスタッペンに0.024秒差の8番手に食い込み、存在感を示したが、Q2ではトラフィックとタイヤのウォームアップに苦しみ、15番手に沈んだ。決勝では2ポジションを上げたものの12位と、惜しくも入賞とはならなかった。

レッドブルRB21でコースを走行する角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月5日(土) F1日本GP最終フリー走行(鈴鹿サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブルRB21でコースを走行する角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月5日(土) F1日本GP最終フリー走行(鈴鹿サーキット)

続くバーレーンGPでは、フェルスタッペンが7番手と苦戦する中、角田は見事Q3に進出して10番グリッドを獲得。決勝ではピットでのタイムロスやカルロス・サインツとの接触がありながらも、冷静なレース運びで9位入賞を果たした。

3戦目のサウジアラビアでは、自身の予想を裏切り続けるRB21の挙動に苦戦。最終的に8番グリッドを持ち帰ったものの、ポールのフェルスタッペンとは0.910秒という大差がついた。また、決勝では1周目にピエール・ガスリーと接触してリタイヤ。スチュワードは一件をレーシングアクシデントとして処理した。

レースを前に卓球を楽しむ角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

レースを前に卓球を楽しむ角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)

角田のこれまでのパフォーマンスについてマルコは、予選での真剣勝負になるとフェルスタッペンとの差が拡大する傾向にあるとしつつも、概ね0.2~0.3秒差に収まっており、これは許容範囲内であると評価。「スピードもあるし、アプローチも適切」と肯定的な見解を示した。

また、サウジアラビアGPでの接触についても「起こり得るもの」として責任を問わず、むしろ角田のパフォーマンス・ポテンシャルを肯定。データに基づいた分析から、完走していれば「6位に入れた可能性があった」と述べ、純粋な速さのみならず、レースペースやレースクラフトについても高く評価していることをうかがわせた。

さらに、「これまで我々のセカンドカーがトップ10に入ることは滅多になかった」として、6位という潜在的な結果を残せる状況が訪れたこと自体が「大きな進歩」であると主張。ローソンを含む前任者たちとの明確な違いを強調し、いわゆる”レッドブルのNo.2問題”に改善の兆しを見ていることを示唆した。

また、フェルスタッペンのアプローチに左右されることなく、主体的に取り組んでいることを仄めかし、自分のスタイルを貫いて、レッドブルという新たな環境に順応しているとも指摘した。

  • スピードと姿勢は基準を満たしている
  • 予選のギャップは許容範囲
  • レースでは上位入賞のポテンシャルあり
  • サウジ事故は評価に大きく影響せず
  • 前任者に比べて明らかに“進歩”

マネージャーのディエゴ・メンチャカと共にパドックに到着する角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月17日(木) F1サウジアラビアGPプレビュー(ジェッダ市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

マネージャーのディエゴ・メンチャカと共にパドックに到着する角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年4月17日(木) F1サウジアラビアGPプレビュー(ジェッダ市街地コース)