
角田裕毅、英国に戻らない“納得の理由”―レッドブル移籍もイタリア在住貫く
イタリアを拠点とするレーシング・ブルズから、英国ミルトンキーンズを本拠とするレッドブルへと移籍した角田裕毅だが、イギリスに出戻るつもりは毛頭ないようだ。F1第6戦マイアミGPを前に、「もう十分です」ときっぱり否定した。
F1デビュー当初、角田はレッドブル本拠地に近いミルトンキーンズに居を構えていたが、そのタイミングはあまりに悪かった。当時は新型コロナウイルスによるロックダウンの真っ只中で、プライベートにおける行動も大きく制限された。
角田は、「ミルトンキーンズに住んでいた時は残念ながら、ちょうど隔離期間中で、決して楽しいとは言い難い生活でした」と回想した。なるほど、おそらくはロンドン・アイやビッグ・ベンを訪れる余裕もなかったに違いない。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
英国ミルトンキーンズにあるレッドブル・レーシングのファクトリー、2021年1月22日
その後、レッドブル上層部から命じられる形で、当時所属していたレーシング・ブルズ(旧アルファタウリ)のファクトリーがあるイタリア・ファエンツァに転居。豊かな自然と食文化に恵まれたエミリア・ロマーニャ地方での生活を経て、現在は親友ピエール・ガスリーも暮らすミラノに拠点を移している。
イタリアでの暮らしを大いに気に入っているという角田は、「(ミルトンキーンズには)戻っていませんし、今のところ戻る予定もないです」と断言する。
「イギリスには、もう十分滞在しましたし、そこまでのメリットは感じていません。それよりも、イタリアに住んでいる方がメリットが大きいと感じています」
さらに、隣にいたガスリーを指して、「つまり、健康面でも良いですし、彼のそばで暮らせるという利点もありますしね」と、仲の良さを見せつけた。なお、両者は前戦サウジアラビアGPで1周目に接触。揃ってリタイヤしている。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
マリーナベイ市街地コースのパドックを並んで歩く角田裕毅(RBフォーミュラ1)とピエール・ガスリー(アルピーヌ)、2024年9月19日(木) F1シンガポールGP
一方で、マイアミについては「食事は美味しいですし、全体的に満足しています。あまり不満はないですが、強いて言えば交通渋滞が……」とコメント。それに対してガスリーが「警察の護衛付きで出勤してるくせに、一体、何が不満なんだよ!」とツッコミを入れる一幕もあった。
これを受け角田は、「今年は運良くね! 去年まではそうじゃなかったし。でも今のところ、特に不満はないです。本当に、いいところです」と応じた。
角田はまた、生活環境がレース活動に良い影響を与えているとも強調する。気候や食文化だけでなく、日常生活の中で感じるリラックス感が、過酷なF1の舞台で戦い続ける上で必要不可欠だという。
「F1のスケジュールは本当にハードなので、オフの時間にしっかりとリセットできる“居心地の良い家”があることは、本当に大切なことだと思っています。今のところ、イタリアではしっかりリフレッシュできていますし、とても気持ちよく過ごせていて満足しています」
「シミュレーター作業などでミルトンキーンズに行くこと自体は、まったく問題ありません」
イタリアの陽光と食文化を堪能しながら、角田は2025年シーズンの飛躍を狙う。心地よい日常が“速さ”へとどう繋がっていくのか、その走りに注目が集まる。