ランド・ノリス(マクラーレン)を後方に従えウィリアムズFW47を駆るカルロス・サインツ(ウィリアムズ)、2025年4月20日(日) F1サウジアラビアGP決勝(ジェッダ市街地コース)
Courtesy Of Williams

ハジャー泣かせの”対ガスリー戦略”の裏側―アルボンが明かす、ウィリアムズの巧妙なチームプレイ

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アイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)を「超悔しがらせた」ウィリアムズのDRSトレイン戦略は、もともとピエール・ガスリー(アルピーヌ)を想定して事前に練られたものだったとアレックス・アルボンが明かした。

2025年F1第5戦サウジアラビアGPでは、ウィリアムズの見事なチームプレイが光った。カルロス・サインツは、後方を走るアルボンがDRSの恩恵を受けられるよう、あえてペースを調整しながら走行。この巧みな連携により、迫り来るハジャーの猛追を封じ込めた。

その結果、サインツは今季最高位となる8位でチェッカーを受け、アルボンが9位に続いた。両者の見事な連携により、中団勢トップとなるダブル入賞を果たしたウィリアムズは、ハースを上回ってコンストラクターズ選手権で5位に浮上。開幕5戦で獲得したポイントは25点に達し、すでに2024年シーズンの年間獲得ポイント(17点)を上回っている。

もとは“対ガスリー戦略”だった

この日の結果は「チームワーク」の賜物だと思うか?と問われたアルボンは、「たぶん、そうだろうね」と語り、ハジャーを苛立たせた戦略を次のように説明した。

「アイザックを抜かせないように、僕らはあえて“DRSトレイン”を作る方向に動いたんだ。もし単独で走ってたら、僕とカルロスはもう少し速く走れたと思うけどね」

「実は、この戦略は事前のミーティングで話し合ってたんだ。もともとはピエール(ガスリー)を想定した戦略だったんだけど、結局は彼じゃなくアイザックが来たから、同じ戦略をとったってわけ。ホント、満足だよ」

ウィリアムズがレース中の直接のライバルになると想定していたガスリーは、1周目に角田裕毅(レッドブル・レーシング)と接触し、ともにリタイアを喫した。

ジェッダ市街地コースでの予選でウィリアムズFW47を駆るアレックス・アルボン、2025年4月19日(土) F1サウジアラビアGP予選(ジェッダ市街地コース)

ジェッダ市街地コースでの予選でウィリアムズFW47を駆るアレックス・アルボン、2025年4月19日(土) F1サウジアラビアGP予選(ジェッダ市街地コース)

この日、ウィリアムズ勢より前でフィニッシュしたのは、マクラーレン、レッドブル、フェラーリ、メルセデスという4強チームのみだった。アルボンは、この結果について「ウィリアムズが現状で成し得る最大限の成果だった」との見解を示した。

「8位、9位くらいが僕らの目標だったし、9位とか10位でもいいかなって感じだった。でもユーキ(角田裕毅)がクラッシュしたことで、僕らにとっては“ベスト・オブ・ザ・レスト”の結果になった」とアルボンは語る。

「昨日の時点では正直、ちょっと厳しい状況に見えたけど、チームが本当に素晴らしい仕事をして、流れを変えてくれたんだ」

サインツ、FW47への適応と確かな前進

FW47への適応に苦戦していた序盤戦を経て、サインツは着実に復調を見せている。バーレーンでは好ペースを見せながらも接触リタイアとなったが、今回のジェッダではトップ10で堂々たる戦いを繰り広げた。

「今日は本当に素晴らしいレースができたと思う。しかもアレックスを助けて、ポイントを確実に取らせることができた」とサインツは振り返る。

「今年初めてピットストップで少しタイムを失ったけど、それでもかなり良いレースにすることができた。最終ラップでは特に速いタイムを刻めたし、自分のレースペースには本当に満足している」

「シーズン序盤は確かに厳しかった。でも、それは織り込み済みだったし、地道にステップを積み重ねてきた。その結果、今こうして第5戦の時点でこのレベルに到達できた。今の取り組み方を続ければ、間違いなくいい方向に進んでいけると思ってる」


2025年F1第5戦サウジアラビアGPでは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が2番グリッドからの逆転勝利を飾った。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く結果となった。

マイアミ・インターナショナル・オートドロームを舞台とする次戦マイアミGPは、現地時間5月2日のフリー走行1で幕を開ける。

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